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10月26日衆議院 環境委員会 大石議員(委員長)
増原義剛議員(自民)
地球温暖化の問題、非常に重要な問題でありまして、先ほど山本議員のほうからいろいろお話がありましたのを聞いていて、私たち人類あるいは生物の基盤を揺るがすような、非常に大きな問題であると、これに対しては、本当に相当の決意をもって取り組んでまいらないと宇宙船地球号、この地球はおかしくなってまう、そういう危機感を持っております。
そうした中で、山本議員が粗々のことを聞かれました、細かいことになりますが、国内の対応についていくつかご質問をさせていただきたい。
平成10年に、温暖化対策推進大綱が六月に閣議決定、そしてその秋に今度は推進法が制定され、それを受けて翌年、基本方針が出され、そしてまた今年の夏に中環審の小委員会のほうで中間取りまとめが出されました。それらを見ながら、一、二質問させていただきたい。
まず推進大綱における全体イメージがございます。いろんな施策をしてまいりましてマイナス0.5%にしていく、ということでございますが、基準年に対しましてですね。
そうした中で、実は経産省が今年の夏に総合資源エネルギー調査会で答申を出されました。3年前の大綱策定時とだいぶ様相が違ってきているやに聞いております。そうしたなかで今後平成10年の推進大綱についてどのように取り組むと申しますか見直すと申しますか、について見解を伺いたいと思います。
経済産業省小阪産業技術環境局長
ご指摘のように状況変化が起こっております、その状況変化および対策についてお答えを。
需要面では、99年のCO2排出量は、景気が非常に低迷してきた、当初予想したよりも経済活動が活発ではなかったという要因もございまして、産業部門ではほぼ横ばいで推移するなかその景気状況にもかかわらず、民生部門では90年比で17%運輸は22%増えてきている。
また供給面では原発の立地、これを16-20基くらい増設することを2010年に向けて見込んでいたわけでございますが、現在見込める基数は、10-13基増設にとどまるということが出てきておりますし、エネルギー供給量の伸びもさる事ながら、このように石炭であったり、原子力の発電の貢献が予想したよりも少ないことなど、同じ電力を使いましてもCO2を含む量が増えてきているというような展開になってきているわけでございます。
総合資源エネルギー調査会の答申におきましては、既存の施策を着実に推進していくとともに、さらに追加的な措置を実施して、当初の狙いを達成していきたいと考えております。
省エネ対策におきましては、石油ガス機器など省エネ法におきますトップランナー機器の拡大により炭素換算で600万トンをさらに削減ですとか、新エネ対策では、太陽光発電、風力発電の補助を拡充することにより更に900万トン、電力などの燃料転換で500万トン削減することなどの政策を強力に推進することで、推進大綱における、エネルギー起源のCO2排出量を2010年度において、90年と同じ水準に抑制する、という目標を達成したいというのが答申の骨子であります。
なお、大綱につきましては、毎年総理大臣を本部長とする対策推進本部におきまして、この大綱の進捗状況と今後の取り組みの重点を取りまとめているところでして、本年も7月にご指摘のような状況の変化、これに対する対応も伴って取りまとめを行って、大綱の着実な実施を進めることとしたところでございます。
増原議員
ありがとうございました。また一方で、中環審のシナリオ小委員会での中間とりまとめが出されまして、排出削減ポテンシャルは最大限すれば-2%から−7%まで可能である,あるいは−4から7%とされています。
そのシナリオの中で環境税などの経済的手法はどのように取り扱われているのか、お聞きしたいと思います。
環境省炭谷地球環境局長
ただいま先生がおっしゃられた中環審の中間的取りまとめにおきましては、まず排出削減のポテンシャルとして計算いたしまして、コスト面を無視いたしまして技術的観点から可能な、2010年の排出削減策の導入可能性を推計いたしましたところ、およそ100種類の削減策を導入し、幅がございますけれども2%ないし7%の削減が潜在的に可能。
そしてその目的を達成するための手段として、おっしゃいました、経済的手法、自主的取り組み、また社会的規制など総合的にポリシーミックスとして対応していくことが効果的としております。
特に経済的手法は、価格を通じまして、市場メカニズムを機能させることによりまして、各主体が自主的に効率的な行動が可能である、と大変効果的な施策という位置付けです。
増原議員
これから具体的にいろいろ考えていかれるのでしょうが。
そうした中で先ほど経産省の部門別のCO2排出推移を見ていきますと、産業部門はほぼ横ばい、しかし一方民生、運輸部門は二桁の伸び、90年の基準年をとってみても、あるいは今の日本の対GDPベースの炭素換算の排出量この効率は良くなっている。原子力が主体のフランスとほとんど変わらないような、経済的な社会を作っている。 そこらあたりを踏まえて、いくつか質問したい。
まず第一に、これまでの対外的交渉の中で、そう行った効率性を踏まえて、わが国のGDPあたりの、あるいは一人あたりの排出量はこうなんだ、といったことについて、それに対してアメリカあるいはEUはこうなんだ、といったようなことに対してですね、その、先般、-6,7,8%と出されましたが、それを作る過程において、そうしたことについて、外交交渉の場でなんらかの発言をされたのか議論をされたのか。
外務省 高橋国際社会協力部長
先生ご指摘の通り、わが国は、石油危機以降積極的に努力して、交渉当時、すでに大変高いエネルギー効率、こうしたわが国の努力が適切に評価されるべきという立場から、各国の削減目標を決めるに当たりましては、そういう一人あたりや、GDPあたり、を踏まえる形で設定すべきということを主張しました。しかしわが国だけでなくて、多くの国から自国に有利なように、さまざまな提案が行われました、そのそういう結果、特定の基準に基づいて、はいずれの案についても合意できなかった。
