クラーク彗星 その1
「ヘール・ボップ彗星」の「 その1」でζ(s)関数のリーマン予想を、 次の命題に還元した。この「クラーク彗星」では、この
結果をさらに考えていきたい。
予想A-1 (ζ(s)リーマン予想と同値)
cを0 < c < 1の実数とする。次のxに関する二つの方程式を考える。
この二つの方程式を同時に満足する実数解が存在するのはcが1/2のときのみであろう。
cos(x・log1) /1^c - cos(x・log2) /2^c + cos(x・log3) /3^c - cos(x・log4) /4^c + ・・・=0
sin(x・log1) /1^c - sin(x・log2) /2^c + sin(x・log3) /3^c - sin(x・log4) /4^c + ・・・・=0
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もしこの予想が肯定的に解決されれば、リーマン予想は肯定的に解決される。
もしこの予想が否定的に解決されれば、リーマン予想は否定的に解決される。
この同値予想は、導出過程と多くの数値実験( ヘール・ボップ彗星「その1」「その2」)から確実に正しいものである。
リーマン予想は超難問とされ、さまざまな数学者の挑戦をはねのけているが、上記の予想とリーマン予想が同値と
わかったことで、リーマン予想は(意味が)非常に簡単・明瞭な古典的命題に変貌したといえると思う。
つまり、方程式の問題となったのである。
「ヘール・ボップ彗星」の「 その1」では、上の予想の変形例をいくつか書いたが、次はその中の一つである。
予想A-2 (ζ(s)リーマン予想と同値)
cを0 < c < 1の実数とする。次のxに関する二つの無限次方程式を考える。
この二方程式を同時に満足する実数解が存在するのはcが1/2のときのみであろう。
1 - {1/2^c - 1/3^c + 1/4^c - ・・・}
+ {(log2)^2/2^c - (log3)^2/3^c + (log4)^2/4^c - (log5)^2/5^c + ・・・}x^2/2!
- {(log2)^4/2^c - (log3)^4/3^c + (log4)^4/4^c - (log5)^4/5^c + ・・・}x^4/4!
+ {(log2)^6/2^c - (log3)^6/3^c + (log4)^6/4^c - (log5)^6/5^c + ・・・}x^6/6!
- {(log2)^8/2^c - (log3)^8/3^c + (log4)^8/4^c - (log5)^8/5^c + ・・・}x^8/8!
・・・・・・・・・・・・・・
=0
{(log2)^1/2^c - (log3)^1/3^c + (log4)^1/4^c - (log5)^1/5^c + ・・・}x^1/1!
- {(log2)^3/2^c - (log3)^3/3^c + (log4)^3/4^c - (log5)^3/5^c +・・・}x^3/3!
+ {(log2)^5/2^c - (log3)^5/3^c + (log4)^5/4^c - (log5)^5/5^c +・・・}x^5/5!
- {(log2)^7/2^c - (log3)^7/3^c + (log4)^7/4^c - (log5)^7/5^c + ・・・}x^7/7!
・・・・・・・・・・・・・・
=0
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このように書き換えると、ζ(s)リーマン予想は、結局、無限次の方程式の解に関する問題であるとわかる。
次に、これらをもうすこし変形したい。
まず予想A-1を掲げる。
予想A-1 (ζ(s)リーマン予想と同値)
cを0 < c < 1の実数とする。次のxに関する二つの方程式を考える。
この二つの方程式を同時に満足する実数解が存在するのはcが1/2のときのみであろう。
cos(x・log1) /1^c - cos(x・log2) /2^c + cos(x・log3) /3^c - cos(x・log4) /4^c + ・・・=0
sin(x・log1) /1^c - sin(x・log2) /2^c + sin(x・log3) /3^c - sin(x・log4) /4^c + ・・・・=0
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この予想は「二つの方程式を同時に満足する実数解が存在する」ならば、「cは1/2である」という形をしている。
つまり「AならばBである」という形である。この対偶をとって「Bでないならば、Aでない」ことを述べても同じことになる。
よって、上記予想は次のように書き換えられる。
予想B-1 (ζ(s)リーマン予想と同値)
cを0 < c < 1の実数とする。次のxに関する二つの方程式を考える。
cが1/2でないならば、この二つの方程式を同時に満足する実数解は存在しないであろう。
cos(x・log1) /1^c - cos(x・log2) /2^c + cos(x・log3) /3^c - cos(x・log4) /4^c + ・・・=0
sin(x・log1) /1^c - sin(x・log2) /2^c + sin(x・log3) /3^c - sin(x・log4) /4^c + ・・・・=0
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また、一つ上でみた予想A-2に関しても、次のように書き換えられることはいうまでもない。
予想B-2 (ζ(s)リーマン予想と同値)
cを0 < c < 1の実数とする。次のxに関する二つの無限次方程式を考える。
cが1/2でないならば、この二つの方程式を同時に満足する実数解は存在しないであろう。
1 - {1/2^c - 1/3^c + 1/4^c - ・・・}
+ {(log2)^2/2^c - (log3)^2/3^c + (log4)^2/4^c - (log5)^2/5^c + ・・・}x^2/2!
- {(log2)^4/2^c - (log3)^4/3^c + (log4)^4/4^c - (log5)^4/5^c + ・・・}x^4/4!
+ {(log2)^6/2^c - (log3)^6/3^c + (log4)^6/4^c - (log5)^6/5^c + ・・・}x^6/6!
- {(log2)^8/2^c - (log3)^8/3^c + (log4)^8/4^c - (log5)^8/5^c + ・・・}x^8/8!
