「サンタクロースなんて居ねぇんだよ」
 そういわれた隆司少年は、少し泣きそうな顔で同級生をにらみました。
「いるもん。絶対、いるもん!」
 隆司少年は涙の浮かんだ目でそう言い返しましたが、相手の瞳に浮かんだのは蔑みに似た冷ややかな光でした。
「プレゼントを持ってきてくれるから、だろ?あれはな、親がこっそり寝てる時に用意しておいていくだけなんだよ」
「嘘だ!」
「嘘じゃないぜ。じゃあ今晩、寝てる振りして起きててみろよ。そしたら判るぜ、サンタクロースなんて居ないって事が」
 隆司少年には信じられません。
 サンタクロースはいるものだとずっと思ってきましたし、彼の両親も常々そういっていたのですから。
「しかし、未だにサンタを信じているなんてダッセェ奴だよな」
 少年はバカにしたように言うと、隆司少年を小突いてから立ち去りました。
 隆司少年の目から涙が一滴こぼれ落ちました。 
 ですが、ともかく真偽を確かめなければならない、と思い、涙をぬぐって駆け足で家へと帰りました。

 

良いクリスマスへ

悪いクリスマスへ

 
クリスマスなんて存在しない。