恐竜学で使用する標本と講座のスタンスについて NEW!!!! 03.09.05 7〜8月期講座概要案内 国立科学博物館、旧館にあるゴルゴサウルスの頭骨のスケッチ:(スケッチの画像使用許可は国立科学博物館に申請、了承されています)。
この画像で示されているのは、赤いQuadrateが、緑で示されたQuadratojugalに側面で覆われていること(これは竜盤類に見られる特徴です)。そして、黄色で示されたFrontaleが比較的幅が狭いことを示します(分かりづらいですが、これはゴルゴサウルスがティラノサウルス科の中でも原始的であることを示しています)
7〜8月期講座案内→
ティラノサウルスはコエルロサウリアである NEW!!!03.09.05
6月期講座案内→スピノサウルスの進化の紹介へ
5月期内容案内→ペーパークラフトの紹介へ
4月期内容案内→配付した小冊子の内容について
講座で使用する標本2:ハドロサウルスの頭骨の縫合線について考えるへ→
講座で使用する標本1:ハドロサウルス、ワニ、オオトカゲの頭骨紹介へ→
恐竜学の歴史と講座の基本的なスタンスについて:
恐竜と呼ばれる動物達が人間に知られたのは19世紀前半のことでした。1822年にはイグアノドンという名称で知られる動物が見つかっています。そして、1841年に恐竜という名称がリチャード・オーウェンという科学者によって考えられました。
当時、恐竜という名称はイグアノドン、メガロサウルス、ヒラエオサウルスという名で知られた動物達に与えられたいわば”グループの名前”でした。
しかし、グループとはなんでしょうか?。なぜ私達は恐竜や魚や鳥、爬虫類といったグループを自然界に見つかることができるのでしょう?。
それは自然界に構造があるためです。そしてその構造とは生物が進化してきた歴史、すなわち生物の系統そのものです。それを明らかにしたのが最初の進化学者チャールズ・ダーウィンでした。
では恐竜とはなんでしょうか?。恐竜とは系統のある部分に与えられた名前です(トリケラトプスと鳥の最も最近の共通祖先と、そのすべての子孫)。では系統とはなんでしょうか?。系統とは生物が作り上げた血縁関係のことです。
地球上のすべての生き物には血縁関係があります。なぜそれが分かるのでしょうか?。
まず、身近な生物には変異があること、それぞれの変異は選択圧によってその割合が変動すること、ここから生き物(より正確には生き物の集団)の姿や性質は変化しうるものであることが推測されます。また実際に変化を観察することもできます。
つまり、生き物は時間とともにその姿を変えるものなのです。要するに進化するわけですね。この考えを延長すれば地球上すべての生物はたったひとつの祖先から進化してきたことが分かります。このようにすべての生物には血縁関係があるのです。
恐竜と呼ばれる動物たちにも血縁関係があります。というよりも、生物が織り成す様々に枝分かれする血縁関係の”ある部分”に与えられた名称、それが恐竜なのです。
鳥が恐竜の一種であることは現在では良く知られています。そのことは150年前、ダーウィンやオーウェンの時代からすでに知られていました。また、ダーウィン自身、鳥が他の脊椎動物から懸け離れた非常に独特なグループに見えるのは、鳥と他の脊椎動物をつなぐ立場にいる動物たちがことごとく絶滅しているからであろうと指摘しています。いわば恐竜が絶滅してしまったことで、鳥が際立って異質に見えるというわけですね(「種の起源」(下)pp192 )。1859年、ダーウィンが種の起源を発表した時点ではこの見解は予想でしかありませんでしが、間もなくダーウィンの熱狂的な擁護者にして科学者ハックスリーによって鳥と恐竜の類縁関係が指摘されるにいたりました。
以下、恐竜研究の歴史、1950年昆虫学者ヘニングの提案、1986年のジャック・ゴーティエによる分岐学の導入、現在の恐竜学へと話を進めていきます。
また、
・化石はなぜできるのか?
・山の中に貝殻が化石としてあることはいかなることから推論されるのか?
・種とはなにか?
・進化はどのような証拠から推論されたのか?
・また、それはいかにして確認されたのか?。
以上の事柄は恐竜を理解するのにどのように役に立つのか、必要なのか?。それを踏まえつつ講座を展開していきます。
また、質疑応答の時間をもうけます。ようするに質問タイムですね。あまり堅苦しい話だけではやる方も聞く方もつらいですからね^^)
参考文献
:種の起源 (上・下) ダーウィン 岩波文庫
:ビーグル号航海記 (上・中・下) ダーウィン 岩波文庫
:生物系統学 三中信宏 東京大学出版会
:The Dinosauria . University of California Press
教材として
「恐竜と遊ぼう」 北村雄一