第8回日本AS友の会定期総会

平成10年9月12日 ホテルニューオータニ大阪


会長挨拶  田中会長
 (立ち上がる。期せずして一同拍手)

 ご要望に応えて立ちました。車椅子の生活をしていると楽だが 歩くことを忘れます。ASには運動療法が大切です。筋肉が衰えると 内臓も衰えてくるようです。スポーツの方とは縁が切れなくて、 体育館に行きシューズに履き変えアリーナに立つとシャキッとします。 えらいもんですね。じっと見ていることが多いのですが、ついつい ラケットを持ち出したりして。その後がえらい(つらい)んですが、 それが良いのかなとも思います。いろんな面で活性化していくんだと 思います。外国、ヨ−ロッパやアメリカではグループを作ってプール 訓練やエクササイズなどをするようです。日本の事情とは違うだろうが、 各自チャンスをみつけて体を動かすことを心がけて欲しいと思います。

 ここ数日間、体調が悪い方が多いようです。Nさん腰痛。井上事務局長 虹彩炎の再々発で目が真っ赤、今回は私の薦めた黄蓮解毒湯を飲んで 良く効いたようです。個人差もあるでしょうが漢方も効くと思います。 「AS」が「強直性脊椎炎」のことだということは、私達の周辺では かなり認識されてきたようですが、まだまだ世間一般では通用しない ものだということを心得ていかねばなりません。医師の間では、「AS」 と言われると大動脈弁狭窄とか動脈硬化とか、あるいは関節鏡検査と いったものが浮かぶそうですから、やはりいきなり「AS」というのでは なく、「強直性脊椎炎」という表現を付け加えたりするのが親切という ものかも知れません。「AS」と言っても、相手にわかってもらえなくて、 内心おもしろくない、イライラするというのでは困りますね。私達友の会 会員は、この程度のことは許容する心のゆとりを持っていかねば なりませんね。

 だいたい略語が多すぎてお医者さんもよく知っているなと感心しますよ。 たとえば、 血清反応陰性脊椎関節炎(これもSNSAと略す)と呼ばれる 一群のAS類縁疾患も、皆、略語で呼ばれます( PA…乾癬性関節炎 RS…ライタ−症候群 EnA…腸炎合併関節炎 ReA…反応性関節炎、AAU…急性前部ブドウ膜炎合併関節炎、 PAO…掌蹠膿疱症骨関節症RA…慢性関節リウマチ など)。しかし、すべての医師が詳しいということではないのですから、 そこのところをよく心得て医師や病院ともうまく付き合って行って下さい。

 さて、ひとつの大きな問題として、これからの友の会の広報活動が あげられます。先日、卓球大会で初めて出会った障害者の人なのですが、 かつて卓球でインタ−ハイにも出場したことのある人で、どうもASの ように思えたので、「AS、強直性脊椎炎と言われませんでしたか?」 と尋ねてみると、「そうです」ということで大変驚きました。 身障者手帳は別の病名になったままなのですが、こういう人が、 案外身近かに存在するものなのですね。それで、これから先、個人の医院 ・病院に通院しているASの人達に、どのようにして友の会を広報して いくか、医師会事務局では対応出来ないとの返事だったものですから、 是非皆様のお知恵をお借りしたいと思います。よろしくお願いします。


議長選出 拍手によりN関西支部長選出。
 出席者35名、委任状107、合計142名、会員数269名よって過半数 にて本総会(第8回定期総会)は成立。


議案1号 事業報告
 昨年9月に東京において開催されたける第7回総会は、 参加者54名、家族や女性が多かった。
 「友の会だより」の発行。
 年賀状の配布。
 「らくちん」9号の発行。
 インターネットの情報を見て問い合わせして来る人が増えている。


議案2号 決算報告
 監事、K.S.氏監査承認。


議案3号 11年度事業予定
  「らくちん」10号を本年10月発行予定。
 「友の会だより」年内にもう1回発行予定。


議案4号 各支部報告
  関東支部(井上事務局長)
 N関東支部長が クローン病の会に出席し、ASの宣伝活動を行う。 第1回関東支部会を年内に開きたい。

  関西支部(F.N関西支部長)
 第7回総会後、有志により和歌山にて焼き肉パーティを行った。 好評につき、またやりたい。

  中部地区(M.T)
 夕刊配達をして調子良かった人が、朝刊も大丈夫と朝刊も配達して 疲れてしまった人がいる。親に長生きしてもらい、その年金で養って もらうのが一番良いと本人が言うものですから、これからの生き方を 相談しようと、痛みが止まって動けるようになりつつあるHさんの 連絡を待っている状態である。

