ハンドメードパイプの楽しみ
    Part 4


お待たせしました。Part2でお約束した、
木目出し着色、磨き、WAX処理の説明を致します。

     パイプの製作でボールの削り出しと、今回説明する仕上げ工程が一番わくわくする、
    楽しいときです。
    着色前はとても素敵な木目で、さぞかし素敵なパイプに仕上がるだろうと思ったパイプ
    が何だか煤けたような色調になったり、傷がやたら目に付く様になったりします。
    一般的にプロ作家は自分の仕上げの色調を決めて居るようです,どんなブライアーでも
    同じ様に仕上げるのはとても難しいものです、私はあえて仕上げの色や木目出しを
    決めずにそのブライアーやパイプの形等からそれぞれに最も合った仕上げをする事に
    して居ます。




     木目出し
     木目出しとは、ブライアーに染料を塗り、もう一度、染料を落とす事により、
    ブライアーの染料が染み込み易い部分に着色し、木目を強調する技法です。
    まず、サンドペーパーで#600位まで丁寧に磨いて下さい、やすり目が残って
    居るとその部分に濃い染料が残り、今一度始めからやり直す事になります。
    木目出しは木目を真っ黒に強く出すものから、明るい色に仕上げるために
    茶色、黄色、オレンジ等の場合といろいろ有ります,黒を強く出したい場合は、
    柘製作所で出している瓶入りの黒染料が手軽でお勧めします、こげ茶、茶色、
    黄色、オレンジ、マホガニーなどの場合はアルコール染料(東急ハンズ渋谷
    店に有ります)がお奨めです。

    今回の説明は茶色の木目出しで説明します。





    白いコップか茶碗にアルコール(廉い燃料用アルコールでけっこうです)を
    10cc位い入れ、モールの先にアルコール染料を取り、溶かします、染料の
    量は耳かき2〜3杯程度です、さほど濃くない濃さで、何度も重ね塗りをした
    方が良いでしょう。
    重ね塗りは乾いてからと思われ勝ちですが、染料は半乾きの時が最も良く
    染み込むものです。
    染料の濃度にもよりますが、5回位の塗り重ねはしたいものです、
    思った濃さになるような染料の濃さを覚えて置いてください。
    最後に15分位い、十分に乾かしてから、ティシュペーパー、キッチンペーパー
    タオル等にアルコールをたっぷりと染ませて、綺麗に拭きとって下さい、
    染み込み易い木目に染料が入り、木目がはっきりと見えて来ます,
    乾燥させ(10分位)てから、最後に掛けたサンドペーパー#600で再度磨きます。
    むらのない様に均一に丁寧に磨いて下さい、これで木目出しは終わりです。


                     





      
       着色
     木目出しの終わったパイプはさらに細かいサンドペーパーで磨きます、
    #600の次に#1000で綺麗に磨きます。
    この後、バフで磨きパイプを光らせます,バフ磨きに付いてはブライアー部分、
    マウスピースの部分に分けて後ほど説明致します。
    バフでマウスピースを装着したまま、全体にバフ掛けし、その後、着色をします。
    染料は木目出しに使ったものと同じですが、茶色の木目出しに対し、茶色、黄色
    オレンジ、など好みの色を使用します、
    木目出しと違い、20ccのアルコールに耳かき一杯位を溶き、薄い色を塗る様に
    します、乾くと染料の透明度が悪くなり、ちょっと汚く見えますが、WAXで磨けば
    濡れた時の感じになるので心配しないで下さい。
    何回も塗り重ね、自分の思ったような色になったら充分乾燥させて下さい,
    30分も乾かせば良いと思います。



                 

                      


      WAX磨き
    パイプのWAX磨きはカルナバという固形の黄色い半透明のWAXを回転する
   バフにWAXを磨く様に擦りつけ、摩擦熱でバフに付着させます、このWAXの
   着いたバフでパイプを磨く事によりパイプ表面にWAXを平らに塗布し光らせます。
   バッファーを持って居る方は少ないので、別の方法もご紹介しますが、これは、
   先程触れたバフ磨きの項目で説明します。

