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展覧会の紹介

第45回 北海道書道展
(会員・招待)
2004年4月29日−5月3日
札幌市民ギャラリー
(中央区南2東6 地図G)

北海道書道展の会場風景。右手前に見えるのは小川東洲さんの作品 道内を代表する書道公募展。
 なにぶん作品数が膨大なため、一度に展示することができず、毎年会期や会場を分けて開催しています。
 ことしは、4月29日−5月3日が「招待・会員」、5−9日が「一般公募」、7−11日が「会友」(札幌パークホテル)という区分けになっています。
 書道はしろうとな筆者(書道だけではなくどの分野もしろうとなのですが)の目にもわかる、明確な傾向がことしはありました。
  1. 前衛的作品の微増
  2. 余白を重視した作品が増えたこと
  3. 前項と関連するが、かなで俳句を書いた作品が急増した
です。
 北海道書道展は、漢字(多字数)、漢字(少字数)、かな、近代詩文、墨象、篆刻・刻字の6つの部に分けて公募、審査しており、「前衛」というセクションはありません。
 ただ、「こりゃどう見ても字じゃないぞ」というのが、わずかながら出てきています。
 代表格は小川東洲さん(札幌)で、黒地に赤く炎をかいています。
 しかし、もともと漢字は絵から発生したのですから、炎の字が絵になるのは、或る意味で自然なことだともいえます。
 また、紙の半分以上に茶色を塗ってその上に墨で極太の横線をひいた三上山骨さん(小樽)、途中で横に折れ曲がった矢印を下から上へ向けてたくさん書いた三橋啓舟さん(札幌)、甲骨文字の時代をさらにさかのぼったかのような中野層雲さん(同)の作品も、文字とは言いにくい地点にまで来ています。
 英語ということが説明を読んではじめてわかる須田廣充さん(江別)も、しいて分ければ近代詩文なのでしょうが、先にあげた6つの区分にはおさめづらい作品だと思いました。

 余白について言えば、以前は太い筆で黒々と大きな文字を書いていた安保旭舟さん(札幌)、小黒秋峯さん(同)らが、筆をすこし細めにし、周辺に白い部分をのこした、或る種の余韻を感じさせる漢字作品になっています。
 絶妙のバランスを感じさせる野中竹峰さん(同)「星川」や、力みがうまいぐあいに抜けている、淡墨の羽毛蒼洲さん(同)や本間孤峯さん(同)、一字書の島田青丘さん(同)「壁」、墨象の中野隆司さん(同)、さらに、左側を空けて筆をおいたベテラン中野北溟さん(同)の近代詩文なども、挙げられるかもしれません。
北海道書道展の会場風景 また、渦巻きがユーモラスな水上祥邦さん(旭川)「川のおと」、枯淡の境地とも言うべき藤根凱風さん(札幌)や島田無響さん(同)、藤原大眼さん(同)なども、余白をたっぷりとっていますし、「陀」という文字を力強く淡墨で書いた東志青邨さん(同)も下部に余白を意識した作品ということができそうです。

 これまでかな書が題材としてきたのはほとんどが短歌でした。しかし、ことしは俳句が増えています。
 松本瑛子さん(同)は蕪村、平田長閑さん(旭川)は松本たかし、千葉軒岳さん(函館)は金子兜太、水野良子さん(夕張)は山口誓子、長内敬子さん(札幌)は松本つや女、千葉和子さん(同)は渡辺水邑、佐々木公江さん(岡山)は芭蕉−といったぐあいです。
 2尺8尺で縦に短歌を書く場合、どうしても2行にわたりますが、俳句だと1行でおさまります。これは、必然的に左右の余白を生みます。
  ところで、これは筆者がじぶんでかってに考えていたことなので、ちがっていたら指摘していただきたいのですが、もともとかなには「会場芸術の難題」というのがあると思うのです。
 どういうことかというと、昔から拓本や屏風など大きなサイズの作品があった漢字にくらべ、かなは女性の手紙から発達してきた文字ですから、展覧会場でバーンと引き立つような大きさで書くようにはなっていないのです。
 かながもともともっている優美さと、会場の大きさに負けない力という、本来相容れないふたつの要素を追い求めなくてはならなくなったのではないでしょうか。
 俳句を書くと、それほど力に傾斜しなくても、会場映えする作品になりやすいのかもしれないと思いました。

 ほかに印象にのこった作品。
 漢字。
 宇野雉洞さん(札幌)の強弱のつけ方。遠藤香峰さん(石狩)と今村桃香さん(同)のパワー。近澤鷹齋さん(旭川)「脱」の、最後の点。照井心磊さん(同)「樹」はバランスがみごと。
 土田静峰さん(小樽)「虚心静慮」には、禅味のようなものが感じられます。
 中島荘牛さん(函館)「無為胡蝶」も、しみじみとした余韻と力とが同居しています。
 山田太虚さん(札幌)はオーソドックスさが魅力です。
 近代詩文。
 余白と洗練を追った作品が多くなる中で、高橋陌遙さん(同)の過剰さは貴重。
 我妻(あづま)緑巣さん(札幌)も安定しています。
 墨象。
 渋谷北象さん(旭川)、馬場怜さん(後志管内余市町)などは安定した力量を見せています。
 最後に、かなの安喰のり子さん(札幌)。「君死にたもうことなかれ」です。時代となんらかのかたちでかかわっている作品は、この1点でした。

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