近世説美少年録
「八犬伝」で犬士達のあまりの正義漢ぶりにどうも嫌悪感を感じた人はいないだろうか。そんな人に是非読んで欲しいのが、馬琴最後の作品とも呼ばれる「近世説美少年録」である。
まず、キャラクターが人間臭い。「八犬伝」ではすべてのキャラクターが善と悪に分類することができ、そして善人は善人、悪人は悪人のまま最後までその役を演じていた。しかし「美少年録」ではそんな分類は不可能である。そこに生きるキャラクター、主役の末朱之介(すえ あけのすけ)をはじめとしてだれもが、欲や奢りや怠惰の性質をもち、そのために、道を踏み外す危険性を孕んでいるのである。
そして、もう一つの特徴が、エロスである。直接的な性描写はないが、設定が背徳的というか、いやらしい。とくに朱之介の母・阿夏(おなつ)にふりかかる災難は、強力なインパクトを持っている。
しかしそんな素晴らしい作品でありながら、われわれが手軽に「美少年録」を読むことは、非常に困難である。このコーナーでは、そんな読まれざる名著「近世説美少年録」のあらすじや登場人物について紹介する。原作を読むのが一番だけど。
「近世説美少年録」とは
あらすじ
「美少年録」とその時代
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