美ヶ原温泉
きみの湯旅館 | 階段 | |
りんご風呂 | 三番客室 |
[金宇館]
松本駅から車で10分足らずの松本市内にある美ヶ原温泉は、日本書紀にも紹介されている歴史ある温泉です。閑静な山裾の温泉街の狭い道沿いには、
こじんまりとした味わいのある旅館が点在しています。その中で数多くの文人墨客に愛された歴史ある旅館「金宇館」に宿泊しました。鄙の宿と言われる
この旅館は、創業当初の面影をそのまま残す風情のある旅館です。山の斜面の地形に合わせて建物が造られているため、玄関のある建物と客室のある別棟
がレトロな階段廊下でつながっており、その間に美しい日本庭園やピアノのある昔ながらの談話室が配され、全体としてとても風情のある情景をつくり出
しています。レトロな階段を上った右奥角の庭に面したこじんまりとした客室は、床の間に竹が配され、「たけ」という室名に相応しい、落ち着いた味わ
いのある和室です。お風呂は、内湯が2つ、家族風呂「山辺の湯」、洞窟風呂「鄙の湯」、露天風呂「御母家の湯」の5種類あり、こじんまりとしています
が、風情があります。中でも洞窟風呂は、狭い2つの入口の奥に細長い野趣満点の岩風呂があり、天井のランプが洞窟を照らす光景は独特の味わいがあります。
お湯は透明・マイルドで香りもほとんどない、さっぱりした感じです。どちらかと言えば、体にやさしいぬる湯です。京風懐石料理の夕食は、美味しさ、品数
とも申し分なく、食事だけでも訪れる価値があります。
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[すぎもと]
民芸の宿として知られる旅館「すぎもと」は、民芸風数奇屋造の素朴で上品な雰囲気の旅館です。玄関のある木造3階建てのレトロな本館「松軒楼」 の2階「桂の間」に宿泊しました。この部屋は囲炉裏の板の間+和室の2間と渡り廊下のある、バス・トイレ付の民芸調和室です。(囲炉裏の間がある部屋は
計4室ありますが、バス・トイレ付はこの部屋のみのようです。)一部屋一部屋が造りが違うのがこの旅館の魅力でもあります。「桂の間」は農家(民家)風
の三角屋根の民芸調客室であり、木のぬくもりと灯りが調和して独特のレトロな味わいがあります。窓からは石庭と源泉「つかまの湯」を見ることができます。
お風呂は内湯と露天が各1つ(他に家族風呂1つ)で各々こじんまりとしていますが、木曽五木で造られた湯舟と湯屋は大変趣きがあります。お湯は透明マイ
ルドで体にやさしい感じです。
風情ある専用地下通路で移動して料亭でとる食事は大変オリジナリティのある懐石料理です。山菜や海のもの、ゆば、たけのこ、いのしし料理等、どれも
ヘルシーで味わいがあります。また、旅館のご主人自ら実演する「そばうち」を見学し、オプションで注文した自家製そばも大変美味しいものでした。翌朝
チェックアウト時には道祖神色紙のお土産をいただき、きめ細かな心遣いとサービスに大変満足して帰宅しました。
例年より早く松本城の桜が咲き、散り始めた4月中旬の週末に再び、「すぎもと」を訪ねました。今回は松軒楼のすぐ隣り、そばうちパントリーの
丁度上にあたる「桂白楼」(白い蔵の建物)の2階、「きりの間」に滞在しました。旅館案内には、「中庭を望む松本の蔵座敷」と記載されており、眼下に
美しい庭園を眺めることができます。客室は10畳一間であり、この旅館に2部屋しかない、桧のお風呂付の客室の1つです。新鮮な桧の香りが風呂場から
漂いとても心地よく感じます。また蔵の間に相応しく、客室の趣は伝統的な日本旅館の味わいです。食事はやはりオリジナリティのある独特のものであり、
今回は馬刺しや極上の信州牛も味わえました。
また、今回は家族風呂へも入ってみました。中庭に面した内湯のすぐ隣りに1つあり、予約なしで無料で気軽に利用できます。桧の内風呂であり、家族風呂
としては広く、ゆったりしています。湯舟、お風呂場の床面すべてが桧になっており、お湯につかっていても
体を洗っていても、木のやさしい温もりが伝わってきます。お湯はやはり透明マイルドで、桧の湯舟のせいか、内風呂・露天よりもほのかな香りがあって
満足できる泉質でした。「すぎもと」を味わううえで、大変お薦めの家族風呂と考えます。
美ヶ原温泉自体は静かで静養向きの温泉という印象を受けますが、近くには、明治時代の小学校の建物をそのまま保存している「山辺学校歴史民俗資料館」
や松本の民芸品を展示している「松本民芸館」があります。また松本城や開智学校へは車で約10分、安曇野へは車で30分、美ヶ原高原へは車で1時間少々
の距離であり、松本・信州観光の拠点としても大変便利です。