蘭丸の闘病記
蘭丸と私のつらい闘病記です。蘭丸はよくがんばって乗り切りました。お世話になった動物病院の先生や、闘病生活を送るかわいい家族をお持ちの方への、私からのメッセージです。

   蘭丸は、1999年7月17日に我が家にやってきて、10月25日にお☆様になった子です。
写真の様にとってもかわいらしい子でした。
小さいときは病気で苦しみ、死ぬときも不慮の事故で、本当に運の無い子でした。
我が家の二番目の子として横浜からやってきた蘭丸は、本当は外国生まれだったようです。
ここでは、蘭丸の闘病を皆様にお伝えすることで、
鳥を看護するときのお役に立てればと思っています。
写真は蘭丸が病気から解放され元気を取り戻したころのものです、
生後40日ぐらいの時ではないでしょうか、 
このころの蘭丸はとっても甘えん坊でおとなしい子でした。
くりくりとした瞳で、なにを見つめていたのでしょうか。



蘭丸の闘病日記

  
   7月17日土曜日
ショップで、まだ羽根の生えそろわない蘭丸がこちらを見上げていました。
黒い瞳がとってもきれいでした。ちょっと具合が悪そうに見えましたが、
目も涙目ではありませんでしたし、お鼻もきれいで、
体重も重く、だいじょうぶだろうと思って連れて帰りました。
ショップの方の説明では、生後20日ぐらいだろうと言うことでした。
気になったのは、
元気のなさと、足のしわでした、これが蘭丸の病気のサインだったのです。
昼頃には蘭丸を自宅につれてかえり、早速用意した蘭丸用の家にいれました。
おとなしい子でした、まだ緊張しているんだろうと思っていたそのとき、
やっぱりか、と思わされる出来事が起きたのです。
蘭丸の尿酸がオレンジ色になっていました、きれいなオレンジ色でした。
月曜日に病院へ連れて行くことにして、ゆっくり休ませることにしましたが、
内心おだやかではありませんでした、病院へ直行すればよかったと悔やんでも後の祭り、
蘭丸をまた移動させるストレスを考えて、月曜日まで待つことにしました。

ご飯: ラウデイブッシュ社のフォーミュラ3を使いました。
昼スプーン3杯      
夜    3杯      
寝る前  3杯
具合が悪そうなのにご飯はよく食べてくれました。   

蘭丸用の家 :
夏の時期でした、室温は30度を越えるような暑さでした。
テイッシュのケースより少し大きいくらいの箱の中にキッチンペーパーを敷いて、
蘭丸用の家にしました。   
具合が悪そうなので保温をしましたが、しばらくすると箱を抜け出していました。
暑いのかと思い保温はしませんでした。
小桜の雛は、うんちをするときは箱の四隅にします。
パウダーフッドで育てることにしていましたので、うんちはかなり水分を含みます。
キッチンペーパーなどの水分吸収のよい物の方が、雛の足下が汚れないのでいいと思います。


注意
小桜インコの雛をショップで求める場合、雛の多くは外国からやってくるそうです。
特に色変わりは多いと思います。
外国からやってくる雛がよくないとは思いませんが、日本で生まれた雛と違い、長距離の移動などで、
ストレス状態だと思います。
病気を持っている子も少なくないと思います。自宅に連れ帰る前に病院へ寄り、
出来れば入院施設のある病院でしばらく預かっていただくくらいの
余裕が欲しいものです。
色々下調べをして行っても、雛のかわいらしさに悩殺され、大切なチェックポイントの
半分ぐらいしか判断できません。
できれば、一人ではショップに行かず、客観視できる第3者と行くように心がけましょう。


