ジャン-フランソワ・ミレー(1814-1875)乳しぼりの女(左)、牛乳を運ぶ女(右)

 放牧地での搾乳後、牛乳の入った陶器製の壺を左の婦人は頭の上に、右の婦人は肩にのせ、壺の取っ手にひもを結び、頭上にまわして保定しつつ、家路についている。▼左の婦人の右手に抱えているものは不明だが、動的で堂々としたたくましさを感じる。ミレー30歳の時の作。一方、右の婦人は重労働で疲労した雰囲気を漂わせている。▼この2枚の油絵とデッサンは、芸術的にうんぬんするよりも、当時の農婦人の搾乳の様子と風俗を示す良質の資料である。

ドビーニー  セガンティニー