コンスタン・トロワイヨン(1810-1865)   「牧場」   

 オランダの動物画家の作風の影響を受け、トロワイヨンは、広大な空と大地に光と陰が織りなす牛や羊を叙情的に描き出した。バルビゾン派の他の画家が風景の中に牛を主に点景として扱っているのに対し、この絵は牛を前面に配置し、バルビゾン派の動物画家としての面目を遺憾なく発揮している。▼中景の牛はよく見ると、つながないで搾乳されているようである。牛と人との緊密な信頼関係が感じられる。手前の立位の牛は尾を振っているが、背をやや丸めているので、私には、尾をあげて排せつする直前の姿勢のようにも見える。

デュプレ  コロー