ジャン-フランソワ・ミレー(1814-1875)   「子牛の誕生」

   放牧地で母牛が分娩した子牛を牛舎に収容する場面である。子牛はおそらく将来搾乳できる雌牛であろう。十分な敷き草に乗せ、20〜30kgほどの子牛にもかかわらず、二人の男が大事そうに歩を選ぶ。母性の強い親牛を、農婦が角につけた手綱で制御し、牛舎の入り口で子供たちが出迎える。▼当時は牛は家族同然であったのだろう。わが国でも二世代前までは、雌牛が生まれると赤飯で祝福し、病気になっても1か月も看病する、そんな時代も存在した。

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