  7月19日月曜日
もともと食欲のある子でした、後で考えれば食欲があったということが病気の克服に
つながったんだろうなと思います。
この日の朝、パウダーフッドをさじにかるく5杯ぐらい食べた後、絵の具のようなうんちがでました。
すぐに病院へ電話をかけ、身支度もそこそこに蘭丸を連れて出かけました。
診断は、腸内細菌のバランスがこわれているということでしたが、
先生に「大型の鳥と一緒にいた?」と聞かれ、そのときは知らなかったのですが、
蘭丸が外国からやってきたことを後で知り、大型の鳥が持つ細菌が蘭丸にはいるのだと
わかりました。
細長くて大きいのがいるよと先生がおっしゃって、大丈夫だろうかと不安でいっぱいでした。
二種類の抗生物質をいただきました。
一日2回飲ませてくださいとの事でしたが、血中の薬の濃度を一定に保ちたかったこともあって
6時間おきに薬を飲ませ、一日で先生のおっしゃった量と同じになるように
調整しました。(あまりまねをしないでくださいね)
寒がっていませんでしたので保温はしませんでした、
だいじょうぶでしょうか。という私の問いかけに、「わからない」と先生はおっしゃって、
どうやって家にたどり着いたのかわからないぐらい、気が動転していました。
注意
  雛のうんちは、食べさせているご飯によって色が違います。
  粟玉ですと、モスグリーンから黄土色に近い色だと思います。
  パウダーフッドですと、黄土色です。
  病気の時の緑のうんちは、ほんとうに絵の具のようにきれいな色です。
  うんちにしても尿酸にしても、きれいな色というのは病気のサインなんですね。
 

   7月20日火曜日
この日から心身ともに疲れる日々が始まりました。
うちには元気なケケがいます、ケケまで病気にするわけにはいきません。
蘭丸は、別の部屋に移動して、ケケと隔離しました、蘭丸を世話したあとは必ず手をあらい、
消毒をしました。
蘭丸が体に触ったときは服を着替え、シャワーをあびました。
差し餌はパウダーフッドです。
一日に5回ぐらい食べさせることを目標にしました、同時に乾いた餌、パウダーフッド 、
ペレットを砕いたものなど撒いて、いつでも食べられるようにしました。
保温はしていません、蘭はさわると暑く、羽を膨らませていませんでした、
どちらかといえば暑がっていました。
日中はあまり差し餌を食べず心配しましたが、夕方たくさん食べ少し安心しました。
でも、薬はいやがっていっこうに嘴を開けてくれません、
蘭丸の瞳が泣いているようでした。
薬は一日2滴を3回直接嘴につけてなめさせるのです。 いやがる蘭丸を固定するのが大変でした。
期待のうんちは、午前中は正常に戻るのですが、午後からはまた絵の具色に逆戻り、
蘭丸の入った箱を抱え、泣き崩れそうな気持ちをこらえるのがやっとという一日でした。 


パウダーフッド
病気の鳥に食べさせるものはやはりパウダーフッドだと思います。
粟玉は、消化吸収に時間がかかり、粟玉を消化吸収するのに体力を必要とします。
また、病気の鳥にはビタミンとミネラルがたくさん必要なのですが、
それらを思うように補給できません。
パウダーフッドはその点、消化吸収もよく、総合栄養食として作られていますので、
ビタミン、ミネラルの不足を考える必要がないのです。
パウダーフッドの問題点は冷めると食べないことですが、湯煎にして常にパウダーフッドを
暖め、40度ぐらいを保てばよく食べてくれます。
粟玉だとよく食べるから、というのではなくて、
病気の鳥にはパウダーフッドを食べさせないと助からない、ぐらいの気持ちで
食べさせたいものです。
ネクトン社のMSAが伝染病などの抵抗を高めると聞き、
パウダーフッドに混ぜて食べさせました。
病気の雛は成長するときに必要なカルシウムを取れない場合が多く、
足に後遺症が残るといわれますが、MSAとパウダーフッドで乗り切れば、
なんの問題も残りません。

