中棚温泉


中棚荘・はりこし亭

中棚荘玄関

中棚荘

中棚荘のお風呂

食事処はりこし亭

中棚荘玄関 中棚荘・平成館 中棚荘・展望風呂

【中棚荘】
 中棚荘は、千曲川を見下ろす高台にある歴史ある中棚温泉の一軒宿です。島崎藤村等、文人に愛されたことでも知られており、藤村の「千曲川旅情の詩」の中にこの旅館が詠まれています。冬季は温泉のお風呂にりんごを浮かべるりんご風呂でも知られています。
 日差しの強い6月下旬の暑い平日に、日帰り入浴でこの旅館を訪れました。旅館が高台の斜面に沿って建てられており、駐車場は一番下の食事処「はりこし亭」の横にあります。この「はりこし亭」の建物も、旧北国街道沿いにあった築130年の旧家を移築したもので、とても趣のある建物です。「はりこし」とは、蕎麦粉でつくった餅のことで、藤村の「千曲川のスケッチ」の中にも登場するそうです。ここから風情ある門をくぐり、竹林の中を上ったところに旅館の建物があります。フロントは建物の2階にあります。りんご風呂で有名な展望風呂は、更にフロントから階段を上って客室棟へ向かい、そこから風情ある野外の石階段(途中に東屋がある)を上った一番高い場所にあります。宿泊棟は、レトロな風情の昔ながらの建物「大正館」と、比較的新しい「平成館」があります。
 お風呂は、畳敷きの更衣室と丸木を組み合わせた内湯(3つ)が、仕切りのない一つのウッディな湯屋の中にあり、広い窓と相まって大変開放的な感じです。岩の露天風呂(2つ)も湯屋からガラス窓越しに見渡せる位置にあり、更衣室−内湯−露天風呂の絶妙な一体感があります。また、露天風呂からも内湯からも更衣室からも広い窓越しに雄大な眺望を楽しむことができます。一番高い場所にあるため、千曲川や北アルプス等も眺めることができるようです。お湯は内湯・露天とも、透明・マイルド、やや温めでとても体にやさしく心地よい感じです。木の温もりと相俟って、お風呂全体が体にやさしい感じを受けます。また、ほのかな硫黄の香りのお湯には、何とも言えない絶妙な味わいがあり、効能豊かな自家源泉の温泉であることを改めて認識します。また、お湯が温めであるため、心地よく、ずっと入っていたいという気分になります。平日ということもあって、他にお客さんはおらず、広い展望風呂を貸切で楽しむことができました。お湯の素晴らしさに満足し、次回は泊まりで是非訪れたいという気持ちを強くして、帰路につきました。

 中棚温泉の近くには、美しい懐古園や小諸の町、布引観音といった見どころがあります。浅間山や軽井沢にも近く、信州観光の拠点としても一度訪れてみてはいかがでしょうか。

冬の中棚荘玄関

中棚荘・大正館

大正館玄関

大正館1階・旅人の間 大正館階段

[2008年6月更新]
 晴天率90%と言われる佐久エリアのスキー場でも雪が降りしきる、寒い日に、スキーの帰りに初めてこの旅館に宿泊しました。滞在した客室は、昔ながらの大正館1階の角部屋「旅人の間」(118号室)です。フロントのある建物の左隣にある、古い木造建築の建物が大正館です。出入り口が2つあり、普段使用しない奥の出入り口には、木造の昔ながらのガラス戸に「中棚温泉」と昔ながらの書体で表示があります。かつての玄関がこの場所であったと推測されます。建物が高台にある関係で、この玄関フロアが2階になり、フロアには食事処やロビーがあります。ひな祭りの時期とあって、ロビー横には雛壇が飾ってありました。1階へは、ここから昔ながらの急な階段を下りていくことになります。「旅人の間」は1階の左手の一番奥の角部屋で、6畳+4畳+納戸付です。1階といっても地形上2階のように見え、庭園や家族風呂のある建物を正面に見下ろし、左手に「はりこし亭」を望むことになります。防寒のため窓は二重になっていますが、内側の窓は、窓枠が昔ながらの木造であり、往年の旅館の姿が偲ばれます。夕食は部屋食で、信州の素材をふんだんに使ったヘルシーな会席料理を楽しみました。朝食は2階の食事処で雪景色を見ながら、麦とろご飯を中心とするヘルシーなメニューを味わいました。今回は冬の時期ということで、10月〜3月のみ楽しめる「りんご風呂」に入ることができました。ほのかな香りのある良質の内湯に多数のりんごが浮かべられ、りんごの香りと温泉の香りが見事にマッチして、何とも言えない心地よい感じでした。内湯の大きなガラス窓と、岩の2つの露天風呂からは、このエリアとしては珍しい一面のパウダースノーの雪景色を楽しむことができました。

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