は拍手って、難しいものだったんだ・・ 白井光子&ハルトムート・ヘル リートデュオ・リサイタル シューベルト歌曲の世界U (in県立音楽堂コンサートホール 04.10.28) 川畠成道 ヴァイオリン・リサイタル (in県立音楽堂コンサートホール 04.12.9) 大晦日の晩になって、いまさら書いております。このページもそろそろ限界、2005年からは新しいページに行きます。 で、ムリヤリ思い出して二ヶ月前のコンサートから。 白井光子さんは日本人でありながら、ドイツ・リートの世界的名歌手(メゾ・ソプラノ)。 OEK合唱団の佐々木先生のオススメで、団員の姿がいっぱい。 実はこの日は組合のお仕事日でなかなか抜けられず、第一部はほとんど聴けなかったの です。(最後の1曲 「解消」) 第2部から仲間に誘われて、2階バルコニー席,しかも舞台に1番近い所で聴きました。 ・・・いやあ、いい席でしたよ。(もちろん私が買った席じゃあ〜ありません)歌い手の声,ピア ノの音がまっすぐ伝わってくる最高の席!わずか8曲+アンコールでしたが、もう満足満足・・ と、言いたかったのですが。(・・あ、思い出すとだんだん腹が立ってきた) 1曲歌い終わる毎に、それも響きが消えない内に拍手を入れる1部の人達がいたんですよ。 リートの伴奏って、ホントに繊細で細部にわたって神経をとがらせて弾いているのです。 その集中力たるや、凡人の推し量れるものでは無いと思う。それが無神経な拍手で邪魔され ていました。(もちろん聴く側もです。)演奏者はついに、残り数曲を切れ目ナシで演奏。 もう、殴り込みに行きたいくらいでしたね〜。ホントに残念でした。 川畠成道さんは小さい時の病気で眼が不自由です。今年、日テレの「いつみても波瀾万丈」 で、取り上げられていました。その影響か、会場は3階席まで一杯!びっくり!! パンフの中には、ファンクラブのチラシが・・。これまたびっくり!!! (彼のプロフィールの影響もあるでしょうが、実際ナマの演奏の様子を観るに、すごく心 引かれるものがあります。人気も当然でしょう。) ・・・こうなると、「拍手」が心配。先のコンサートがアレだったもんで、ヒヤヒヤしながら 開演を待ちました。 前半はフォーレの1番のソナタ、やっぱりと言おうか、1楽章毎に拍手が。 やっぱりソナタは拍手を入れるべきで無い。 (つまらない事に気を取られて集中して聴けない自分も情けない) が、次のイザイの無伴奏ソナタは、大丈夫!今回のお客さん達は、緊張感のある この曲の空気を察したのでしょう。私には初めて聴く曲でしたが、今回のプログラムの 中で、1番気に入った曲目でした。 後半はヴァイオリン名曲集。エルガーの「愛の挨拶」やマスネの「タイスの瞑想曲」など、 おなじみの曲ばかり。こうなると拍手の方は遠慮は無用! 終曲のサラサーテの「バスク奇想曲」など、圧巻でした。アンコールもトーク入りで何曲も 演奏され、連れて行った娘も大満足。彼女は授業で聴いたバッハの「G線上のアリア」や グノーの「アベマリア」が聴けたのが、時にうれしかった模様。 終了後、「ミーハー」をする。 何枚か売られていたアルバムも中から、知らない曲の多かったものを購入、サイン会へ。 (小作品集:アルバムタイトル曲からして知らない・・ヴェクシーって誰?) 円盤に顔を付けるようにサインして頂きました。「イザイがよかったです」「アベマリアがよかったです」とか話しかけてて、握手していただくのを忘れました。・・・おしかった!! |
2004.12.12UP |
