ハンドメードパイプの楽しみ
Part 5
穴無しプラトーで作る人が増えた様で、火皿の明け方の
お問い合わせが多いので新しくページを作りました.
パイプ火皿と煙道、ダボ穴の明け方 . 始めにお断りして置きますが、ここでご案内する加工方法は他の作家、メーカーの 方法とはかなり違うと思います、私の手法ですので、もし参考になる所が有れば やって見て下さい。 1. 原木からパイプ木部の形を削り出し、ほぼ形が出来上がった所で、まず、 火皿を明け ます、それに先立ち、木部の上部に穴位置、穴の大きさ、 煙道の方向を描きます、サイド部に火皿の透視画(深さが大事です)、 煙道を描きます、上とサイドの煙道の線をダボ穴を明ける面まで伸ばし、 十字のクロスさせる、ここが煙道の明け口になる。煙道はダボ口の真中に 明けるとは、限りません。 写真1 ![]() 成型前のエボーションで写真を撮りました、ベントパイプなどは火皿の厚さ、 煙道の通り具合を確認するために、かなり成型が進んだ段階で穴明けをした方が 良いでしょう 2. 火皿明けですが、私はボール盤を使わず、ハンドドリルの手持ちで 明けています。その方が火皿の大きさ、形状が自由に出来るのと、いろいろな 寸法の刃を揃えるのが大変になる為です. 手持ちは危険な気がすると思いますが、変速機能の有るハンドドリルの低速で なら、さほど危険ではありません、私はハンドドリルをスライダックで電圧を落とし トルクを弱くして作業しています、火皿の下穴は60Vで回転やすりは80V位です。 まず、12mmのドリルの刃で穴の中心と穴の方向を見定め下穴を明けて行きます. 写真2 ![]() 15mm位いの深さでドリルを穴に対し外側に振り、穴を広げます、 さらに深く穴を明けながら適当な火皿の大きさにします。 写真3 ![]() この時、火皿の予定深さの5mm位い浅い所でストップします。 ドリルの刃を市販の14mmの回転やすりに交換し、予定の火皿形状に近い 所まで広げ、滑らかにします。 回転ヤスリはDIY店で1000円位で売っています、(写真11参照) 写真4 ![]() 3. 次は煙道明けです。普通はダボ穴を明けてから、煙道を明けますが、 この方法では思う方向に煙道を明け憎い事と、ダボ穴の一部を傷付ける事に なるので、私の独自の方法です. 煙道の太さはイギリス系の煙草なら4mmから4.5mm、ヨーロッパ系の細かい葉の 場合は4mmから3.5mmが良い様です、4mmのロングドリルの刃1本を購入して おけば良いと思います. 先程描いた十字の所から煙道の方向線の合わせ5mm位ドリルを進め、予定線と ドリルの刃の方向を横から、縦前から確認します、刃の方向を修正しさらに2~3mm刃を進め、 正しい角度に刃が固定されたら更に刃を進め必要な所まで煙道を明けます、 ロングドリルの刃と予定線が直線になる様に明けるのですが、想像より正確に行く ものです、多少のずれは、この後の修正作業で直せます。 煙道の長さに合わせ、刃にテープ等で印を付けて置きますが、始めはどうも多少 浅めになり勝ちです、2mm位い深めに明けて下さい。 写真5.6. ![]() ![]() 4. 再度、12mmの刃で火皿を深くします、電圧を下げて置くと煙道と火皿の穴が 会った時にドリルがガツンと止まったり、抵抗を受けショックを感じます。 ここで回転やすりに付け替え、火皿を綺麗に仕上げます. 以上の作業で10分位で出来ると思います、慣れれば5分も掛からずに出来る 様になります。煙道が多少ずれても、この段階で修正して煙道が 火皿の真ん中に来るように直してください。 5. 最後に明けた煙道の入り口を4mmの竹や木の丸棒13mmをエポキシ接着剤を付け 煙道の入り口に接着します、これは既に穴が有る所にドリルの刃を入れると、 綺麗な穴が明かないので、一度穴を埋めてからダボ穴を明けるという手間を掛けています. 