四つの掟~パズラーを書く際気を付けるべき点~


 前作、「ロナルド・ノックスの探偵小説十戒」及び「ヴァン・ダインの二十則」に対する反例も書いた様に、ぼくはフェアな勝負を好むが、ダイン・ノックス氏は過剰に意識しすぎて推理小説を書く物にとって制約を与えすぎていると感じる。
��そこでぼくは、氏らの真似をして四つの掟を定めようと思う。勿論、これはパズラーの掟であり、また、拙作はこうするよう努力しているという意志表明でもある。

1.不使特別的知識(特別な知識を用いるべからず)
 例えば数学の問題でこう言う問題が合ったとしよう。BC=ACの直角三角形ABCがあり、BCは2cmである。では、ABの長さを小数第一位まで求めよ。2√2=1.4X2=2.8なのだが√2=1.4という知識がないと答えられないだろう。
�� 推理小説も一緒である。特別な知識・・・例えば点字を使った暗号、ダイイング・メッセージが傘であった。それが金の傘を指していて金の傘は信長のトレード・マークだから犯人は織田氏など・・・・は前もってその情報を示すべきである。
 そう先程のピタゴラスの定理を用いる問題ならば√2=1.4とする。と明記してあるように。

2.書全情報(全ての情報を書け)
 例えば数学の問題で、三角形ABCで高さが2cmの時、三角形ABCの面積を求めよと言う問題があったとする。底辺が書かれていないのだから解けるはずがない。答えを見て実は6cmで6X2/2=6だったと書かれたら怒り浸透だろう。
 推理小説もそれと一緒である。全ての手掛かりを解決編の前に書かなければいけない。

3.不登場非科学的証拠(非科学的な証拠を登場させてはいけない)
 例えばイタコやら、降霊術、あるいは第六感で犯人を指摘したらどうだろうか?現実世界でも証拠能力は全くないのと同じようにミステリとしても証拠能力がないのである。

4.登場犯人最初、不犯探偵及其之助手(犯人は最初に登場させ、探偵とその助手には犯人にするべからず)
 「えっ、何でいきなりこの人が?いなかったじゃない」と言うような推理小説はいけない。例えば連続通り魔を発くのにA.B.C.Dの容疑者がいたとしよう。探偵が散々捜査を重ねた結果、名もない通行人が犯人でした。という結末には余りにも納得行かないだろう。これと同じでいきなり犯人が登場するような推理小説はその作者が卑怯である。

 通して言えるのは探偵と作者の立場を対等にすべきと言う事だ。偉そうに言っているが実はぼくも守り切れていない部分がある。ぼくが感じるのは推理小説は数学の問題と似ているということだ。

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