ここうもり オーケストラ・アンサンブル金沢第168回定期公演 指揮;ジャン・ルイ・フォレスティエ 演出; わたべさちよ ロザリンデ;メラニー・ホリディ(in県立音楽堂コンサートホール) おさぼり・・・であります。 オペラは皆出席だったんですが・・・今年だけは勘弁、10月は気持ちが合唱に行かない状況下にありまして。 たまに客席から冷静に眺めるのもいいかも・・・(と言いながらこれで二回目)。 ま、一族(!)から二人、娘と甥っ子が出てますので許してやってください。 音楽堂では毎度おなじみ、コンサート形式です。 前回の「トスカ」とは違って、以前「カルメン」で池田直樹氏が取った手法に近い演出で、 ‘こうもり博士’こと、ファルケ(黒田 博)が物語の進行役を務めています。 役柄から離れて、という立場で(しかも紙を見て)語っているのが、ちょっと物足りないかも。 セリフも語りも入らない暗転になる間で、物語へのテンションが下がってしまうのです。 舞台の造りは「トスカ」に同じ、オケが舞台真ん中に上がって前面と後ろの山台、 中央の階段で 演技です。 バレエも入るので、狭さは如何ともし難い。 ま、そんなこんなも歌い手さん達の歌と演技でカバーしてくれました。 アデーレ役の砂田恵美さん、素敵でした。 アイゼンシュタイン役は病気で代役、ペーター・エーデルマン。 愛人役(リシャード・カチコフスキー)よりかっこよく見えてしまうのはどんなものでしょう。 メラニー・ホリディ・・・さすが・・ですが、もう10年早く来ていたら・・。 Pの高音からのチェンジがちょいと悲しかった。 さて、気になっていた合唱団。人数がスッキリしたのは良かった(さぼって正解・・・おい)。 ‘舞踏会シーン’と言えば、「椿姫」で男声一人に女声三人の割合でペア組みましたけど、 さすがに今回‘両手に花’状態で済んだようですし。 「トスカ」の時のような‘満員電車’状態ではなくて、音楽に合わせてちょいと踊れるくらいの スペースはあったし。 女声の皆様、ドレスに気合いが入っていたので、一人一人目立ってよかったですよ。 (せめて前列と後列たまに交代したら・・・と思うのは‘小学校的’考え方かしら?) エンジェルコーラスと特別編成バレエ団は、オルロフスキー公の舞踏会に、余興として招かれている設定で登場。 「美しく青きドナウ」を演奏しました。この場面ではJ.シュトラウスU世の作品からバレエが踊られるようですが、 TVで放送されたもので、ポルカ「雷鳴と電光」をやってたのを見たことがあります。 終わってから、娘が「ウチらどういう場面で出たの?」・・・頼むから誰か、事前に説明してやってくれ!! |
2004.10.10UP |
ググァルネリ・デル・ジェス「ムンツ」コンサート 劉薇(リュウ・ウェイ)ヴァイオリン・リサイタル(in金沢市アートホール 2004.10.04) ストラディヴァリウス等にならぶヴァイオリンの名器、グァルネリ・デル・ジェスのコンサート・・ じゃなくて、中国人ヴァイオリニスト劉薇(リュウ・ウェイ)のコンサートです。 ・・・一体何をメインに聴きに行くコンサートなんだか、ようわからんタイトルなんですが。 (と言う自分は、ピアノ伴奏の寺嶋陸也さんを目当てに行った・・・おい) グァルネリは40歳で亡くなり、残したヴァイオリンは40本ほどであり、 そのうち2本が日本音楽財団所有なのだそうです。 1本は「イザイ」。ヴァイオリニストであり作曲家であったウジェース・イザイ が愛用していたものであり、現在はピンカス・ズッカーマンに生涯貸与。 (・・・いつからだ?私が生ズッカーマンを聴いた時は違うのか?) もう1本の「ムンツ」が、現在劉薇さんに期限付きで貸与中です。 劉薇は中国蘭集州市生まれで、西安音楽学院を卒業後日本に留学、 桐朋音大を経て東京芸大の大学院の博士課程を修了されています。 博士論文が「馬思聡(マ・スツォン)」、文化大革命下の中国で迫害された ヴァイオリン演奏家,作曲家について。