  九州支部(S.Y)
 Aさんが去年、胃潰瘍になって元気が出ないようである。 ASというよりもメンタルな面も重要では。落ち込んでるようですので。 ASと折り合って、病気と付き合って行くということが大切ではないか。 精神的な面で活動を狭めている気がします。会員の佐賀のTさんと 会員同志、仲良くしています。

議案5号 婦人部活動(S.M)
 会員のN.K.さんに、お子さん(女子)誕生。妊娠中は体調も 良く痛み止めも飲まずに過ごせたそうです。母子共に元気なようです。 井上先生と病院に大変お世話になったと感謝しておられました。 赤ちゃんの名前は未来の「未」と井上久先生の「久」を頂いて「未久」 ちゃん。「私のような重症のAS患者でも産めたのですから、 軽症の人は、やってやれないことはないと思います。ASになって 心配かけたけど、今は赤ちゃんの顔を見て、皆、ニコニコと暮らして います。回りに“喜び”を与えたようで、とても嬉しいです」という メッセージを頂きました。週2回、ホームヘルパーさんとご主人に 協力して貰って、ただ今、子育て奮闘中だそうです。

 会員のR.H.さんが漢方医の土方先生の漢方薬で、とてもお元気に なられました。「体の真の痛みがとれて夢のようです」とのことでした。 私事ですが、福祉事務所に相談して電動車椅子を作ってもらいました。 今までは歩けないことが電動車椅子を作る第一条件だったそうですが、 椅子に座れないということも重要な条件だということで、体の型をとって 私の座れる電動車椅子を作ってもらいました。今までは、どこへ行くにも 椅子持参で、椅子をもってくれる人も必要でしたが、今では近くの病院、 買い物、作業所へと一人で動けるようになりました。県により、収入に より自己負担額が違いますが、かなり小額で電動車椅子が出来てきました。 重度の障害者手帳をお持ちの方、相談してみて下さい。


議案6号 インターネットについては後項 に回す。


議案7号 会則について
 会長選挙は患者会員、賛助会員どちらでも可。 会則の改正に 関することで16、17条に「出席者の3分の2くらい」と付け加えた方が 良いのではという意見があった。3分の2は多いが、簡単に変えられない ようにすべきか?。「総会成立は(委任状を含む)出席者の過半数という 条件は、友の会にとって厳し過ぎないか?」という意見に対して 「たくさんの人に意識が欲しい。事務局ががんばって委任状を集める」 という回答。(拍手多数にて承認)


議案8号 総会会場での採血について
 研究にはできるだけ多く血液が必要である。去年は、当日急に 出席の皆さんにお願いしたのだが、今回また依頼があったものの、 毎年、総会の都度、血を採られるのでは印象が悪くなりそうなので、 会長と事務局長が相談の上で今回はお断りした。しかしASの病因を 解明するためには、患者の血液が必要不可欠であるので、協力は 惜しまない。これからはAS研究会を窓口にしてもらうことにする。 具体的には、受け付け時に別室にて自主的に採血することとする。 結果は研究成果として報告してもらう。すぐに出ない成果もある ので気長に待つ必要性も出てくるだろう。(拍手多数にて承認)

「らくちん」について
 作業が遅れている。その間、「友の会だより」を出す可能性もある。 あまり難しく考えずに、「らくちん」「友の会だより」双方に原稿を 送って下さい。生活上のご意見ご感想、その他なんでもけっこうです。

広報活動について
 来年、和歌山県で開催される肢体不自由者日本選手権卓球大会 において、資金不足ということもあるが、大会プログラムにASの 広報を載せたいと思っている(半ページ分。5万円)。選手の中に 「日本AS友の会」の存在を未だ知らないAS患者が案外いるようで ある。(拍手多数にて承認)

