第2報(1999.11.07)
エリトリア入港前日
 マッラカ海峡、印度洋を抜け、紅海を航海中です。マラッカ海峡で日本船が海賊に襲われたとか、印度のサイクロンで被害が出たとかのニュースが伝わってきますが、本船は印度洋に入ったとき少し揺れたくらいで実に平穏です。



途中、スリランカのコロンボに寄港し、バスで3時間半かけて古都キャンディを訪れ、仏教寺院を見学しました。スリランカ政府は、ヒンズー教徒のタミール族と内戦を続けていますが、観光が危険なわけではありません。一般市民の教育程度は、印度あたりよりかなり高い感じでした。ここでは足踏みミシン50台を荷下ろししました。貧困女性の自立を促すには、足踏みミシンが最適なのですが、電動ならともかく今時日本国内で中古足踏みなど探すのに苦労するようです。


 今日は、船内生活について紹介しましょう。
乗客各人それぞれが自分なりのやり方で楽しんでいるようですが、私の場合は6時半起床、水平線から昇る素晴らしい太陽を眺めながらデッキを10周します。午前中は語学の勉強に当てます。毎朝の上級英会話が地球大学の必須科目です。アメリカ人の先生(若い女性)を囲んで、20人ばかりで和気あいあいと英語を楽しみます。ロシア語、ハングル語、フランス語の会話編がこれに続きます。こちらは勿論ほんの入り口だけですが、せめて文字だけでも読めるようになりたいと思っています。午後は地球大学指定の国際関係論を主体にゲストスピーカーや紛争地域から来ている奨学生から話を聞きます。ただ前回報告では、目の回るような忙しい日程でしたが、講師がどんどん下船してしまい講義の頻度が減ってしまいました。現役の人たちがそう長く日本を留守にはできないですよね(講師は自腹を切って乗船しています)。エジプトからは、パレスチナのインティファーダー戦士や、相手側イスラエルの兵士が乗船し彼らとディスカスすることになっているので、また盛り上がるでしょう。

 こうした公式プログラムのほかに、乗客の自主企画が沢山出現しました。囲碁、ブリッジ、社交ダンス、絵手紙、人形つくり、バスケットボール、サッカーチーム、ソーラン節、写真教室など目白押しです。600人もいると、その道の大家の回りにグループができあがり、こちらが寧ろ主流です。600本の映画フィルムも用意されていて、劇場で上映されます。ご婦人連中の話を聞いていると、「今日は3本見た」とか、「私は4本よ」とか言って自慢しあっています。
全員参加のプログラムもあります。ハロウィーン仮装大会、ファッションショーには凝った衣装を日本で用意してきていた人が多いのに驚きました。今は運動会とその応援団の準備に若い人は夢中です。

 乗りやすい性格の人なら、3ヶ月の船旅で退屈する暇はないでしょう。ただ、閉じこもる人には苦痛らしく、早く降りたいとこぼしてばかりいる人とか、キャビンでインスタントラーメンだけを食べている若者がいるという噂も耳にします。
食事時が情報交換の場です。朝食、昼食はブッフェスタイルですが、ビジネスホテルの和朝食、洋朝食以上の種類があります。ウクライナ船で納豆ご飯、味噌汁がいつも食べられるとは期待していませんでした。夜のディナーは毎日正式のコースメニューですが、味のほうはいまいちです。しかし美人揃いのウクライナ娘がてきぱきと働くので、気分が良いです。


 明日6:00に、アフリカで一番若い国エリトリアに入港します。ピースボート以外には、日本からの訪問者が0人という国ですから、国をあげて歓迎しようと待ち受けているそうです。面白い経験ができそうです。


Back Top Back