近世説美少年録


 六輯四十五冊。歌川国貞・岩窪北渓画。文政十二(1829)年〜天保三(1832)年、江戸、大坂屋半蔵刊。後半三輯は、『新局玉石童子訓(しんきょくぎょくせきどうじくん)』と改題して、弘化二(1825)年〜同五年、江戸、丁字屋平兵衛刊。
 前半は、大内義隆を弑めた陶晴賢の前半生を描いた悪漢小説である。後半は、晴賢と対照的な善の美少年の活躍を描き、やがて両者が対決するという構想であったが、未完に終わった。悪人や淫婦が境遇の中から生まれてくる様を丁寧に描き、情事の描写も写実的で、近代小説に近い。

美少年録のホームページへ


解説目次へ