ＰＩＣで作る周波数カウンター

ＰＩＣで作る周波数カウンター　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Vol.1
２００６年１０月１５日(日) ■周波数カウンターの概要　　　周波数カウンターは電子回路の調整、無線関係、回転計、タコメーターなど応用範囲の広い測定器です。自作することも、校正する事も比較的簡単に出来ますので電子工作の定番でもあります。ですが、精度や帯域を要求すると、奥の深い測定器でもあります。　今回はマイクロチップ社のマイクロコントローラーを利用して可能な限り部品点数を少なく、又ソフトにより、ＰＩＣの能力を最大限に利用して精度の向上をした周波数カウンターを製作します。※部品点数へのこだわりは　組立ての効率化、コスト削減、消費電力の低減、小型化への対応です。 ●参考）以前紹介した、「デジタル式タコメーター」は基本は周波数カウンターと同じです。　タコメーターは３桁程度の精度で問題ないのですが、周波数カウンターとしては使い物　になりません。今回は８桁表示とし、精度重視で製作します。 ■周波数の測定原理　　　周波数とは単位、Ｈｚ（ヘルツ）で表し、単位時間当たりに繰り返される回数を示します。これは１秒間に１サイクルの変化があった事を１Ｈｚとしております。又、１秒間に１０サイクルの変化が観測されたら、１０Ｈｚとなり、時間とは逆数の関係にあります。

次に２種類の周波数の測定方式を説明します。 ●周波数の測定　「直接計数方式」　　直接計数方式による周波数の測定は一定の時間に何回のパルスが入力されたか　をデジタル式のカウンターで計数します。この一定の時間のことを一般にはゲートタイム　とかサンプリング時間と呼ばれ、精度はこの時間で決定されます。　ゲートタイムは被測定信号により、０．０１秒、０．１秒、１秒、１０秒など、切り替えて　測定します。これを測定レンジと呼びます。

●周波数の測定　「レシプロカル方式」　　レシプロカル方式による周波数の計測は被測定パルスの立ち上がりから、次の立ち　　上がりまでの時間を計測パルスでカウントし、このカウント値を　「時間→周波数変換」　　の式で計算する方法です。　下図　　直接計数方式では低い周期の測定には時間がかかりますが、この方法ですと、最低　　１周期分の測定で結果が得られます。実際には数周期を測定して、その平均値を　　測定結果にするといいでしょう。　　逆に計測パルスのカウント値が多く得られないような、高い周波数の場合、この測定　　方法は向いておりません。

■周波数カウンターの製作　　　今回はもっともポピュラーな「直接計数方式」を採用して、ゲートタイム１秒の周波数カウンターを製作します。マイコンにはＰＩＣ１６Ｆ８１９を使い、表示器は７セグメントも綺麗でよいのですが、ポート数は食うし、配線も制御も大変ということで、手っ取り早く、ＬＣＤにしました。ＬＣＤの制御ソフトは以前、「２ＣＨデジタル温度計」を製作した時に応用が利くように作ったものを使用します。被測定信号の入力回路は帯域と感度を高めるため、ＦＥＴ入力とし、トランジスタを経由してＰＩＣのＴ０ＣＫＩに接続します。３０Ｍｈｚまでであれば、十分反応する回路です。クロックは精度を確保するため、水晶発振子ではなく、水晶発振器を接続。これでとりあえず、周波数を計れる最低限の回路ができます。尚、入力回路が無くてもＴＴＬ信号であればＰＩＣに直接入力できるので、もっと簡単な回路になります。要するに、ＰＩＣと表示器、発振器をつないで、電源を入れれば完成なのです。 ●回路図とソフト　　回路図　「f_counter_01.pdf」　ソフト　「f_counter_01.hex」　　　　ゲートタイム　１秒。１６７７７２１６の分解能でDC～約３．５Mｈｚまで測定できます。　　次回はレンジの切り替え機能を追加します。 ■周波数カウンターの製作　今後の予定　　　今回の回路とソフトをベースに今後は次のように機能アップを図っていく予定です。　・レンジの切り替え　　周波数測定プログラムの構成　ＴＭＲ０とＳＦＲ　　０．１Ｓｅｃ／１．０Ｓｅｃ／１０Ｓｅｃの３種類をスイッチにより切り替え　・内蔵プリスケーラーの使用　　　内蔵プリスケーラー使用の選択をスイッチで行い　最大３３Ｍｈｚまで測定する。　・周波数カウンターの校正　　何と比較すればいいのか。簡単でコストのかからない校正方法の紹介。　・内蔵プリスケーラーのカウント値の読み出し方法　（ＡＮ５９２）　　通常では読み出せない、ＴＭＲ０プリスケーラのカウント値を読み出すマル秘テクニック　・低い周波数を短時間で測定する。　　レシプロカル方式の測定機能を追加　・５０Ｍｈｚ以上の高周波測定　　外付けでプリスケーラーを接続し、最大２．５Ｇｈｚの周波数を測定する。　　次回に続く　「次回はこちらから」

水晶発振器　２０．０００Ｍｈｚ精度はよいが微調整はできない。	ＬＣＤを取り外した所写真は講座用の見本	ＴＣＸＯ１２．８０００Ｍｈｚを測定無調整ですが、ジャストな値
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■その他、周波数カウンター関係について
■周波数カウンターの製作講座のご案内　　　　２００６年１０月２２日　日曜日。東京、秋葉原は「マルツメイク館」にて、周波数カウンターの製作　講座を開催しました。この時、紹介したキットは下記仕様のものです。　ご参加した方々、お付き合いありがとうございました。又、機会がありましたら開催いたします。　●周波数カウンターの仕様　　マイコン　　　ＰＩＣ16Ｆ819　２０Ｍｈｚ動作　　基準発振　　水晶発振子　２０Ｍｈｚ　　表示器　　　１６Ｘ２　ＬＣＤ　キャラクターディスプレー　　測定方式　　直接計数式　　測定レンジ　０．１Ｓｅｃ／１Ｓｅｃ／１０Ｓｅｃ　　　　　　　　　　　３レンジを切り替え可能　　分解能　　　１６７７７２１６　（２４ビット）　８桁表示　　測定精度　　絶対精度　６桁程度　　測定範囲　　ＤＣ～３３Ｍｈｚ　　　　　　　　　　　　　　　プリスケーラーＯＮ／ＯＦＦの切り替えが可能　　1：1／1：8 　　入力感度　　入力回路　ＦＥＴアンプ　　　　　　　　　　１Ｍｈｚ　５０ｍＡ以上／１０Ｍｈｚ　０．２Ｖ以上／１５Ｍｈｚ　０．３Ｖ以上　■周波数カウンター組み立てキットについて　　　　　２００９年　１月　２日（金）　　●周波数カウンターがキットになりました。　　　　「周波数カウンターキット販売ページへ」