・・・・・・・・・・・・・・
=0
{(log2)^1/2^c - (log3)^1/3^c + (log4)^1/4^c - (log5)^1/5^c + ・・・}x^1/1!
- {(log2)^3/2^c - (log3)^3/3^c + (log4)^3/4^c - (log5)^3/5^c +・・・}x^3/3!
+ {(log2)^5/2^c - (log3)^5/3^c + (log4)^5/4^c - (log5)^5/5^c +・・・}x^5/5!
- {(log2)^7/2^c - (log3)^7/3^c + (log4)^7/4^c - (log5)^7/5^c + ・・・}x^7/7!
・・・・・・・・・・・・・・
=0
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リーマン予想がここまで古典的な問題に還元されたのだから、もしワイルスなどがこの予想を知れば、1週間ほど
で解いてしまうのではないか?そんなことまで想ってしまうほどに、リーマン予想が簡単化されたと感じる(実際はわか
らないが)。
さらに別の形に予想A-1,A-2を次に変形することにしよう。次に示す。
(2008/10/18改)
まず予想A-1を掲げる。
予想A-1 (ζ(s)リーマン予想と同値)
cを0 < c < 1の実数とする。次のxに関する二つの方程式を考える。
この二つの方程式を同時に満足する実数解が存在するのはcが1/2のときのみであろう。
cos(x・log1) /1^c - cos(x・log2) /2^c + cos(x・log3) /3^c - cos(x・log4) /4^c + ・・・=0
sin(x・log1) /1^c - sin(x・log2) /2^c + sin(x・log3) /3^c - sin(x・log4) /4^c + ・・・・=0
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この予想を関数のグラフ的視点から考えてみたい。
f(x)=cos(x・log1) /1^c - cos(x・log2) /2^c + cos(x・log3) /3^c - cos(x・log4) /4^c + ・・・
g(x)=sin(x・log1) /1^c - sin(x・log2) /2^c + sin(x・log3) /3^c - sin(x・log4) /4^c + ・・・・
としよう。
y=f(x)とy=g(x)のグラフ(xy座標)を考えると、予想A-1は、
これら関数曲線の交点がx軸上に存在するのはcが1/2のときだけ!と言っているのと同じである。
なお両曲線は、x軸と無限回交わる曲線となる。
2008/10/15 < リーマン予想が解ける場合は・・ >
再び予想A-1を掲げる。
予想A-1 (ζ(s)リーマン予想と同値)
cを0 < c < 1の実数とする。次のxに関する二つの方程式を考える。
この二つの方程式を同時に満足する実数解が存在するのはcが1/2のときのみであろう。
cos(x・log1) /1^c - cos(x・log2) /2^c + cos(x・log3) /3^c - cos(x・log4) /4^c + ・・・=0 ----@
sin(x・log1) /1^c - sin(x・log2) /2^c + sin(x・log3) /3^c - sin(x・log4) /4^c + ・・・・=0 ----A
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「同時に満足する実数解」を”共通解”と短く呼ぶことにしよう。
リーマン予想と同値であるこの予想A-1は、この二つの方程式が共通解をもつのはc=1/2の場合だけである!と
主張している。
話を簡単にするために、いま仮に@、Aの共通解をx1,x2とし、@の共通解以外の解をα1,α2、そして
Aの共通解以外の解をβ1,β2であるとしてみよう。すると、この場合、
予想A-1は
*************
@、Aは
(x-α1)(x-α2){(x-x1)(x-x2) + G1(c)}=0
(x-β1)(x-β2){(x-x1)(x-x2) + G2(c)}=0
のように変形できる。
ここで、G1(c), G2(c)はc=1/2でのみ0になり、それ以外では0でない値をとるものである。
*************
などとなっていることを主張している。もちろんあくまでも膨大な可能性の一つとして書いた。
例えば、G1(c)=(c-1/2)^2,G2(c)=2(c-1/2)^4であるとすれば、
(x-α1)(x-α2){(x-x1)(x-x2) + (c-1/2)^2}=0
(x-β1)(x-β2){(x-x1)(x-x2) + 2(c-1/2)^4}=0
であるから、もし、こんなふうになっていれば「共通解があるのはc=1/2の場合のみ」であることがたしかに言える。
ζ(s)リーマン予想では、実際は共通解は無限個あることがわかっているのでx1,x2,x3,・・・であり、また私の数値
実験( ヘール・ボップ彗星「その1」「その2」)によって、@、Aの共通解以外の解も無限個ありそうだから、@のそれらを
α1,α2,α3,・・として、またAのそれをβ1,β2,β3,・・・とすると、
予想A-1は、
**************
@、Aは
{(x-α1)(x-α2)(x-α3)・・}{((x-x1)(x-x2)(x-x3)・・) + G1(c)}=0 ----B
{(x-β1)(x-β2)(x-β3)・・}{((x-x1)(x-x2)(x-x3)・・) + G2(c)}=0 ----C
のように変形できる。
ここでG1(c), G2(c)はc=1/2でのみ0になり、それ以外では0でない値をとるものである。
**************
と、このようになっていることを積極的に主張しているのである。
B、Cの形はあくまでも一例であるので、他の類似の表示となっている可能性ももちろんある。
予想A-1が、もしこのような形に変形できればζ(s)リーマン予想は解けることになる。
この方向性は一見有望そうに見える。しかしすこし考えるとわかるが、B、Cの形を決めるというのは非常な難問で
ある。
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