議案6号 インターネットについて
 A、Y両委員の主導のもと、「HP作成委員会」が結成されたが、 未だ集まりを開いていない。インターネットのホームページを持つに あたっていろんな意見を聞きながら作って行きたいい。スライドにて、 予算、プロバイダ及び加入形態、管理者、掲載内容、その他などについて の説明。加入料、月々の管理料、電話代などが掛かる。難病情報の ホームページに当会の情報を載せた時、問い合わせが何本かあった。 アメリカなどでは各地区で作られている。

(質問)
「東京ASフォーラム」というホームページがあるが、 ご存じですか?
(答え)
初めて聞きました。調べておきます。(後日、検索した結果、 日本AS友の会顧問医の三井記念病院の三井弘先生や東大のリウマチ 専門医がつくっているホ−ムペ−ジで、内容はやや専門的だが、最新の 学術知見が掲載されていて一見の価値あり。アドレスは、 http://www.asahi-net.or.jp/~kp4t-nkjm/index.htm因みに、 ASIF(強直性脊椎炎国際連盟)のホ−ムペ−ジのアドレスは http://www.asif.rheumanet.org)

…………………………(総会議事終了)…………………………

会長改選について
 新しい立候補者はなく、田中現会長の届け出により、規定に従い 再任を盤上一致で決定。

田中新会長
 AS会員の85%ほどは普通に生活できて前向きです。近年、 総会は、家族の方々の参加も多く、また女性会員の数も増えてきています。 ここでM婦人部長に副会長を兼任することを承認していただきたい。 (拍手多数にて承認)

M副会長兼婦人部長談
 婦人部長の仕事と同じだということで引き受けましたが、 皆様のご協力あってのことですので、よろしくお願いいたします。



体験発表 別項掲載


体験発表関連質問
  1. 本年5月頃より貧血があり、貧血の薬を飲んでいる。この病気は 貧血気味になるようですが、血液検査にはあまり出てこないようだし、 鉄剤を飲んでもあまり効かないようだが?
  1. ASも含めたリウマチ性疾患では、貧血になることが多く(60%)、 原因は、赤血球寿命の短縮、葉酸欠乏、鉄吸収障害、滑膜への鉄沈着 などいろいろなものが考えられているが、そのうち網内系鉄抑留型低 鉄血症といって、体内に鉄はあるのだが血中に出てこない、すなわち 動員障害によって表向き鉄欠乏性貧血のようになると考えられている ものがある。このような場合には、鉄剤を投与しても、血中の鉄の量が 簡単に増えない。長年その状態が続いていて体が、その人なりに慣れて しまって、特に症状を訴えない場合も少なくない。
     このような場合は、鉄剤服用により、しゃかりきになって血中の 鉄の量(数値)を増やそうとすることはない。ただし、いくつかの 検査の組み合わせにより、やはり鉄剤がある程度有効なケースだと 判明することもあるので、その際には鉄剤が有効となる。勿論、 消化管その他からの慢性出血のチェックも忘れずに。

  1. 乾癬によりかゆみがあり、注射をしているが、皮膚の痛みは 辛いものがあります。「過敏症です」と医師に伝えてもなかなか 理解して貰えない。
  1. 乾癬で苦しんでいる友人がいる。頭皮を無意識にむいたりしている。 ステロイドを塗ると良くなるようです。また、肩がしびれるので首を ひっぱるリハビリをしている。乾癬からの関節炎を心配しているようで、 よく友人から質問を受けます。Iさんの話を聞きつつ友人のことを 思いました。
  1. 「過敏症」というのとはちょっとニュアンスが違うように思います。 乾癬は強直性脊椎炎の痛み方とはちょっと違うようで、乾癬性関節炎の 患者は埋もれている人も多いようです。皮膚科医が脊椎関節炎を合併する ことに気がつかない場合もある。皮膚の苦労が主体のようです。一部、 漢方療法も良いと聞きます。

     乾癬については、効く人には効くのだが効かない人には効かない ようです。桂枝茯苓丸というのが効くようです。乾癬は症状に波があり、 その時期とか、ストレスとかが影響するようです。そういう場合は 同じ薬ではだめなようです。患者さんに聞きますと、漢方薬を飲んで いると体調は良いそうです。完治は難しい問題ですが、7割方は改善した と思います(土方)。


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