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<特定商取引法について>
4.特定商取引法における訪問販売について
〜クーリング・オフについて〜
今号も特定商取引法における訪問販売、特にクーリング・オフについてご紹介します。
1 クーリング・オフとは
<実際の相談から>
友達から電話があり、私はファミリーレストランに呼び出されました。
ファミリーレストランで友達と落ち合うと、友達からある男性を紹介されました。
私は、その男性から、お肌をすべすべにするという機械の購入を勧められました。私は、友達の目の前だったせいもあり、その男性の勧めを断ることができず、持っていたクレジットカードで15万円をキャッシングして、その機械を買いました。
その後、その機械を何回か使ってみましたが、特に効果はありませんでした。
私は、できれば機械を返して、支払ったお金を返してほしいと思っているのですが。
(1)書面の交付
このような場合、あなたと販売店との間の機械を売り買いする契約(売買契約)が特定商取引法の定める訪問販売に該当する可能性があることは既にお話ししました。
仮に訪問販売に該当するとした場合、販売店はあなたに対して売買契約の内容を明らかにする書面を手渡したはずです。なぜなら、特定商取引法が販売店に対して書面交付を義務付けているからです。
なお、特定商取引法は、交付すべき書面に記載すべき内容についても言及しています(記載事項の法定)。つまり、販売店は、どのような内容の文書でもいいわけではなく、法定事項を記載した書面を交付しなければならないのです。
(2)クーリング・オフ
あなたと販売店間の売買契約が訪問販売に該当すると、特定商取引法の規定によって、あなたは、一定の期間、その売買契約を解除することができます。この法定の解除権は、あなたにとってとても強い権利です。そして、この強力な法定解除のことをよく「クーリング・オフ」と呼びます。
(3)特約で排除できない
クーリング・オフは強力だと言いました。どのように強力なのでしょうか。
たとえば、筆者が受けた相談では、訪問販売によって商品を購入した人が、契約をする際、販売員から「この契約はクーリング・オフの対象外」という説明を受けていることがあります。
しかし、クーリング・オフできるか否かは法律の定めによって雌雄を決するものです。販売店の意思で勝手に排除できません。仮に、契約する際にあなたが販売店に対して「クーリング・オフしません」と約束したとしても、その約束は法律上無意味で、あいかわらずクーリング・オフすることができます。
この他にも、クーリング・オフには、購入者であるあなたにとって、一般的な解除より有利な性質、効力が法定されています。
(4)いつまでクーリング・オフできるの?
先ほど述べたように、クーリング・オフは一定の期間内に行使しなければ なりません。言い換えれば、その一定の期間を経過してしまうと、もうクーリング・オフはできなくなってしまうのです。では、いつまでクーリング・ オフできるのでしょうか。
訪問販売の場合、訪問販売業者は、法定事項を記載した書面を購入者であるあなたに交付しなければならないことを述べました。特定商取引法は、この書面の交付が必ずなされることに着目し、クーリング・オフできる期間について、書面交付日を初日として8日以内と定めています。
ですから、商品を受け取ったか否かは、いつまでクーリング・オフできるかということについて原則として問題になりません。また、あなたが法定事項の記載された書面を受け取っていなければ、上述の8日の期間が進行しないことになり、理論上はいつまでもクーリング・オフできることになります(※)。
以上のとおり、クーリング・オフできるかどうかは、販売店から書面を受け取ったか、受け取った書面には法定事項がちゃんと記載されているか、ということに大きく影響されると言えます。
※ 法定事項の記載された書面の交付がない場合、クーリング・オフ
できるのは契約してから5年間程度ではないか、という意見なども
あります。
いずれにしても、ちゃんとした書面の交付がない場合、8日を経過して
いてもクーリング・オフできる余地があるということを覚えておくとよい
でしょう。
(以下、次号に続く。)
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5 特定商取引法における訪問販売について〜クーリング・オフについてA〜 へ
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