10/26環境委員会 山本公一議員(自民党)質疑

  衆議院のビデオライブラリーより入力しました。

10月26日衆議院 環境委員会 大石議員(委員長)

山本公一議員

 わたしも自由民主党の環境部会長を勤めさせていただいてかれこれ四年、今日大臣に一般質問ということで、質問したいことは多々あるわけですが、きょうは目前に迫りましたCOP7に絞って、質問をしたい。

COP3の際は、政務次官を務めさせていただいて、大木大臣のもとでまとめる作業に参加をさせていただいた。まあ言ってみれば劇的瞬間に立ち会うという政治家にとって冥利につきるような経験をさせていただいた。

 それからCOP4-COP7、いよいよここで、2002年発効ということになりますと、ここで合意をみなければ、もうタイムリミットがきたと、われわれが今日までつみあげてきた努力というのが私は、無になってしまう、COP7というのは本当に大事な集大成の会議であるというふうにこころえております。

 その間いろんなことがございました。特に今年になりまして、アメリカの議定書離脱というもの、追い討ちを掛けるように同時多発テロによる不況に陥ってしまった。もろもろの変化の中で、COP7というのはここ数年来の、人類の知恵を絞って絞ってたどりついた、一里塚の集大成だろうと心得ている。

 そのおおよその内容等々については、ボンの合意でおおよそ出来ているだろうというふうには理解しています、ただ、最後の詰めの段階でまだ多くの課題が残っているだろうと思っております、そういうCOP7の残されました課題とまもなく出発されます川口大臣のこの会合に向けたご決意を冒頭お聞きを申しあげたい。

川口大臣

 ただいま、山本委員の京都議定書が97年に採択をされまして以降の携わってこられた歴史についてのお話を伺いまして、私も改めて、はるばるここまできつるものかなという感じを持ちました。

 今度のCOP7では、委員おっしゃるように、COP6再開会合で柱の部分、運用ルールについての中核的要素についての政治的合意はできたわけですが,それを法的な文書にしていく過程でまだ残っている課題があるわけでございまして、法的文書に全部の部分をしていくことが大きな仕事でございます。

 ボンにおきまして、合意が中核的要素について成立しましたあと、作業に掛かりましたが、時間が十分にありませんでその終わらせることができませんでした。

 今回は法的文書に落としていくという作業をCOP7の最初の部分で行っていく、それが出来た後で、閣僚レベルのハイレベルセグメントでそれを正式に合意するという作業をすることになっております。

 委員がおっしゃったように、2002年の発効を目指して、日本と致しましては、今度の会合で合意に向けた最大限の努力をしていくつもりでございます。

 欧州委員会でも、2002年6月14日までに京都議定書の批准をしていくという提案が昨日正式に採択されましたが、これもタイムリミットを意識して、ということかと思います。私どもとしては、代表団一同最大限の努力をして、合意に達したい。

山本公一議員

 大臣のご奮闘を期待申しあげたいとおもいます。

 かねがね申しますが、日本という国が、多分世界の中でリーダーシップを取っていける分野は環境しかないんじゃないかというふうに思っているわけです。もちろん軍事なんて日本がとれるわけないし、経済力も少し弱ってきた。

 そうした中で日本の環境技術というのはたぶん世界一だろうと思います、そしてまた公害問題等々、非常に多くの経験もつんでいます。

 そういうことから多分、日本という国は、世界の中で、こと環境に関しては、私は、欧州よりもアメリカよりもリーダーシップが取れる国になる可能性があると思っています。

 そういう意味において、こういう国際会議での日本の一つ一つの行動、一つ一つの決定が非常に大きな要素をそういった面で占めてくると思っておりますので、ぜひ、信頼はしておりますが、誤りのない行動をとっていただきますようお願い申し上げておきます。

 そして、先ほど申しました、アメリカが抜けた、京都議定書のグループから、そして聞くところによると、大臣もハイレベル会合等を通じながら、アメリカとのパイプを切らさないように今日まで努力してこられた、私も最大の排出国であるアメリカが京都議定書から離脱するということは、その実効性の面で非常に懸念をやっぱり感じます、いいのかなとも思います、そういう意味で大臣がずっと努力されたことも承知しています。