煙道とダボ穴の明け方 6. ダボ穴に付いて ダボには擦り合わせとテーパーブッシュの2TYPEが有ります. まず、擦り合わせのダボ穴はシャンクの太さにより、いろいろな大きささを選びます. シャンクが充分太い場合、私は7.8mmを標準サイズにしています、細い場合は 6mmを限界にして居ます、ダボ穴の深さは13.5mmから15mmにして居ます. テーパーブッシュの場合まずダボ穴を7.8mmと10mmの下穴を明け、 それに合う2度のテーパーリーマーを使いテーパーを付けます、 7.マウスピースの ダボに付いて きちっとしたダボの勘合の為には正確なダボの太さが 非常に大事です、擦り合わせダボの太さはダボ穴プラス0.05mmにして居ます、 精度は0.01mmとし、7.8mmでも6.0mmでも同じです.細いダボの場合 太いものの方が固く感じますが、細いシャンクやダボを傷めない為にも その方が良いと思います.ダボの長さはダボの太さにかかわらず 13.0mmに決めています。 8 .シャンク擦り合わせ部分の研磨 ダボ穴を明ける前に シャンクの刷り合わせ部分の 平面を平らにします、方法はサンドペーパーを平らな所の置き、 刷り合わせ部分を研磨します、 サンドペーパーは150番位が適当です、 写真 7 ![]() 擦りが終わったら平面部分が直角の出た丸エボをあてがい、シャンクと マウスピースの繋がりの流れを見ます、左右の曲がり、横からのピースの ラインを確認し、サンドペーパーで修正します、ちょっと難しい作業ですが 気長にやって下さい。 写真 8 ![]() 9.ダボ穴の明け方 ボール盤の台の上でパイプを固定します、この場合、 万力に8mm位のベニヤ板を2枚用意し、これを介してパイプを擦り合わせ部分が 水平になる様に挟みます。 その上に水準器を置き、水平度を微調整します、水準器は20mm位の丸又は 角型の簡単なものが良いでしょう 、 写真 9 ![]() ボール盤の回転速度は遅い方が綺麗な穴が明きます、 シャンクの真中にドリルの刃を少し当て、穴位置を確認后明けて下さい、 13mmのダボを入れるなら13.5mmの穴を明けます。 10. ダボの挿入ダボの根元にはダボの折損を防止する為にアールが とって有ります、その為、そのままではダボが入りきる前にこの部分がつかえて ピッタリとは入りません、火皿を明ける際に使用した回転やすりを手で2~3回 この部分に当て回転し削ります。 写真 10 ![]() いよいよ、ダボの挿入ですが、そのまま挿入すると摩擦熱でダボが傷み、 ざらざらになってしまいます、WAXか石鹸をこすり付けて下さい、 使用時にこの匂いが気になる様なら楽器店でバイオリンの調弦ペグの 鳴き止め、緩み止めのWAX(1500円)が購入出来れば一番良いと思います. ダボは一気に入れようとせずに、ゆっくり左右に回転させながら、 馴染ませるように入れる様にして下さい。 11. 擦り合わせ面の調整 、 水準器で合わせても多少の隙間が出来ます、 ダボを入れ、抜いて見ると当たった 部分が光って居ます、サンドペーパーで全面が光る様に擦って合わせます、 ぴったりと合ったら400番600番1000番のサンドペーパーで更に平滑にします。 ダボを挿入し、明るい光源の前で擦り合わせ部に隙間がないか回転させながら 確認します。 12. 煙道の修正 ストレートのパイプの場合は必要有りませんが、 ベント、フルベントの場合は煙道とダボ穴の方向が違うため、モールが マウスピースを付けたまま、火皿まで通らないパイプが有ります、 私の個人的こだわりかも知れませんが、ハンドメードパイプでは 良いパイプとしての必要条件だと思っています。 修正方法はリューターに直径4mmの球状のやすりを使用し ダボ穴から煙道内部を削ります。しかしフルベントの場合、修正してもなかなか スムーズには通りません、 モールをマウスピースのカーブに合わせ曲げて癖をつけ差し込んで行き、 つかえた所で180度モールを回転し、これで上手く通ればOKですが、 これでも通らない様ならさらに煙道の修正が必要です。 この煙道修正の作業はマウスピースが完成の後にやる必要が有ります. 以上で完成です。ダボ穴の方向と擦り合わせ調整がパイプ製作の一番手間の 掛かるところです、気長にやって下さい。 写真11 以上 |