「その2」<リーマン予想 (C(x)^2+S(x)^2を書き換えて)>で、ζ(s)リーマン予想を一つの方程式の問題に書き換
えることに成功した。次の予想C-1である。
2年前「ヘール・ボップ彗星」の「その1」でリーマン予想を古典的な二方程式の問題に書き換えたわけであるが、今回
それを一方程式の問題に還元できたわけで、一歩前進したといえると思う。
この予想C-1はxに関する方程式であり次数的には無限次の代数方程式になるが、それは箔烽フcos(x・log(j/k))の
べき級数展開を考えれば容易にわかる。
1-2x-x^2=0は2次の方程式、1+3x-5x^2+2x^3=0は3次の方程式だが、予想C-1は次数が∞次の方程式となる。
代数方程式の形に予想C-1を書き換えておこう。やはり方程式の問題であればその形で見たいという誰しも思うであろ
うから。それは次のようになる。
一見複雑そうに見えるが、有限項数のものでイメージをつかめば、ぜんぜん難しいものではない。
<リーマン予想 (C(x)^2+S(x)^2を書き換えて)>でやったように、予想C-1のkを2、3、4、・・と徐々に増やすという方法
で見れば(実際私はこの方法で予想D-1を導いた)、簡単にこの予想D-1を把握できるのである。それをやってみたい。
予想C-1の有限項数のもので予想D-1のイメージをつかむことにしよう。
まず予想C-1のk=2から。
(予想C-1はk=∞だが、仮にk=2だったら?の場合を調べてみるのである)
この場合、予想C-1は
1/1^(2c) + 1/2^(2c) - 2cos(x・log(1/2)) /(2・1 )^c =0 ------@
となる。
f(x)=1/1^(2c) + 1/2^(2c) - 2cos(x・log(1/2)) /(2・1 )^c とおいて、これをx=0周りでテイラー展開した結果を利用す
れば、@は次のようになる。
{1/1^(2c) + 1/2^(2c) - 2/(2・1 )^c}
- 2{-(log(1/2))^2/(2・1 )^c}x^2/2!+ 2{-(log(1/2))^4/(2・1 )^c}x^4/4!
- 2{-(log(1/2))^6/(2・1 )^c}x^6/6!+ 2{-(log(1/2))^8/(2・1 )^c}x^8/8!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ =0
これが予想D-1のk=2版である。@が無限次の代数方程式の形に変換できたといえる。
次に予想C-1のk=3を見てみる。
この場合、予想C-1は
1/1^(2c) + 1/2^(2c) + 1/3^(2c)
- 2cos(x・log(2/3)) /(3・2)^c + 2cos(x・log(1/3)) /(3・1)^c - 2cos(x・log(1/2)) /(2・1)^c =0 ----A
となる。上と同様にして、f(x)=左辺としたテイラー展開の結果を利用すればAは次のようになる。
{1/1^(2c) + 1/2^(2c) + 1/3^(2c) - 2/(3・2 )^c + 2/(3・1 )^c - 2/(2・1 )^c}
- 2{-(log(2/3))^2/(3・2 )^c + (log(1/3))^2/(3・1 )^c - (log(1/2))^2/(2・1 )^c}x^2/2!
+ 2{-(log(2/3))^4/(3・2 )^c + (log(1/3))^4/(3・1 )^c - (log(1/2))^4/(2・1 )^c}x^4/4!
- 2{-(log(2/3))^6/(3・2 )^c + (log(1/3))^6/(3・1 )^c - (log(1/2))^6/(2・1 )^c}x^6/6!
+ 2{-(log(2/3))^8/(3・2 )^c + (log(1/3))^8/(3・1 )^c - (log(1/2))^8/(2・1 )^c}x^8/8!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・=0
これが予想D-1のk=3版である。Aが無限次の代数方程式の形になった。
次にk=4を見てみよう。
この場合、予想C-1は
1/1^(2c) + 1/2^(2c) + 1/3^(2c) + 1/4^(2c)
- 2cos(x・log(3/4)) /(4・3)^c + 2cos(x・log(2/4)) /(4・2)^c - 2cos(x・log(1/4)) /(4・1)^c
- 2cos(x・log(2/3)) /(3・2)^c + 2cos(x・log(1/3)) /(3・1)^c - 2cos(x・log(1/2)) /(2・1)^c =0 ----B
となる。上と同様にして、f(x)=左辺としたテイラー展開の結果を利用すれば、Bは次のようになる。
{1/1^(2c) + 1/2^(2c) + 1/3^(2c)+ 1/4^(2c)
- 2/(4・3 )^c + 2/(4・2 )^c - 2/(4・1 )^c - 2/(3・2 )^c + 2/(3・1 )^c - 2/(2・1 )^c}
- 2{-(log(3/4))^2/(4・3 )^c + (log(2/4))^2/(4・2 )^c - (log(1/4))^2/(4・1 )^c
- (log(2/3))^2/(3・2 )^c + (log(1/3))^2/(3・1 )^c - (log(1/2))^2/(2・1 )^c}x^2/2!
+ 2{-(log(3/4))^4/(4・3 )^c + (log(2/4))^4/(4・2 )^c - (log(1/4))^4/(4・1 )^c
- (log(2/3))^4/(3・2 )^c + (log(1/3))^4/(3・1 )^c - (log(1/2))^4/(2・1 )^c}x^4/4!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ =0
これが予想D-1のk=4版である。Bが無限次の代数方程式の形に変換できたといえる。
このk=2,3,4の例で明快な規則性がわかったであろう。k=4,5・・と増えても{}内の項数が増えていくだけで全く
同様である。k=∞の場合が予想D-1であるが、この具体例で予想D-1のイメージがつかめたことと思われる。
再度予想D-1を書いておく。予想C-2、予想C-3に対応するものも合わせて書いた。
これらを眺めてわかることは、リーマン予想が徹底的に古典化されてしまったということである。古典的な代数方程式の
問題になったといえる。
なお、予想D-1〜D-3の方程式の各項の係数(x^nの係数)はすべて実数である(これまでの話から当然であるが)。
予想D-1の左辺をf(x)としよう。
イメージ的にはy=f(x)は複雑に波打つ(あえて言えば三角関数のような感じの)グラフ曲線となる。
グラフ的にはリーマン予想はy=f(x)のグラフ曲線がxy実平面のx軸で接する場合があるのはc=1/2の場合だけ!と
いう主張である(詳細には「その2」を見られたい)。ふしぎなことに0<c< 1/2と1/2<c< 1のcではy=f(x)の曲線はx軸に
接することなくx軸の上側(y>0の側)に存在する曲線となる、といっているのである。
簡単な類似の例を述べると、リーマン予想は次に似ている。
方程式 (cosx)^2 + (c-1/2)^2=0 ----C
が実数解をもつのは、cがどんなときか?
もちろん答えは、「c=1/2のとき」である。このときに限り、この方程式は無限個の実数解をもつ。
ζ(s)リーマン予想は、これととても似ている。グラフの類似性も似ているし、無限個の解をもつ点も似ている。
さらに、Cは本質的に無限次の代数方程式(cosxのテイラー展開から簡単)である点も予想D-1と同じである。
予想C-1や予想D-1はどう見ても古典的な問題であり、19世紀の学者が解いてもおかしくはないと思う。
リーマン予想はいまやこの地点にまで簡単化されたといえるであろう。
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