   まず、バフにWAXを強く押し付け、WAXの溶けた匂いが感じられる位い、
   たっぷりと付着させます、このバフにパイプをかなり強く押しつけ、パイプ表面が
   熱くなるように擦り着けます。
   この段階ではWAXが、かなりむらに付着し、方々にWAXの塊が見られると思い
   ます。
   次に、バフに他の木材等を擦りつけバフからWAXをこすり取ります。
   WAX用のバフを二つ用意すれば、この工程は省けます。
   WAXの付着が少なくなったバフで再度、パイプを磨きますが、今回は強く押し
   付けず軽く当てる様にして磨きます,先程のWAXの塊が無くなるまで、丁寧に
   バッフィングして下さい,これで、貴方のパイプはお店に並んで居るパイプの様に
   ピカピカになった筈です。
   更に、もう一工程あります、乾いた手のひらでパイプを磨いて下さい、手のひらが
   熱く感じる位い、早く、強くこすると最高のピカピカパイプになること請け合いです。



   
 
    バフ磨き
   パイプを磨くにはバフを取りつけたバッファー(卓上電動研磨機)が欲しいものです。
  パイプを販売している専門店なら常備している所が有ります。
  日常のブライアー部分の磨き、変色したマウスピースの磨きに無くてはならない
  道具といえます。

  私の現在使用しているバッファーは150W,3000prm/50Hzのものですが、今では一万円も
  出せば買えると思います,
  これに直径15cmの綿バフを取りつけて居ます。
  バフは赤棒用(やや研磨力の強い研磨剤)と白棒用とWAX用と最低3枚が必要でしょう。
  バッファーまではと云う方は電動ドリルでも構いませんが、パイプの仕上げに10分から15分
  はかかります、その間、電動ドリルのあの騒音に耐えられる方のみにお奨めです。




  さて、バフの掛け方ですが、まずマウスピースの場合、バッファーを始動させ、バフに赤棒を
  押しつけて研磨剤をつけます、これにマウスピースを当てて磨いて行きます。

  ここで重要なご注意があります。
  直径15cmのバフが3000rpmで回転すると、バフの周速は23m/sec、時速にして70km/hに
  なります、パイプがバフに引っかかると、70kmのスピードでパイプがすっ飛んで行きます,
  パイプが使用不可能なまでの損傷を受ける事も有ります、くれぐれもご用心のほどを!!!  


  次に、バフを取り替え、白棒を使って仕上げの磨きをします。
  ブライアー部分の磨きは赤棒は使わず、白棒のみにして下さい。
  始めは強く押し当てて磨き、徐々に軽く当てる様にして磨いて行きます。

  これで、先程説明のWAX磨きをすれば磨きの完成です。

  最後にバッファーも電動ドリルもない方にハンドバッフィングを紹介して置きます。
  シーツなどの綿布100cmX50cmを3枚用意して下さい。
  これの右側をどこかしっかりした所に固定して下さい、万力でも有れば、これに挟みます。
  (サウスポーの方は左を固定、何の為) 
  布の左端しを引っ張り、ぴんとさせ、そこに赤棒、白棒、カルナバWAXをそれぞれ強くこすり付け
  て塗布します、これで用意は完了です。白棒が無ければコンパウンドでも出来ます。
  この布にパイプを右手に持ち、強く押しつけながら左右に出来る限りのスピードでこすって下さい。
  なんせ、バッファーのスピードは時速70kmです、負けずに手を動かしましょう、
  汗だくになることうけあいです、健康と体力維持にもなりますよ。

  

以上で今回の説明は終わりとしますが、着色でパイプの仕上がりは
大きく変わります,、一度仕上げたものでも再度サンドペーパーで落とし
いろいろなカラー、濃さなどを試して見ることをお奨めします、
何回かやって見て自分の好きな仕上げ方を会得してください。

質問等有れば、ご遠慮なくメールでお問い合わせ下さい。