■シャルルマーニュ伝説 |
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つっこみルネッサンス
古にいわく。
ラスボスは、「あのお方」と呼ばれるべきものである。
しかして「あのお方」呼ばわりされて、なかなか名前の出てこないほど、実は大したことない奴だったりする。
ちなみにラスボスが身内や師匠などよく知った相手であることは、かつては良くあるパターンだった。
その王道的伝説がいまここに。
湖の貴婦人、魔女ファレリーナをウラで操っていた「あのお方」とは…!
モルガナ様でした。
・モルガナ(モルガン)といえば、アーサー王の姉で妖妃モルガンと呼ばれる人です。
・確かに湖の貴婦人です。
・そういえばモルドレッドのお母さんじゃなかったですか?
その彼女が、何ゆえこんなところで若い男物色してるのか。
ファレリーナに案内させて、モルガナの住居へ続く橋へとたどりついたオルランドゥは、リナルドが負けた、あの番人に出会う。戦利品の中に従兄弟の装備を見つけた彼は、大激怒。
「貴様! オレの従兄弟に何しやがった! まさか…」
いやー、アンタ先日、その従兄弟を自分でブチ殺そうとしてなかったっけ(笑)
怒りに燃えるオルランドゥは、ファレリーナが逃げるのもほっといて番人に殴りかかった。
水中戦の得意な番人は、オルランドゥも水中に引きずり込んでしまおうとするが、今のオルランドゥには、「魔法を無効化する」剣を持っている。
「効かぬ効かぬ効かぬわァッ、この俺に貴様の技は効かぬ!!」
オルランドゥ、無敵モード全☆開v ベーオウルフよろしく、水の中で番人をザックリ倒し、モルガナの庭園に忍び込む。
果たして、この妖精はぐっすり眠っていた。前髪はあるが、後ろ髪がない。…そう、この物語の中の彼女は幸運の妖精ということになっているので、後ろ髪ひかれることがない人物なのだ。
オルランドゥがしばしぼんやりしていると、目の前に蜃気楼の宮殿が出現。妖精は目を覚まし、「ほーっほっほっ。よくぞ来たわねー?! さぁッ! わたくし(幸運)を捕まえてごらんなっさーい!」と、ばかり、駆け出した。
オルランドゥ走る。「幸運」の妖精逃げる。幸運を捕まえられなかった者は「悔恨」に打ち据えられねばならず、後ろから「悔恨」がおっかけてくる。止まったら死ぬ。頑張れオルランドゥ。このまま行けばフランス新記録だ…!
「どぉりゃあああ!」
届いたーー!!!
オルランドゥは、妖精の前髪をガッチリ掴んで引き倒す。
「はぁ…はァ…、やったぜ、俺は。監督…!」
「おめでとう、あなたの勝ちです。では牢獄の鍵を(すちゃ)」
おお、なんか潔いなラスボスのわりに。ていうか、追いかけっこだけなのか、戦いは。
「ただしこの鍵は、回しそこなうと壊れてしまい、捕虜たちには破滅が訪れますよ。」
「な、…何だと…?」
幸運のカギ、それは、手にした者が使い方をしらなければ、破滅を招くシロモノ…。
うわあ、責任重大だぞオルランドゥ! 捕まってる仲間たちの命はキミの手の中だ!
「……。」
鍵を手に、しばし考えるオルランドゥ。
だが、基本的に考え無しのこの人に、あまり深く考えることなんか出来るワケもない。
「ま、いいや。やってみよう」
モルガナを捕まえたまま、彼は鍵を牢獄の鍵穴に突っ込んで、ぐりっと回してみた。
するとどうだろう。扉は開き、中からは、捕らえられていた多くの騎士たちがゾロゾロと現れた。
もちろん、その中にはリナルドもいた。
フロルドリの恋人、フロリマールもいた。
そして何と、多くのフランスの勇士たちもこの中にいた。
オイオイ。じゃあ今、本国はすっげー戦力不足なんじゃん(笑) 帰ろうよ。皆。
「皆、聞いてくれ。俺はデンマーク人ドゥドン、シャルルマーニュ殿から貴殿らに帰還命令が発せられたことを受け、それを伝えに参ったのだ。途中、妖精に捕らえられてしまったわけだが…。」
あっ。使者がいた。
それを聞いた騎士たちはザワめきたち、じゃあすぐ帰ろう、今すぐ帰ろう、と、めいめい、奪われていた自分たちの装備品をさがしに行った。リナルドもきっちり装備品を取り戻し、馬にまたがって、ついでにモルガナの財宝をちょこっとくすねて出ようとした。
だが、財宝を持ったまま出ようとすると、突風が彼はおろか仲間たちまで押し戻し、どうやっても外に出られない。
「リナルド、いい加減にとしけ。それは諦めろ」
「ちぇー…。」
いつも思うんだけどキミ、本当に貴族のぼんなの? 野生馬捕まえに行ったり、落ちてる装備品拾ったり、やってることが毎度びんぼ臭いよう…^^;
リナルドが財宝を投げ捨てると、ようやく人々は外に出ることが出来た。
さあ、あとはフランス目指してGo Home!
オルランドゥ「嫌だ。」
何ですと?
オルランドゥ「俺はまだ、アンジェリカに求愛の答えを聞いていない。俺はあの人のもとへ戻る。」
待て待てオルランドゥ、貴様、主君よりもホレた女のほうが大事だって言うのかい?
オルランドゥ「恋に生きる。それが男の花道だ…!」
フロリマール「ご一緒しましょう、オルランドゥ。我が恋人も、アンジェリカ姫のいるアルブラッカで待っているのですから。」
リナルド「好きにすれば? ったく、あんな女のどこがいーんだかねぇ〜。」
と、いうわけでリナルドはその他の仲間たちとともにフランスへ帰還。
オルランドゥだけは東方に残ることにしましたとな。
さて次回は、シャルルマーニュが手勢を呼び戻そうとした理由が明らかに。
長らくほったらかしにされた祖国は今! 乞うご期待。
[ちなみにモルガナは、その後もピンピンしていたそうな。]