劉薇さんは偉大な先輩の残した楽譜 (文化大革命のなかで四散した)を収集し、コンサートでの演奏やCD録音で 世界に紹介しています。 コンサートの前半はその馬思聡(マ・スツォン)の作品から。 後半はラヴェルやイザイ,エネスコのフランスに学んだ作曲家達(フランス・ ベルギー楽派)の作品から。(馬思聡もフランスで学んだ。) いやあ、グァルネリ・デル・ジェスの低音の響きにどぎもを抜かれました。 あんなに豊かに響くヴァイオリンの音なんて知らない!大きいホールでも十分 響いた事でしょう。 今回のプログラムは馬思聡(マ・スツォン)の作品をはじめ、ラヴェルのツィガーヌ等どれも‘東方’のかおりのする 作品ばかりだったのですが、メランコリックな雰囲気がグァルネリ・デル・ジェスととても相性がいい感じでした。 (まともに‘古典’だと、どんな感じでしょうね?聴いてみたかったかも) 劉薇さんは文化大革命の頃にヴァイオリンの練習を始めたそうです。それも医者だった父親が、楽器が出来れば 娘を重労働から逃がす事が出来る、と言う理由で。(なんだかダン・タイ・ソンやら、‘戦場のピアニスト’の世界・・。) お父様はヴァイオリンをノコギリで子供用に直したり、楽譜を手書きでコピーしたり、娘のために努力を惜しまなかった ようです。アンコールはお父様の手書きの楽譜から、東欧映画の挿入曲(題名・作曲者忘れた)でした。 お父様はご存命かどうかわかりませんが、一番心にせまるメロディ・・だったと思う。 ・・・・伴奏者目当てに行ったコンサートでしたが、2倍にも3倍にもおいしいコンサートでした。 |
2004.10.09 UP |
ココシ・ファン・トゥッテを見てきました。 オペラ・オペレッタクラッシックウィーンシリーズ ウィーンの森バーデン市立劇場 指揮 クリスティアン・ポーラック 演出 ルチア・メシュヴィッツ (in金沢市観光会館 2004.10.01) ホントは行くのをあきらめてたんですが・・・。組合からS席の補助が出ていたのを 申し込みそこねたし、開演1時間前まで拘束されていたし。 が、3日前になってあわててチケットを買いに行きました。 何の心境の変化かって?・・・「のだめカンタービレ」なんですよ〜。 (ただ今「のだめカンタービレ」布教中・・・爆) 音楽家を目指す青年達の群像を描いたマンガ(20字以内だとなんて美しい!)ですが、 コミックスの5巻に、「コシ・ファン・トゥッテ」第一幕のドラベッラのアリアが出てきます。 ヒーローに振られた声楽家志望の女の子がレッスンで歌う場面が、なかなか感動的! 一週間前にハマったマンガ故に、オペラ観劇に走るわたしら親子って・・・。 2階A席(5千円)を2枚購入したのですが、前方のS席(8千円)がごっそり空いてる! (一体どんな売り方してるのよっ!)2ベル鳴っても暗くなっても埋まらないので、 喜々として空いた席に座りました。ほっほっほ〜! 「コシ・・」は、私自身は音のみ昔聴いたことが。兄が持っていたLPと、二期会のFM放送(!) デスピーナがチョコレートの味見をして「んまぁ〜おいしい!」というセリフがやたら耳に残っております。 ストーリーとその場面以外はまったく覚えておりません。(いばって言える事か!) 序曲が始まり、舞台両横に設置された電光掲示板に、序曲の解説まで掲示されたのには、場内にどよめきが! タダの解説書(楽譜入り・ストーリー要約マンガ入り144ページ!!)を配ったり、プレセミナーを開催したりと、 オペラのレクチャーの意味合いの濃いイベントだったようです。 いやぁ、ホントに楽しかった! ひたすらドラベッラのアリア目当てに観に行ったようなものでしたが、 フィオルディリージのアリアの技巧のスゴイ事! 四重唱,六重唱と、アンサンブルの美しいこと!