ヴィザの更新を兼ねてブルガリアへ行くことにした。
過去一緒に仕事をした唯一のブルガリア人男性が協調性に欠けるひがみっぽい奴だった為に私のブルガリアに対する印象は悪い。そんな私がブルガリアに足を運ぶとは当時予想もしなかった・・・
なにせ身近にいるMさんが最近ブルガリアで睡眠薬強盗の被害に遭ったばかり。
生の体験談は身にしみる。あ〜コワッ。
『BULGARIA EXPRESS』はモスクワ発。ブカレスト・ノルド駅からブルガリアの首都ソフィアまで2等列車クシェット(3人寝台)料金・往復6600円。無職の私には大きな出費。
出発時刻になっても列車がこないし案内板にプラットホーム番号さえ出ない。
昔はよく遅れたそうだけど現在は、ほぼ定刻に出発するのに。
「近頃起こったモスクワのテロの影響もあるかも」と誰かが話す。
30分遅れでホームに列車が入ってきた。
乗り込んでみるとコンパートメントに私一人。お気楽だ、ラッキー。
まもなく発車。
在ルの日本人S氏が持たせてくれたオニギリを正座して食べる。
梅とおかか、美味しいな。
食べ終わった後で海苔が別に用意してあったことに気付いた。ありゃ残念。
ガタンゴトンと揺れがひどいので乗り物酔い止めの薬を飲んでおく。
国境 GIURGIU NORD でパスポートコントロールのため50分停車。
パスポートを渡したあと、暇なので爪なんぞプチプチ切る(脳天気?)
それにしても暑い、暑すぎる。
我が部屋のようにズボンを脱ぎ捨てタイツ姿で顔を洗っていると誰かがドアを開けた。
「ブナ・セアラ、スクザッツィ・・・」
ダー、ダア、イメディアと顔を拭き拭き見るとコントロールだった。
「ルーマニア語でいいか」・・・ダアーなのだ
「パスポート出して」・・・ガタ。あなたの仲間が持っていったよ
「何処へ行くんだ」・・・ラ・ソフィア
「何しに行くんだ」・・・ペントル・ヴォヤージュ(旅行)
「荷物はどれだ」・・・アスタ・ウナ(これ一つ)リュックだけ
「ほかには」・・・ヌー・アム(ない)そう言ってもコンパートメントの隅々まで捜索される
「所持金は」・・・オ・ミエ・デ・ドラリ(1000ドル)うっかり間違って言ってしまった
しかし貧乏人に見えたのか
「オ・スタ・デ・ドラリ(100ドル)じゃないの?」・・・オオッ!ダー・アシャ・イェ(ハイそうです)
「何しにいくんだ」・・・さっき言ったよドムヌル。観光でぇす
車掌がパスポートを返しに来た。
車掌の手の上のパスポートの束の中から、赤いのが私のだよと言って抜き取る。
パスポートを見るとスタンプもちゃんとある。
БЪЛГАРИЯ ΡΕПУБЛИКА (ブルガリア共和国)
ちょうど変な煙がモクモク車内に入ってきたので車掌に、このフム(煙)は何?と尋ねたら
「フムじゃないよ、フムだよ」と笑いながら私のアクセントを注意した。
こうして悪いエピソードばかり聞くブルガリア国境越えは無事終了。
この夜、金縛りにうなされた。うーうーうーーーぐーーーうーーー重いよーっ。
私の上に大男が重石のように乗っているのが見えた・・・ような気がしただけ。
事件性はアリマセンのでご心配なく。
もしかして列車にとりついた霊だったりして(笑)