 しかしもう始まろうとしていますCOP7、アメリカはどういう態度で、会議をみているのか臨もうとしているのか、外交交渉ですからいいにくい面もあろうかと思いますが、大臣が話される範囲内において、今日までの対米交渉についてお話し願えれば。

川口大臣

 委員が仰しゃられましたように、環境分野は日本が国際社会においてリーダーシップをとっていける、そしてとるべき分野と私も考えています。

 その意味におきましてアメリカがCOP7までに提案が出るかも知れない、ということで、私ども今まで働きかけて参りましたけれども、この働きかけは日本が環境分野で国際的リーダーシップをとりつづけるためにも、引き続き続けることが重要であると考えています。

 不幸なことに同時多発テロがございまして、私はその直前にもアメリカに参りまして、そのときにはボン合意以降、アメリカの社会において、政府の内外両方ということでございますが、かなりこのCOP7に向けて具体的な提案をすることが重要であるという認識が高まってきて、そのための準備もアメリカ政府としてはしていたという印象を私は持っておりますが、同時多発テロによって、こういったことに掛ける時間、あるいは人の数が極度に減ってしまいまして、具体的な提案をCOP7までに提案してくる可能性は低いと言う風に私どもとしても考えております。

 今まで申し上げておりますように、地球の温暖化を抑制するという観点からは、最大の排出国であるアメリカの参加というのが、環境十全性の観点から非常に重要なことでございます。

もちろん同時に日本アメリカ、EUが抑制のためのさまざまな国内取り組みをしていくことが重要ももちろんです。

 9月には、7月の日米ハイレベルにひき続いて事務レベル協議をしてきた。これは三分野、途上国問題、科学技術、市場メカニズム、の3分野でございまして、今後ともハイレベル、事務レベル協議を中心にアメリカへの働きかけ、対話を継続していきたいと考えております。ありとあらゆる機会を通じまして、最大限の働きかけをしていきたいと思っております。

山本公一議員

 最大限の働きかけをやっていただくわけでございますけれども、私どもも、得ている情報によると、テロ以降、はっきり申しあげて、とてもCOP7どころではないという状況だろうと思います。COP7までに何らかの提案があるだろう、と期待をしておりましたが、多分もう、可能性はゼロに近い、そうした中でアメリカ抜きで合意を目ざさなければならないということにあいなって来るわけでございりますが。

 これは大臣の決意としてお伺いしたいのですが、アメリカ抜きでも合意に努力されるということで間違いないんでございましょうか。

川口大臣

 今度のCOP7会合におきまして、日本として合意に向けて最大限の努力をしていくことに、まったく変わりはございません。そのつもりでおります。

山本公一議員

 さきほども申し上げましたように、やっぱり、ここまで日本が、日本で生まれた京都議定書の発効にむけて日本がここまで努力してきて、一部で言われるように、ひょっとしたらアメリカに同調して、この京都議定書というものをすこし遠ざけるんじゃないか、という声もあるんじゃないか、とやに聞いておりますが、私はもしそういうことになったならば、日本というものの、環境といわず外交というものを、もっと大きくいえば日本人というものが、世界から疑いの目で見られることになってしまいかねないという懸念を抱いておりますので、いろんな事情があるにしろ、日本はやはり毅然として、日本で生まれた京都議定書、2002年発効に向けてリーダーシップを取っていただきたいなと思います。

 それは、一部で言われるような感情論でもなんでもないと、私思っております。

 一部ではそういうことを言うと、感情に流された、という表現をされる方もいらっしゃるやに聞いていますが、私は感情ではないと、当然日本としてやるべきことをやっていくという、淡々としてやる作業のひとつだと思っておりますので頑張っていただきたい。

