ファンの間でも評価の別れる話題の 『 メタル ブルー アメリカ 』 。　その理由はこれまでとは一線を画するスタンスの違い。　明らかに対象をファンから大衆へ、アンビエントよりもダンサンブルへの転回が見られます。　更には自らギター＆ヴォーカルに挑戦するという、やんちゃぶり。　ただしそういう意味では普段テクノなどのジャンルに慣れていない人にとっては聞きやすいアルバムです。　ちなみにジャケットの点字は、シュール・レアリスムの画家の一人、サルバドール=ダリ の言葉だそうです。　
　個人的には "Decrescendo" が、まだ以前のイメージを保っているという意味で好きな曲です。　もしくは "Somewhere There"、このあたりを聴きます。　また初回限定版のみのボーナストラック "Drummelter" もラインナップ。
　またオマケの形で、同 CD はパソコン上で起動すると、「KI VIRUS」　なるアプリケーションが起動、強制的に Windows の起動画面や壁紙が変化。 元に戻すのは完全手動という極悪さ。　もちろんファンの神経を逆なでにしたことは語るまでもありません。

　『 アイランド アンド コンティネンツ - 600メガヘルツ 』 （と読むハズ） 、完全生産限定版で、 『 メタルブルーアメリカ 』 のリミックスCDと約１７分のプロモビデオ、そしてパスポートの形をした特製ブックレットが２冊という豪勢なメディアミックスです。　ブックレットには ケンイシイ とヴィジュアルアーティストの タナカノリユキ の対談をはじ５め、ケンイシイ本人の生い立ちと年表仕立てのこれまでの活動経緯と、９３年から９８年までのアルバム・シングル作品はもちろん、リミックスのトラックまで網羅したディスコグラフィーの２部構成。
　リミックスCDのオススメは "MBA 2　( Featuring Weckage lnc. ) "、原曲よりもノリの良いトラックに仕上がっておりこのアルバムの中ではけっこう好きな方です。
　ビデオの方はと言いますと一般にいう 『 メタルブルーアメリカ 』 プロモーションビデオです。　まずは "Rev Splash" から "Super Fly"、 "Actio Surrealismo" そして "Metal Blue America" へと続き、 "Butter Bump" へとスピーディーにカレイドスコープのような映像が流れますが、全体を通して、自分自身（ケンイシイ）のプロモのインプレスが強すぎますね。

　次にご紹介するアルバム 『 スリーピング マッドネス 』 に先んじてリリースされた同アルバムより 『 ゲーム・オーバー＆バター・バンプ・ブラスター 』 の両A面シングル。　売ってそうで、意外に売ってなくて、反面、売ってなかったらそれはそれで構わないし、欲しくない、そんなイメージ（？）のシングルです。　ジャケットも 「 ゲーム 」 に絡めてか、デジタル調。
　 どっこい、実は上記のラインナップとちょっと似てます。　ただし、 "Game Over" そのものは、アルバムと違い、原曲が収録されている …んでしょうが、あまり大差を感じませんね。　　で、このタイミングで "MBA2〜" が、2曲登場、2曲も（！）。　どれをとってもマニア向けのコンテンツです。　スンマセン、私以外に持っている人いますか？

5:13

　２年の沈黙を破り発表されたオリジナルアルバム 『 スリーピング マッドネス 』 。　前作の評価のせいか、過小評価されがちなアルバムですが、以前に回帰した、もしくは更なる高見に達したともいえる、アルバムを通しての統一感とそこから生み出される独特の浮遊感と透明感は ケンイシイ の感性の広さを知り得ます。　ただし前回以降、各メディアに頻繁にその姿を披露し、ジャケットなどではやたらに 「ケンイシイ＝自分」 で押してきます。
　トラック１の "Khaotic Khaen" からトラック３の " Where Is The Dusk" までの流れはこのアルバムでも最高潮の盛り上がりかた。このあたりは今までにない新しいケンイシイかもしれませんね。　"Game Over (featuring Co-Fusion) " やタイトルナンバー "Sleeping Madness" も聴き応えのある潤いに満ちたトラックです。　"Endless Season" を彷彿とさせるラストの "Misted " では曲の終了後、約６分後にエクストラトラックがあります。
　初回限定版はミニディスク付き。 このミニディスクのコンテンツがなかなか良く、入手難度もそれほど高くないので、ゼヒ限定盤をオススメします。　特に "Hedgehopping" が ○ 。

　『 ミスプログラムト・デイ 』 、アルバム 『 スリーピング マッドネス 』 からのシングルカットです。　実質的な内容は、同曲のアレンジはなく、オリジナル・タイトルが一つと 若干＋1 です。
　 ということで、実質的な価値は、Tr.3 と Tr.4 にありました。　"Take It Easy" は、ヒップホップの 「 常人には理解し難いリリックを披露する、稀有な才能の詩人 （ネットより転載） 」 の マイク・ラッド とのコラボレーション。　ケンイシイ と ヒップホップ といことで、あまり他では聴くことがないだけに興味深いナンバーです。　そして Flare 名義でともいうべきか、"Sleeping Madness (Sublimated State)" 、平たく言えばアンビエント・ミックスですね。　原曲が好きで、Flare をよく聴くという人には、オススメ。　メインのストリングスで一本 筋を通し、3分半で短いながらも重厚で存在感を感じさてきます。

3:30

　2000年発売の 『 フラットスピン 』 、織田裕二 主演の映画 「 WHITEOUT （ホワイトアウト） 」 とタイアップした " ICEBLINK " を収録。 映画の内容が雪山のダムを占拠したテロに立ち向かう個人の話で、内容はテクノと無関係 （と思う。何せ見てないので） 。　 前作の 『 スリーピング マッドネス 』 とは違い、どちらかといえばダークなイメージが強いです。
　"FROZEN REMINISCENCE " 、後ろ２曲がリミックスである事を考えれば事実上のエンドトラック。　ストリングスのリフが清涼で爽快感すら漂わせつつ、シンセとの折り合いが見事です。　またTr.3の "GAP ACCELERATOR " は、ストラヴィンスキーの "火の鳥" をモチーフにし、Tr.13の " ICEBLINK 〜featuring INNER CITY " は同名のシングルより。
　ちなみに映画のサウンドトラックということではなく、またサウンドトラックの方には " ICEBLINK " は含まれていません。