◆「翠子 清原宣賢の妻」 (千 草子) 講談社
清原宣賢は室町期の神道系の儒学者。
室町末期から戦国時代が始まるあたりの話です。
16歳で嫁入りして以来20数年、
子育ても終わった翠子は狩野派の若い絵師と出会ったことから町の文化に興味を持ち、
やがてはすべてを捨ててその中に飛び込んで行く…。
「子供にもダンナにも責任は果たした。
後は気の合った仲間と楽しく暮らそう」というお話(^o^)
*「なにせうぞ くすんで 一期は夢よ ただ狂へ」(くすむ→生真面目なこと)
*「思いきりやってしまったあとのつけを、前世をも他人をもうらやむことなく、
しまつをつけてゆくことも、また、楽しみな事」
「おもいっきり楽しく生きましょう!」というメッセージが良いです。
◆「その後のシンデレラ」(清水義範)祥伝社
誰でも知っている有名な話のその後のストーリーを描いた「その後のシンデレラ」他8編を
集めた短編集。
中でも、楽しかったのが「エッシャーの父」。
あのだまし絵のエッシャーの父親が明治政府の技術者として、
明治6年から5年間、日本で河川の改修工事を指揮していたという内容。
その父親が持ち帰った日本の古模様に魅せられた事が、
のちにあのだまし絵を描くきっかけになったのかも…?
という、いろいろ夢を感じさせる話です。
◆「いまだ下山せず!」 (泉康子) 宝島社文庫
1987年正月、槍ヶ岳をめざした3人のパ−ティ−が行方不明に。
他のパ−ティ−の証言から彼らが辿ったル−トを探ってゆくが、そこには大きな謎が・・・。
ドキュメントですがミステリ−のような迫力があります。
◆「北条早雲と家臣団」 (下山治久) 有隣新書
後北条氏研究に意欲的な著者による早雲研究の総まとめ的著作。
早雲の出自に関する研究は謎解き的要素もあって楽しく読めました。
◆「逆説の日本史7 太平記と南北朝の謎 中世王権編
」
井沢元彦 小学館
思い込みだけで生きていた超身勝手人間・後醍醐天皇、ただただ人の良い足利尊氏、
尊氏に振り回された弟・直義、信長を超える魔王と噂の足利義教、
誰を取っても日本史上珍しい強烈キャラクターばかりで面白い時代です。
◆「戦国三姉妹物語」(小和田哲男)角川選書
お市の方の3人の娘、茶々、初、督の生涯を
最新の女性史研究の成果を取り入れて考察した1冊です。
特に江戸時代に作られた淀殿の悪女のイメージを払拭しようと試みているようです。
そのため、できるだけ確実な史料から淀殿が実際に言ったと思われる事、
やったことを探り出し実像に迫ろうとしています。
結論としては、淀殿は信心深い凡人だったと言う事でしょうか…
今年の大河を見ても淀殿のイメージは相変わらずでしたね。
歴史上有名な人物のイメージと言うのは1度出来あがってしまうと、
いくら研究が進んで新しい事実がわかってもほとんど変わらないものなんですね。
と言うか、ほとんどの場合歴史上の人物のイメージは研究書ではなくて
ドラマや小説で確立するわけですから、
1つ有名な作品が出て、
そこで新しいイメージが描かれればすぐまた変わってしまうですよね〜^^;
安部晴明なんか、一昔前と比べると「あなたは誰?」状態になっていますね(笑)
◆「ぼんくら」宮部みゆき 講談社
江戸の長屋を舞台にした捕物帳(?)。
面倒がりの定町廻り同心・井筒平四郎の謎解きです。
短編集かと思ったら長篇でした。
1つ1つのエピソードが最後に1つの事件にまとまると言うパターンなんですが、
わざわざまとめなくても連作推理で良かったんじゃないかと思いました。
◆「ザ・対決」 清水義範 講談社
「ソクラテスVS釈迦」「コーヒーVS茶」「大岡越前守VS遠山金四郎」などなど
様々なパターンで対決してます。
私としては「空海VS最澄」が面白かったです。
「ラーメンVSカレー」も身につまされて思わず笑ってしまった一篇でした。
◆「ローマ人の物語」 (塩野七生)
「ローマ人の物語」9巻が出たんですね。なのに8巻がまだ読み終わっていない・・・
最初は快調だったのに、だんだん読むスピードが落ちてきてます。
「逆説の日本史」と同じパターンです〜
◆「絵は語る4 源頼朝像・沈黙の肖像」
(米倉迪夫)平凡社
誰でも一度は見たことがあるだろう神護寺に伝わる源頼朝像が、
実は足利直義なのではないか…と言う新説を論証した本です。
現在神護寺にはこの頼朝像とほとほぼ同じ構図の肖像画が他に二幅伝えられていて、
それぞれ平重盛、藤原光能に比定されています。
しかし、この3人にセットで描かれる共通点が考えにくい事から、
この2人の人物比定には疑問も持たれていました。
今回、著者は、日本美術史における肖像の意味、絵画的手法、歴史的背景
などから考察して、
あらためてこの三幅の肖像を、足利尊氏、直義、義詮に推定しています。
ミステリー的謎解きも楽しめる1冊です。
神護寺の頼朝像は昨年神奈川県立歴史博物館で特別公開されましたけど、
その時この説も紹介されていました。
まだ不明な部分が多いと言うような説明でした。
◆「遭難者」(折原 一)実業之日本社
白馬岳不帰ノ嶮で遭難した若者、彼の追悼文集の形で構成された大変凝った本です。
でもそれだけかも…。
事件と言うのではなく、単純な遭難の謎解きです。
◆「上杉景勝のすべて」(花ヶ前盛明)新人物往来社
上杉研究の第一人者が、あらゆるデータと知識をもとにまとめたもの。
景勝のすべてがわかります!
◆「島津奔る」(池宮彰一郎)新潮社
まさかと思ったけど、本当に走ってた「大方、今頃も走っておろう……」(笑)
関ヶ原の合戦を島津中心に描いたもの。
実に丁寧に経過を追って描かれているので、「なるほどそうか」と確認する感じで読めます。
◆「チグリスとユーフラテス」(新井素子)集英社
「移民した惑星で子供が生まれなくなり、ついに最後の1人が…」
「(地球or惑星)最後の1人は何をするのか?」
「コールドスリープ中の人間が何らかのミスで突然起こされた。そこに見たものは?」
などというSFのパターンのいくつかを、新井素子風にアレンジしています。
◆「百枚の定家」(梓澤 要)新人物往来社
百枚の定家の色紙には、不可解な謎が付きまとっている。歴史の中で現れては消え、
消えては現れる謎の色紙のミステリー。
◆「そして二人だけになった」(森 博嗣)新潮社
シェルター内の連続殺人。最後に残った2人は…。最近流行のトリックです。
ややこしいので、しっかり読まないと解らなくなる。
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