din ROMANIA 〜ルーマニアからコンニチハ

14.Sep

まだお湯が出ないので管理人サンドゥ家で、お風呂ついでに夕食までご馳走になる。
(おまんまは確信犯なのだけど)

お父さんが食事を作る家庭はルーマニアでこのサンドゥ家しか知らない。元は軍人だったというから似合わない。「愛しているよダニエラ」「私もよ」そんな会話で食べ始める。「美味しいわ」「そりゃそうだ。愛する君のためだから」・・・私のほうが照れる。

近頃ダニエラは何もヤル気が起こらなくて困っていると言う。夜12時に寝て、朝10時に目が覚めるけれど正午を回るころまで頭がボンヤリして4時ごろまた眠くなるそうだ。更年期障害らしい。

ほうれん草をいっぱい食べなさいとアウレルがすすめる。オシリを振りポパイの真似をしながら、ほうれん草のピューレと目玉焼き、ソーセージと付け合せのジャガイモとトマトと香草の煮込みをテーブルへ運ぶ。いつもこの調子で陽気なオジサンなのだ。ほうれん草は2〜3月が旬だと思っていたけれど、9月のほうが日照条件が良く葉も立派でビタミンが豊富なのだそう。ルーマニアの友人からルーマニア産は匂い(青臭さのこと?)がキツくて日本のもののほうが美味しいと聞いていたのだけれど、そんなニオイは気にならない。

レシピは、ほうれん草を茹でて、みじん切りにして牛乳を少し入れて塩と油とニンニクで味付けする。簡単。モロヘイヤみたいなネバリがあり見た目はドロッとして不気味だけれど、半熟目玉焼きから流れ出た黄味と混ざるとおいしい。熱いうちはいいんだけれど冷めると離乳食か病人食みたいに感じるのでサッサといただいた。アパートで一人で作って食べるのは味気ないものだけど、ここでお喋りしながら食べる食事はいつも美味しく感じる。ここの家庭に限らず人と一緒だと、つい食べ過ぎてしまうのは人恋しいからだろうか。

食後、9時ごろからテレビでアメリカの元テニス選手とルーマニアの元テニス選手が30年ぶりの対戦というゲームをやっていた。スポンサーは携帯電話会社のコネックスで、テニス中継にしてはショー的要素が強い。すっかり太ってしまったルーマニア人選手は動きに軽快さがない。ルーマニア人は大食漢だからなぁ。

携帯電話のベルがなったのに電波の状態が悪く1コールで切れてしまった。掛けてみると日本人ナースNちゃんで風邪を心配して電話をくれたのだった。

「アパートの電話も出ないし倒れてたらどうしようと思ったよ」あぁ、看護婦の言葉は人一倍心強い。そういう彼女も疥癬にかかって休職中なのだった。 お互いの近況を8〜10分くらい話した頃プリペイドが切れた。え、もう10ドルなくなったの?1分120円強?ルーマニアの携帯電話の通話料は国際電話なみに高いと知った。どおりで儲けているんだなコネックス。

帰り道、洗った髪がまだ乾いていなくて寒いのでジャケットのフードを被ってトコトコ歩く。
シンシンと冷たい夜の空気に薪を燃す匂いがする。ん〜、石焼き芋が恋しいな。