歴史小説

2001年・
その3
  天下の悪妻―越前藩主松平忠直夫人勝子
佐助の牡丹 御宿かわせみ25」
翠子 清原宣賢の妻
ぼんくら
平安妖異伝
上杉三郎景虎
(中島道子)
(平岩弓枝)
(千 草子)
(宮部みゆき)
(平岩弓枝)
(近衛龍春)
 

 

 

◆「上杉三郎景虎」 (近衛龍春) 角川春樹事務所

上杉三郎景虎とは上杉謙信の養子です。
小田原の北条氏の第3代氏康の8男(7男とも)として生まれ、越相同盟の質として越後に赴き謙信の養子となりました。
謙信の死後、同じく養子として扱われていた景勝と相続を争い御館の乱を起こします。戦いは1年続きましたが、結局景虎は破れ、鮫ヶ尾城で自刃して果てます。
26歳でした。

かなり史実に沿って描かれているので景虎の生涯や、この時代の流れを知りたい方にはお薦めです。ただ小説として人物としての魅力は乏しいかもしれません。

と、ここまでは表のお話。裏の設定でおなじみの方のが多いかも(^^)
高ちゃんファンには興味深く読めますよ。
なんたって「あなたという人は・・・」だもの〜)^o^( 


平安妖異伝(平岩弓枝)新潮社

藤原道長と樂所の伶人、秦真比呂が宮廷で起こる怪事件を
解決していく連作集。

一条帝がまだ11歳の頃の話で、道長は25歳の中納言、真比呂は15歳です。真比呂は秦氏の子供となっていますが、その出生には謎があり、雅楽に人並みはずれた才能を持つばかりでなく、陰陽師以上の不思議な能力を持つ少年です。

内容は陰陽師ものに似ていますが、どろどろしたところが無く、華やかで美しい小説になっています。真比呂が楽人ということで、雅楽に関連した話が多いせいかもしれません。

藤原行成、斉信など「枕草子」でお馴染みの人物も出て来ます。
真比呂の母親の知り合いが乾闥婆というのだから、先が楽しみですよね(^o^)


天下の悪妻―越前藩主松平忠直夫人勝子(中島道子)河出書房新社

忠直は結城秀康の次男。勝子は秀忠の三女。この忠直と言う人は狂気に走って改易、謹慎、配流となった藩主です。

この作品では、忠直配流事件を夫人の視点から冷静に描いています。
ここでいう「悪妻」は、「政治家」と言う意味かもしれません。
ちなみに結城秀康は家康の次男ですが、実子ではないと思われていたようです。
そのためにいろいろ不満があってキレてしまったんでしょうね。


◆「佐助の牡丹 御宿かわせみ25(平岩弓枝)文芸春秋

「江戸の植木市」「梅屋の兄弟」「佐助の牡丹」「江戸の蚊帳売り」
「三日月紋の印籠」「水売り文三」「あちゃという娘」「冬の桜」の八編。

事情があって別れた親子・兄弟。時が経って巡り会った時には、お互いの生活や立場が出来ていて、「ああ嬉しいいっしょに暮らそう」という訳にはいかなくなっている。
兄弟の情を描いた「三日月紋の印籠」「水売り文三」が良かったです。


翠子 清原宣賢の妻 (千 草子) 講談社

清原宣賢は室町期の神道系の儒学者。室町末期から戦国時代が始まるあたりの話です。

16歳で嫁入りして以来20数年、子育ても終わった翠子は、狩野派の若い絵師と出会ったことから町の文化に興味を持ち、やがてはすべてを捨ててその中に飛び込んで行く…。「子供にもダンナにも責任は果たした。後は気の合った仲間と楽しく暮らそう」というお話(^o^)

*「なにせうぞ くすんで 一期は夢よ ただ狂へ」
(くすむ→生真面目なこと)

*「思いきりやってしまったあとのつけを、前世をも他人をもうらやむことなく、
しまつをつけてゆくことも、また、楽しみな事」

「おもいっきり楽しく生きましょう!」というメッセージが良いのです。


ぼんくら宮部みゆき 講談社

江戸の長屋を舞台にした捕物帳。面倒がりの定町廻り同心井筒平四郎の謎解きです。短編集かと思ったら長篇でした。

1つ1つのエピソードが最後に1つの事件にまとまると言うパターンなんですが、
わざわざまとめなくても連作推理で良かったんじゃないかと思いました。


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