しかしなんらかの数値はきめなければならない、ので交渉を継続した結果、97年に、COP3で政治的に各国の数値目標を設定すると、そういう形で合意が成立した、その結果は京都議定書という形で採択されたわけでございます。
増原議員
外交交渉ですからいろんなことがあるんでしょうが、さきほど来、山本議員からも話がありましたように、我が国の経済社会、もちろんなお全体の5%ということですから引き続き努力していく必要はあるんでしょうが、それぞれの国でだいぶ事情が違っているということでございます。
この夏、私ども有志で、ドイツの脱原発、リサイクル事情について視察をしてまいりました。そのときに環境当局といろいろお話もさせていただきました。
そういう中で、EUの中でドイツは大幅で21%削減、まあイギリスとドイツが大きいですね、しかも、現時点ですでに17%マイナス基準年比で大きいんですよ、ということでしたが、基準年は90年でベルリンの壁が、それで質問したんですよ、旧西ドイツベースでデータはあるんですかと聞いたら、ありません、というんですね、ないと言われたんですよ。
それは非常に効率の悪い東ドイツを入れたわけですから、それを90年レベルで入れたら簡単なんですね、楽々と目標を達成できる、もちろん再生可能エネルギーの努力をしていることは、アウトバーンを走れば、風力があちこちにあることでもわかるんですが、東ドイツの非常に効率の悪い施設を効率化している、それはいいんですけれども、そういうことで、らくらくと目標を達成できるような口ぶりなんですね、だから削減量に関してはほとんど気にしていないという感じなんであります。
そういう状況と、日本についてさらに6%ということとはまったく違うわけですね。そこをしっかり考えていかないと、外交交渉は十分ではないのではないか、という気がいたしております。そういう中で、先ほど申したように、産業が横ばいで、民生、運輸が伸びているのをなんとかしないと、とりわけ、国民生活のあり方をきちっと変えていただく必要がある、これをやりませんと、到底目標を達成できるものではない。
そういう意味で、今後、中環審の方で国内制度委員会の方で今後の対応をお取りまとめになると聞いておりますが、そこらあたりのいま現在の対応について環境省にお聞きしたい。
風間副大臣
先生のご質問、まさに今、国内制度小委員会で議論を重ねさせていただいて,7月に中間取りまとめを。その中では、一人一人の国民生活の中でどういう風に防止するか、生活上のさまざまな項目まで掲げさせていただいているわけであります。
また参議院のサマータイム推進議連というのがありますが、それとはまた別に、サマータイム導入の議論もさせていただいている。
あるいはまた、太陽光発電の導入ということ、公共交通の活用をモーダルシフトをきちっとやっていく、あるいはこれは環境省の中のことですが、公用車を月の第一月曜日をノーカーデーで。
環境省といたしましても、国内制度小委員会の中間とりまとめをきちっと見定めた上で、とりくんでいかなければならない。と思っております。
お話の民生の部分については、少なくとも、14年度の概算要求にも、国民運動の展開、あるいは家庭における温暖化の防止診断、などを盛りこまさせていただいてと思っております。
また、運輸部門についても、環境省との連携の元で、2010年の低公害車の導入目標についてもたしか5億くらい概算要求で出させていただいております。
小委員会の検討結果を受けてさらにいっそう取り組んでまいりたい。
増原議員
いずれにしましても、国民全体、産業はもとよりでありますが、生活のあり方を変えていかないととても達成できるものではないと私は考えております。
当然第二ステージ、2005年から、そちらの議論が始まってまいります。
私は中国など、途上国、なんせ日本の10倍の人口ですから、増えてくれば、大変な量の排出ガスを排出することになる、インドも含めて、途上国を枠の中に含めていかなければならない。今、日本やEUに課せられている枠を第二ステージではどうしても途上国を含めて入れなくてはなりません。
その意味でもアメリカを、仮に京都議定書は無理でも、なんらかの形できっちり参加をさせる、アメリカはアメリカなりになにか出させるべき。 大臣になにか一言頂きまして。
川口大臣
委員おっしゃられますように、途上国が将来参加してくる、義務を履行するようになることは非常に重要、そのためにも米国参加が重要で、私どもは、今までも働きかけを行ってまいりましたし、それから,もし国会のお許しをいただければ米国経由でマラケシュへ行って働きかけをして参りたい。
増原議員
時間がまいりましたが、最後に外務省にお聞きしたいんですが、これからWTOについて交渉が始まります。
私は常々思っておるのですが、環境コストを払っていない途上国に対してはですね、環境関税といったものを掛けるべきではないか。
たとえば1000億円の高炉を作る、日本はそれで7,800億円を掛けて九十数%の脱硫、脱硝効果のある装置を付ける、それで作った鉄と、脱硫脱硝装置をつけてない鉄、NOxSOx垂れ流しの高炉とどちらが安くできるか、もう火を見るより明らかです。そういうところについて、むしろアメリカ側と共に、今後グリーンラウンドということで、交渉していくべきと思いますがいかがでしょうか。
外務省北島経済局長
WTOの新ラウンドの関連のご質問ですが、地球環境問題に適切に対応すべく新ラウンド交渉において、貿易と環境の問題を取り上げることについては、日本政府としてそういう考えを持っております。これまでのところ、WTOの貿易と環境委員会において、いろんな問題を検討してきておりますが、そのうちの一つに、WTO協定と環境目的の課徴金および内国税との関係という事項がございます、この問題が将来議論され、新ラウンドでテーブルに上ります際に、政府としても、途上国の立場も踏まえつつもどう対応するかと考えていくかということですが、議員のご指摘の点を踏まえてやっていきたい。
[小林守議員の質疑に続く] | トップページに戻る