歌い手さんの演技の楽しい事! 休憩の折りに、「オペラと言うよりオペレッタみたで楽しいねぇ〜」と言ってた方が いらっしゃいましたが、ホントにそんな感じです。演奏会に連れて行くとはどっかで 居眠りをしている娘も、今回は最後まで楽しんで観ていました。 場面の変換にちょいと時間がかかって、空白の時間が生まれるのは残念でしたが、 休憩を入れて三時間内だったので、そんなに疲れない程度でした。 さて、「コシ・・」二人の若者が老哲学者にそそのかされて、恋人の美人姉妹の貞操を 試すと言う、女性にとってはちょいと不愉快なストーリーですよね。「一日に何度心変 わりをしても女を嫌いはしない。女とはそうしたものだから。」と言うのがオチなの ですが、最近では男達の方が姉妹に振られるみたいな演出もあるようです。 今回の演出はオーソドックスなもののようでしたが、最後にちょいとイタズラが。 抱きついた相手の顔を見てあわてて相手を取り替えていくうちに、姉妹の相手がホント はどっちなのか、わけわかんなくなってしまうのです。 考えようによっては、とってもコワくて現代的? |
2004.10.09 UP |
(←パンフにもれなく付いてくるポストカード) 舞台中央にいるのはいねむりしているゼンタ。 うしろにいるのは夢の中のゼンタ自身。 運命に捕らわれていくイメージらしい。 一応ダンスらしい事はしているが、女らしさは無く、 恋に恋するローティーン、といったところ。 舞台中央にオランダ人の船、左にダーラントの船。 部屋のセットは舞台そでからだーっと出てくる。 一番笑ったのは、額の中のオランダ人の絵が本物になって 出てくる事。しかも竹馬(?)に乗って。 ?だったが、ダーラントと並んだ時、彼が非日常的なモノなのだ |
という事を表しているように思えてきた。 そして、彼の横をたくさんの難民達が歩いてゆく様子に、ああ彼も難民なんだ、と思ったしだい。 それはダビデの星を背負ったユダヤ人であり、 現代においても迫害されるクルド人であり、ボスニア・ヘルツェゴビナの人々であったり、 ひょっとして、アフガニスタンの人々もいたかもしれない。 ゼンタは彼らを救う存在なのか? 命をささげるほどの覚悟でないと、難民たる彼を救えないのか。 何より、‘難民’にとっての救済は、安らかな死でしかないのか? (・・・現実の難民の人々の多くは、平和な中で暮らす未来を夢見る、絶望していない人たちだ。 だが、あまりに悲惨な難民生活が長くなると、死が安らぎになるのだろうか。) ・・・とにかく彼女は父やエリックをふりほどいて海に身を投げる。 一体彼らの心は通じ合っているのか? 否、だと思う。 彼女は自分の理想(悪く言えば思いこみ)につっぱしっているだけだから。* (やっぱり救えそうにないような・・・二人一緒に難民になるような気がする。) *今回の表現だと、そんな気がしたのです。(悪しからず) 合唱団、オペラの合唱団はかくありたいよ〜、という感じでした。 船乗り達の歌、糸をつむぐ女達の歌、幽霊船に呼びかける歌、幽霊達の返事・・・。 よく雰囲気を伝えており、観客を楽しませてくれました。 面白かったのは、食器の音、ダンスのステップの音も音楽の一部になっていた事。ああ、こんなのもアリなんだ!! ゼンタ役のエイラーナ・ラッパライネンさんの声、見事でした。観光会館二階席までビンビンでした。 この前日は、富山オーバードホールで「サロメ」を歌っているというのに。 どちらかと言えば狂気に近い思春期の女性をみごとに演じていました。 そうなると妖艶な「サロメ」も観たかったな〜。 ロビーで会った合唱仲間は、「サロメ」も見に行ったとか。 七枚のベールの踊り、もうオジサン達は乗り出してくいいるようにみていたとか。(おいおい・・・) 2001.11.18 |