今日も雨、嵐のような天気だ。雨の日に出来る観光といえば芸術鑑賞。
せっかく芸術の都へ来たなら音楽鑑賞がしたい。ホテルのフロント係の感じのいい女性におすすめを尋ねて今夜のクラシックコンサートを予約。特別ドレスアップの必要はないとのこと。
日本にエアメールを出しに郵便局へ。
ここでは携帯電話も取り扱っていて、私がルーマニアで買ったNOKIAの携帯電話がオーストリアではもう型遅れらしく無料になっている。ショック。4,000,000レイ(約1万6000円)も払ったのに悔しい。
しかし、この天気は異常。ニュースでヨーロッパ各地の洪水を取り扱っているくらいだから特別な気象なのだろう。
風が吹き荒れて雨が横殴りに降り、あまりにも寒いのでウィンドブレーカーを買おうと中央の街へ出た。ファッションの店が並ぶマリアフィルファー通りには思いがけない寒さにジャケットを買い求める観光客がたくさん見られた。どの店も手頃な価格のジャケットが店頭に出してあるけど体の小さな私にはデカすぎる。いくらその場しのぎでも気に入ったものを買いたい。分厚いのや重たいのは後々邪魔になるし薄っぺらいのも嫌。散々探して裏地とフード付きで背中のポケットに包み込んでコンパクトにたたんでしまえるものを選んだ。20ユーロ。貧乏旅行者の私には衣類にかける出費としては、これが限度。でも拾い物の傘と色合いがよく似合う。
別の店で私が着ているのと同じ服(長崎のGAPで買ったもの)を見つけた。な〜んだぁ、世界中で同じものが流通しているのかと思うとウィンドーショッピングも白けてしまった。日本のダイソーで買った100円の時計もちゃんと動いているし充分、役に立っている。価格と価値について考え直した・・・・・
もともとブランド志向ではなく質実本意な私。それでも・・・今まで何と不当な付加価値にお金を浪費してきたのだろうと気がついた。
お腹がすいたので魚マークが目印のファーストフードショップへ。ここはシーフードがメインでボリュームタップリのサラダやサンドウィッチが種類豊富に並んでいる。ツナサラダとカプチーノを買い、窓際の席に外向きに座って、食べながら通りを眺めていた。
雑誌売りの青年と目が合った。肌の色の浅黒い、おそらく東南アジア人だろう。雨に濡れた雑誌をササッと拭いながら客を待つ。ボンヤリした眼差しで地面でも壁でもない空間を見つめている。暇なのか私を見る。こちらが気付くと視線をそらす。
ここに仕事をもって暮らす外国人である彼は旅行者の私を見て何を思っているのだろう・・・
食事を終えて店を出て通りを歩いていくと東南アジア人の雑誌売りは、あっちにもこっちにもいた。アジア系のほか黒人も多い。
オーストリアの街は小さな通り全てに名前がついていて(日本のように番地ではない)地図はゴチャゴチャして分かりづらい上に長い名前は省略して書いてあるしドイツ語は難しい。
立派な彫像やモニュメント、広い王宮敷地や公園はとても華やかで中世の面影を残している。当時のままの姿で数百年も健在であることに感動・・・街並みを歩けば貴族が歩いていた時代の光景が想像できる。
ハッと気付くと、遠くまで歩きすぎてコンサートの時間が間近だというのに現在位置がわからなくなってしまった。道を尋ねたら、「私もスイスから来た観光客だから分からない」という。なんとか時間ギリギリに席につくと皆ラフな服装なので安心した。私ときたら小汚くはないけれどズボンにスニーカー、カメラバッグ携行という、とても音楽鑑賞に適したフォーマルとは掛け離れたスタイルだった。