主な称号レシェプの陪神、ラーの最愛の人
主な信仰
外来神の一柱。ラメセス2世の時代から特に崇拝されるようになったシリア起源の女神。
裸体で表される官能的な女神で、名前のカナン語「ケドシャ」は神聖娼婦を意味するが、単純な愛欲の女神ではない。右図のように正面を向いてライオンの上に立っていることが多い。手には花とヘビを握っている。この図は、実は魔よけの神
ベス神 に類似しており、ライオンやヘビなど恐ろしいものを従えられるということを意味している。
最初は異国人の間で信仰が広まっていたが、新王国時代以降はエジプト人の間でもさかんに信仰されるようになった。公式の信仰ではなく、民間信仰だったため記録が無く、どのように信仰されたかが良くわかっていない。
●愛と豊穣の女神として
名前の元々の意味、そして成熟した女性でありながら他のエジプト神と異なりほぼ全裸という格好から、まずは愛と豊穣の女神という性格を持つ。「ラーの最愛の人(つまり愛人)」という肩書きはそのためにつけられている。
●戦いの女神として
カデシュは、同じシリア起源の女神、
アナトや
アスタルテと同一視されており、戦いの女神としての性格を持つ。また、エジプトの戦いの女神であるセクメトと同一視され、疫病を支配するセクメト同様、病を癒すものとしての性格も得た。
※ちなみに「カデシュ」は地名のカデシュとは関係ない。ラメセス2世の時代に起きた「カデシュの戦い」とは無関係。
右図は大英博物館所蔵、19王朝のステラ。
下段で持ち主である王墓造営職人ケフが拝礼しているのは武器と盾を構えた相手がアナト女神。上段にはシリア風のカデシュが立っている。また、左には生殖の神ミンがレタスとともに描かれ、右には同じシリア方面の神レシェプが武器を手に描かれている。
神話
・神話上の設定では美人。セトを惑わしたともされる。
・レシェプ神と夫婦とされたが子供はいない。レシェフ、ミン、カデシュの三柱セットがエジプトでは人気だった。
聖域
主にメンフィス、コプトスのミン神殿
DATA
・所有色―赤
・所有元素―火、水
・参加ユニット―異種混合三柱<ミン、レシェプ、カデシュ>
・同一化―場合により、ハトホル
・神聖動物―なし
・装備品―花と蛇