 ところでもし、アメリカがこういう形で京都議定書の作業から離脱したまま合意となった時に、途上国というのは、一部には、アメリカが入らなければ途上国も参加がますます遅れるという懸念も聞こえてきますが、私どもはそうじゃない、というふうに逆に思っとるわけでございまして、途上国の方々も、地球温暖化の問題というのはそれぞれの国の特性はあるにしろ、やはり共同してやらなければならない作業という問題であるという認識は強くあると思っておりまして、たとえそういう状態の中でも途上国は、この後も、COP7以降も努力していただける、あるいは参加していただける道を探っていただけると思います。

大臣はそのへんどのようにそのへんのことについておかんがえでしょうか。

川口大臣

 アメリカが京都議定書を支持しないと言った理由の一つが途上国が参加をしていないことでございました。

 途上国の参加も委員おっしゃるように非常に重要でして、たとえば2010年以降、途上国の排出ガス総量は先進国の総量を越えるというふうに言われているわけでございます、また現時点でも中国の排出量はすでに日本を上回っている。

 途上国の参加というのは私どもは、日本といたしましては、共通だが差別のある責任というルールに基づいて、次の段階以降、私どもで取り組まなければらない問題であるという認識を持っております。

 京都議定書で定められているCDMは、これは途上国において排出削減の努力をするということでございまして、その他途上国にたんするいろんな議定書で定められたファンドを活用しての技術移転、人的資源育成といった様様な取り組みを通じて、途上国においても能力が高まっていくと言うことだと、その他取り組みは重要。

 いずれにしても途上国の参加は、環境十全性の観点から次の段階のテーマとして非常に重要という認識を私どもも持っているわけです。

山本公一議員

 話を少し元に戻して恐縮、たとえ合意したとしても、COP7で合意後も米国との交渉は続けていかれるおつもりなんでしょうか。

川口大臣

 米国の参加も非常に重要ですし、途上国の参加も、米国の参加抜きでは実現していくことは非常に難しいという認識でして、したがってアメリカへの働きかけは、今後ずっといろんな場を活用して行っていきたい。

山本公一議員

 いずれ私はアメリカは戻ってきていただけると思っております。絶えざる努力をしていただきたいなと思います。よろしくおねがいします。

 もし、といいますか、マラケシュで合意ということになりますと、国内制度を整備していかなければならないことにあいなろうかと思います。

 やっぱり90年レベルというものに戻すというか、ものの考え方は非常に厳しいものがあるのだろうと思います。

90年段階の日本はあの時点でも環境先進国だったんだろうと思います、かなりの努力を企業がなさってらっしゃる、そういう中で90年からの6%削減をといいますと数字がまた上がっていますから厳しいのだろうと思います。

 最近、経済界を中心として、国内法整備の中身について非常に興味を持っていらっしゃるというか、COP7の合意そのものにも先ほど申しあげましたようにいろんな懸念を抱いていらっしゃるけれども、さらに合意になった上で国内法整備という中で、今、大変な不況に陥っている、その不況に追い討ちを掛けるような厳しい制度を採られては困るなあ、というような声がずいぶんと聞こえて来るわけです。

 環境問題はいつも申し上げますが、私、一種哲学だと捉えています。人類の経済活動とそして一方で環境を保全していくということは、時に相矛盾することもやっぱりおきてくるかと思いますが、だけどいろいろ考えていくと、やはりやりとげていかなければならない。

 しかし、企業が倒れてしまって、極端ですが弱ってしまって、活力を失ってしまうと、これもまた日本の国民生活に多大な影響を与える、企業が活力がなくなると、これも問題でして、今度、国内法整備をしていく場合に、がちがちした制度を作るのか果たして今日的には正しいのかな、という思いも一方では致すわけでございます。

 2008年までの実施期間を考えると、6年間の時間もあるということを考えていくと、当面やらなければならないことと中長期的にやらなければならないことと分けて、整備を図っていくということがあっても良いのではないかと思います。

 そういう仕分けをすることで、今日本の経済界がもっていらっしゃる懸念を多少なりとも払拭できるのではと思いますが、大臣この点についてなにかお考えがあればお聞かせ頂きたい。

川口大臣

 委員がおっしゃられましたように、経済界を中心としまして、日本はすでに過去、さまざまな取り組みを行って優等生であるので、今後引き続き同じペースでやっていくのは非常に難しい、という声かあることについては私もよく承知をしております。

