■フィンランド叙事詩 カレワラ-KALEVALA |
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第2章
Toinen runo
おとなりのノルウェー・スウェーデンとは人種違うんですが、何だかんだ言って、北欧は北欧なりに、ある程度よく似た世界観を持っていたのかもしれません。
ところで、この樫の木は、ユグドラシル同様ただの木ではなかったようです。
切り倒された樫から散らばった各部分は、それぞれ各地において人々に栄光をもたらします。その一部を手にした者は、王となったり愛を手にいれたり大魔法使いになったりと栄転。ただ、波間に漂い、はるかポホヨラの地に流れ着いた木切れだけは違っていた様子です。
その木切れはある少女の手によって呪いの矢に作り変えられた、とされていますが、この矢が後の章でワイナミョイネン自身を射落とす魔法の矢と同一のものであったとしたら、このときの少女は、ヨウカハイネンの妹アイノだったと考えられます。
この兄妹とジジイの関係は、この次の章で。
話はさらに続きます。
樫が失われ、もとどおり日がよくあたるようになったところでワイナミョイネンはようやく自分から働きはじめました。種を蒔き、畑をつくって、のんびりファーマー生活。
ところが、どういうわけか主食の麦だけが生えてこない。困っていると、シジュウカラ(鳥の種類)が嘲るようにこういいます。「麦は焼畑にしないと生えないんだよ〜」。じゃー早速火を起こして…といきたいところですが、実は、ワイナミョイネンは火種も火打石も持ってなかったようです。
神を召喚して働かせられるのに、なんで魔法で火を起こせないんだ、このジイさんは?
(火もなしに、どーやって寒い北国に住んでいたのかはナゾです…。)
そこでワイナミョイネン、何考えたのか、いきなり木を切り倒しはじめます。今度は普通の木なので、ジジイの細腕(?)でも大丈夫。ただし、一本の立派な白樺の木だけは残しておきます。
その木にやって来た鷲が、こう訊ねました。「なんだって、この一番立派な木だけ残しているのかい?」
ジジイは答えます。「あんたが止まって休めるようにサ。」
この返答にいたく感心した鷲は、ジジイのために翼で火を起こして畑を焼いてくれましたとさ。こうして畑に麦が育つようになりました。めでたし、めでたし。
って…ジジイ、…最初っから自分で焼くの面倒だったんだろ…?
まあ、何だかんだ言いつつ、畑は出来たわけですから、これで良し。なお、この物語では火をもたらすのは鷲となっていますが、大西洋を渡った北アメリカの神話でも、同じく鷲が、ワタリガラスの指示によって火を取ってきたことになっています。
鷲の勇敢さと火のイメージは、どこかでつながっていたのかもしれませんね。
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