din ROMANIA 〜ルーマニアからコンニチハ

23.Nov

あやしい日本人男性に声を掛けられ・・・怒り爆発

ブラショフで高級品を扱うスターデパートへ買い物に行った。

一人の日本人男性と目が合い、あちらが私を見て少しピクッと反応した。
外パブあがりのネーちゃんのパトロンかな・・・通り過ぎた後でネーちゃんのほうが声をかけてきた。金髪・・・外パブあがりで間違いないだろう。

「アー・ユー・ジャパニーズ?」 ダー、シーグル・カ・ダ

「ブラショフ シゴト? アソビ?」 んー表向きは観光

「アノ、アノ、チョット コッチ キテ イイ?」 突然、何の用?わけがわからない

呼ばれる方へ行くと、さっきの男が待っていた。何でしょう?と訊くと、開口一番

「あのね、私しょっちゅうルーマニアに来てるの。もう5回くらい。観光ヴィザでもアファーラ(外)、あっ外ね、ハンガリーとかにちょっと行ってくるだけでまた3ヶ月居られるのよ。そいで、ずっとブラショフに居るんだけどね」

ヴィザのことぐらい知っとるわ。知ったかぶりな態度が気に食わない。

「ルーマニアは悪い国よ。ルーマニア人は皆、泥棒なの。全員信じちゃダメ。誰一人信じちゃダメ。警察も泥棒よ」

人を呼びつけといて自己紹介ぐらい出来んのか。いい年して。
この男の無礼に腹が立ち、さらにルーマニアのことをボロクソに言うのがまたムカついた。

「カルメンはね・・・あっ、この彼女ね。彼女は特別なの。私、彼女の家に世話になってるの。彼女の家は裕福でね。彼女の家みたいなのは例外。あとは全部、泥棒。信じちゃダメよ。お店だってボッタクリ。ルーマニア製品もダメ。カリターテ(品質)最悪。何か困ったら電話ちょうだい。番号あげとくから」

ときどき混じるルーマニア語が鼻につく。マギー司郎みたいな喋り方も生理的に嫌だ。
はあ、親切にどうも・・・日本人観光客見つけては声をかけているんですか?

「そーなの。心配でほっとけないの。大泥棒の国だもの。何かあったら遠慮なくどうぞ」

なんということ!純粋な観光客にこんな酷いことを吹聴している奴がいるなんて!
きっと裏社会の男だ。マフィアが多いのは事実だけど普通の市民に関係ないし普通に暮らしている人の中にコソ泥はいるかもしれないが大泥棒となると組織ぐるみだ。

私は独り暮らし、いつも一人で旅をしているけれど物を盗られたことも騙されたことも無い。
タクシーでボッタクリに気付いて抗議したことはあるけれど、適正料金だけ置いて逃げた。

男の態度は私の気を悪くさせ、腹を立たせ、胸をムカムカさせた。怒りが込み上げる。

そして、すっかり暗くなった帰り道。
素行の悪そうな子供たちが7名ほどたむろする前を通りかかったとき

「ワッチャーネーム、ワッチャネーーム、ワハハ」 無視・・・
「チャイナ、チャーイナァー!」 ・・・・・・プチッ!

さっき胸まで込み上げていたものに火が付き、ついに私の怒りのボルテージが頭に到達。 ピタッと足を止めて息を吸い込み腹に溜めて振り返り、やかましいっ!!!と日本語で腹の底から怒鳴った。

子供たちは驚いて飛び上がり門の内側に逃げ込んで呆然としている。全員、真顔で口をつぐんだまま。反応されたことにビビるところを見るとナメてかかっていたのだろう。

自分でも驚くほど大きな声が出た。意外と太くて低かった。極妻か応援団並み。大声を出す機会などないし自分の声の最大ボリュームを知らなかった。これなら緊急事態も大丈夫。

向き直って歩き出す。

これを読んだ方、私のこと同じ日本人として恥ずかしいなんて言わないでね。
失礼に対する素直な反応なのだから。
むしろ言われっぱなしではいけない。リアクションをせねば。人間なのだから。

しばらくして付けられているのに気付く。子供たちが付いくる。
バス停まできてクルッと振り返ったら走って逃げて行った・・・
どうやら外国人をからかうのはレクリエーションとみた。

そもそも朝からフツフツとするものはあったのだけど。

叫んだら気分がスカッとした。
怒りを表す。感情を出す。別に悪いことじゃない。
ルーマニアでは当たり前のこと。だからストレスのない国なのだ。

アパートの玄関に入るとエレベーター前に少年が一人。 「こんばんは。どうぞ!」私のためにドアを開けて待ってくれていて、女性に対する最上級の挨拶をくれた。「何階ですか?」3階までお願い。君の家は何階なの?「6階です」笑顔でハキハキ話す。3階でドアを開けて「よい夜を」と言ってくれた。礼儀正しい少年。カワイイ・・・。将来ステキな青年になることだろう。

良い子もいっぱいいるのだ。怒りはすっかり癒されて嬉しくなった。

よく考えてみたら、ここに取り上げて書くことは悪いことばかりかしら?と反省した。
バスで席を譲ってもらったり、タクシーの運転手さんにやさしくしてもらったり。いい目も実はたくさん遭うのだから。