心と身体の談話室
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−こんな医者もいるのです−

私が心身症神経症と格闘し,まさに脱出しようという頃,こんな先生の文献を目にした.この文書は,心身医学を学ぼうとする若手医師に向けて書かれたものである.世の中,こんな先生もいるんだよ,ってことで,ここにご紹介.

初めて心身症の治療に取り組まれる方のために−気のせいだと言う前に−

 文明の進歩に伴ってストレスの多い世の中となり,心理・社会的ストレスによる疾患が今日かなり増えているという状況である.これがいわゆる心身症であるが,心理的アプローチをしないかぎり本当はなおせないものである.したがってよき臨床にしようと思うならば,我々はまず,患者の抱えるストレスを処置しなければならない.不定愁訴「気のせい」が続けば,やがて身体の病になる.「気のせい」の時期に早めに処置することが肝要である.
(中略)
 不定の愁訴のバックには心理的ストレスが多いというのであるが,この時期では,検査で何ら異常の発見されないことが普通である.一般に「気のせいだ」という.「気のせいだ」にまちがいないだろう.しかし,今日の医学では,この「気のせいだ」を治すことができるのである.不定の愁訴であっても,患者にとっては辛いことである.それを「気のせいだ」で帰してよいだろうか.この時期で治療すれば治しやすいし,治療費も少なくてすむ.このまま放置すれば病態は重くなくなる.早期発見・早期治療という言葉がある.不定愁訴の時期はその時期であって,身体病変の出る前段階の,精神的に辛い状態の時がある.医師が,そこまで診れる能力を身につけることは,正に今日的要望に応えるあり方ということである.
(桂 戴作:初めて心身症の治療に取り組まれる方のために,わかりやすい心身医療ハンドブック, 医薬ジャーナル社(1991))


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