夜は寝かすかどうか
  私は夜の間、蘭丸を寝かせることにして、夜明るくするという方法は
  とりませんでした。
  蘭丸が雛で、撒き餌をあまり食べないだろうと思ったこともあるのですが、
  パウダーフッドで、栄養をとらせていれば、夜は寝かした方が
  ストレスにならないと思ったからです。
  粟玉ですと、夜の間も食べさせた方がいいのでしょうが、
  高カロリーで高蛋白、消化吸収にすぐれたパウダーフッドを食べてくれれば、
  夜は寝かしてもいいと思います。
  パウダーフッドをあまり食べないようでしたら夜も起こして食べさせる必要が
  あるかもしれませんが、
  蘭丸がそれほどパウダーフッドをよく食べていた訳ではなかったのに
  病気を乗り越えられましたので、参考までに書かせていただきました。
 

   7月21日水曜日
日中は大変暑く、蘭丸も口を開けて開口呼吸をしています。
苦しいのか、ご飯を食べようとしません。
なんとか食べさせようとして、スプーンを口元へ持っていくのですが、
パウダーフッドを上手に食べさせることが出来ず、 蘭丸が口を左右に振り回すと、
あちらこちらに飛び散ってしまいます。
蘭丸の嘴の回りや、羽根に固まりのようになって付いて、取れません。
その上、薬はシロップが入っているためべとべとします。 これもまた、嘴や回りの羽根について固まります。
蘭丸は、悲しそうな瞳を私に向け、私はどうして良いのかわかりませんでした。
パウダーフッドは一日5回を目標に食べさせ、乾いた餌ペレットなどを下に撒きました。
うんちは少しですが、黄土色に変化していて、絵の具のようなうんちではなくなっていました。

パウダーフッドを食べさせるときの注意
なるべく細長い形のスプーンを使うか、プラスチック製で、
手乗り雛を育てるときの道具としてセット売りされているものに付いている、スプーンが良いと思います。
嘴や、羽根に付いたパウダーフッドはなかなかとれません、皮膚病を避けるためにも、
パウダーフッドが付いたら、ガーゼのような柔らかいもので、 優しくふき取ってあげましょう。
 

   7月22日木曜日
昨日あまりご飯を食べなかったこともあって、強制給餌をしていただこうと、
近くの先生の所へ行きました。
主治医の先生は家からちょっと離れていて、強制給餌をするために連れ出すのは遠すぎると
思ったからです。でもこれは大失敗でした。
近くの病院の先生は、蘭丸を見るなり、「病気の鳥なんか買って来ちゃあだめだよ」、
「自然淘汰されるんだ、しょうがない、そんなに言うなら東京の鳥専門の病院でも行けばいいんじゃあないの」
「東京に行くぐらいなら、死なないよ、ほら元気じゃないか」「本当に病気なの」
とおっしゃったのです。
蘭丸の瞳を見ることが出来ませんでした。
先生と30分以上も喧嘩して、蘭丸を連れて帰りました。
蘭丸ごめんね、ごめんね、と何度も言いながら、車を走らせました。
パウダーフッドを食べない割には、うんちはケケの小さい頃よりずっと多い気がしました。
また、水っぽい感じでした。 薬は相変わらず規則的に飲ませ、同時にビオフェルミンを与えました。
人間用の物をすり鉢ですりつぶして、ご飯と一緒に食べさせました。
今日はうんちが絵の具色になることはありませんでしたが相変わらず蘭丸はつらそうにしていました。
 

   7月23日金曜日
金曜日のあさ、いつものようにかごにかけてある布(タオル)を取り去ると、 そこには羽づくろいをする蘭がいました。
初めてみる蘭の穏やかな姿に思わず涙がでました。
パウダーフッドを朝5杯、昼3杯、夕方5杯とよく食べました。
この日を境に、蘭丸は元気になりました。
飛ぶ練習を始めました、自分で餌を拾って食べ、水浴びもしました。
翌週の月曜日、主治医の先生の所へ連れていき、うんちを調べていただきました。
先生はにこにこ笑いながら「木曜日まで薬を飲んで、それで終わりだね、」「もう連れてこなくてもいいよ」
と、おっしゃいました。
帰りの車の中で、涙がこぼれてきました。
蘭丸の瞳は、輝いていてくれるんだ、
私を見てくれるんだ。
目を閉じて、さよならを言わないんだ。
蘭丸、いい子だったね、がんばったね、これからケケちゃんと仲良くしようね!!


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