 確かに、わが国は石油危機以降さまざまな取り組みを致しまして、その成果は、現在のたとえば、GDP単位あたりのエネルギーの使用量も、他の先進国にくらべて格段に良い成績である、といったことにあると思っております。

この経済界の取り組みは過去も、現在においてもいろいろ取り組みをして頂いているというふうに私は考えております。

 経済と環境との統合、というのは常に上がってくるテーマでありますけれども、不況で足元の経済問題がございますが、環境に取り組むというのは同時にビジネス機会でもありますし、たとえばEUが世界に先行してさまざまな仕組みを作っていこうとする背景にはこれから使われることになる仕組みを自分の手で作っていきたい、デファクトスタンダード的にしていきたいという考えがあるのではないかと私は推測しております、そうした中で日本の経済界にも、自らの事業に際して、あるいは国民が使えるような技術、省エネ機器ですとかの技術開発を進めていただくとか、さまざまな点で取り組んでいただきたいと考えているわけでして。

 そうした中で、その際、2008年の目標達成とその仕組みについて考えますと、委員がおっしゃるように、今後、社会技術開発の動向、技術開発の動向、これから2008年までの間に変化があるわけでして、国民のみなさんの自主性を尊重して、費用対効果が高いものを作っていくことが大事ですし、最初の段階ですべての必要な対策がそろってなければならない、とは思いません。

 施策の進捗状況ですとか、そのこう化について定期的に検証を行いながら施策について評価をしていくなかで強化を行う仕組みを検討していきたい。

山本議員

 いろんなことをやっていかなければならない中で、特に環境税の議論なんかは俎上に上がってくるのだろうと思います、こういった税の問題なんかは、企業はもちろん、国民生活そのものに影響してくると思いますので、大臣おっしゃいましたような、その時々の社会情勢、経済情勢を、よくよく配慮に入れながら考えていく必要があるのだろう、個人的には、終局的には、抑止力を考えていくなら環境税の導入というのは絶対的に必要だと思いますが、影響を考えると、タイミングをはからなけれは、われわれが意図とはちがう方向へ行ってしまう可能性も秘めている問題でございますので、注意して取り扱っていただきたい。

 最後に一言。お願いを申し上げておきます。

 COP3の時に、新聞が毎日毎日報道してくれました。一面で京都会議のことをどんどん報道、テレビもやってくれました。国民の間に地球温暖化という一つの今の現象が初めて広がったと思います。

 しかしあのキャンペーンが終わったとたんに、ぱたっとこうしぼんでしまった気がしてしょうがありません。そういう心理というのは判るような気がしますが、しかしもう一度ネジを巻かなければ、難しいという懸念を持っています。

 今後多分あらためて環境省としてもキャンペーンをお始めになるのだろうと思いますが、そのときに、私判りやすかったのは、効果があるというか判りやすかったのは、いずれ大阪駅まで水がくるんですよ、という説明。海面が1m上昇したら、極端な話かもしれませんが、なにも国民を怖がらせる必要はないと思うんですが、たとえば、セミの分布がどんどん北上している、私どもの地元の宇和海もサンゴ礁がだんだん、増床というんですか、北上しているんです。ここまではなかったのに、というのが、海温もどんどん上がっているんですよ。

 そういう判りやすい事例を、日本列島だけ取り上げて、そういうキャンペーンの仕方というのは私は国民の協力を得るという上でも、国民の警鐘を鳴らす上でも、私は効果的と思いますが、同時に国民に対する啓蒙をやっていかなければならない、分かりやすい事例を挙げながら、啓蒙していただくようになればと思いますが、やり方を最後に伺いまして終わりたい。

川口大臣

 委員仰られますように、この問題が国民一人一人の生活のスタイルから生じている問題自動車、エネルギーを使うとか、であることを国民の一人一人に理解をしていただくことが大事。キャンペーンは効果のある形でやらなければ、と委員のおっしゃる具体的例というのを私もいいと思います、具体的に進めていくに当たって、私どもも参考に進めたい。

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