人間関係ショートショート
Content Top Back Next Home

−不快でたまらないよ−

 「おい,こんな簡単なことが分かんないのか」「ほら,そこ,なにやってんだよ」.上司がいる時に限ってこんな声張り上げて,仕事してるふりする「おじさん」,あなたの会社にはいませんか? いるんだよねぇ,うちには.上司が出張でいない時は,喫煙室でタバコ吸ってるか,電話も取らずにムダ話ばかりしてるくせに,いる時はいつもそんな調子.まるで人が役立たずのような扱い...ほんとに腹が立つよね.
 「わざわざ上司の前で言うことかよ」..もう頭から,あいつの言葉が離れない.「くっそー,いつか見てろよ..」「どうせあいつは俺のことが嫌いなんだから,またやるに決まってる」...なんか,不安になってきたよねぇ.
 そんな1日もなんとか終わり,今日は彼女と映画の約束.でも,昼間のことが頭から離れない.せっかくの楽しいデートもこれでは台無しだよ.前から楽しみにしてた映画だったのに,なんにも頭に残ってない.それどころか,見終わってからもずっと,うかない顔してたらしく,俺の顔を覗き込み「今日の映画,つまらなかったかな?」だって.悪いことしちゃったよ..ハッと我に返った時は,バイバイの時間だったなんてね.う〜どうしてくれるんだよ,まったく〜,あのクソおやじ〜.
 こんな経験,あなたはありませんか? そして,また同じことになったら,彼女なくしちゃうよ,不安にかられてどうしようもなくなったこと,ありませんか?
 嫌なことって,なかなか忘れられないよね.じゃあ,彼女とのデートをダメにした,その「おやじ」,いつまでも恨んでみる? そんなことしたって何も解決されないよ.さぁ,よく考えて欲しい.デートをダメにしたのは,本当にその「おやじ」かってこと.違うよね.「おやじ」は上司の前で,あなたの仕事について1つの指摘をしただけだ.デートとは,何も関係ないよね.なのに,後々まで引きずって,彼女まで不快にさせたのは,あなた自身だよ.なんで,そんなになっちゃったんだろう.
 それは,嫌なことを,あなたは頭の中で,何度も何度も再体験してたからなんだよ.そう,ビデオを何度も見返すように,上司の前で怒鳴られた「おやじ」の言葉を幾度となく思い出していた...それを思い出す度に,あなたは不快感を強くした.試験勉強と同じ,反復記憶.こんなこと,ずっとしてたら,一生つまらなくなっちゃうと思いませんか? 大げさ? いま,ハッとしたあなた,心に悪い癖,ついちゃってますよ.
 どうすればいい? 簡単だよ.不快に思った時に,まず,その気持ちをちゃんと感じとり,次に,それがなぜ起こったのかを思い出し,それが過去のことなら,とりあえず,今を楽しむことに目を向ける.だって,起こったことは,もう取り返せないんだから...その対策は,いつだって考えられるでしょ.それより今は,目前の彼女とデートを楽しむこと.違うかな?
 そういう癖をつけていくと,不快な感情にとらわれる時間,だんだん少なくなってきます.これが「目的本意」「あるがまま」ってこと.どう,憎いおやじの一言だけで,あなたの人生,捨てちゃいますか?
 
Copyright(c) YuuStar 2001 All Rights Reserved   (2001/8/20) Page Top