<KYOTO NIGHT 87年captain>
EP-4が80年に結成されたのは、「EP-4について」で既に記した。
では、最後は「いつ、どの様に終わったのか」。
それは、87年以後、「自然消滅」したのである。
自然消滅、、、この言葉を聞くと胸がイタイ人も多かろう。
というのは、中学、高校生のカップルの別れた原因のNo.1が、
「浮気」「喧嘩」などではなく、この「自然消滅」なのである。
いくら時代が変わっても、「彼がヤク中になった」「彼女がリスト
カットを止めない」等という、不穏当な理由は上位には来ない。
やはり、この「自然消滅」という甘く、切ない理由がNo.1の座を
譲ることは永遠に無いであろう。
さて、もっとカップルの事を記したいが、EP-4の話に戻す。
EP-4の最後の作品は何であろう。それは、宝島キャプテンレコード
から、87年にリリースされた「KYOTO NIGHT」というオムニバス盤
に提供した2曲「Any W.O.O.W!」「Dirac+Michaux's COLD LOOM」
である。
「COLD LOOM」の方は、EPお得意のゴシック・ホラー調の曲であるので
ここでは、「Any W.O.O.W!」を取り上げたい。
というのも、この曲には「考える材料」が詰まり過ぎているからだ。
曲の印象を一言でいうと「世界ツアーの最終日、クタクタになった
ジャネット・ジャクソンのバックバンド」といった趣だ。
景気の良くないオーケストラ・ヒットからスタートして、淡々と
破綻なく進行する。
疲れたEP-4と私達
80年から、その時点でもう7年経った。中学、高校でニュー・ウェーブに
やられた人達も、最早この時点では社会に出たりしている頃だろう。
その新入社員歓迎会の自己紹介で「好きな音楽はヒュー、コニー
プランク」等とは言ってはいけない。「レベッカ」位で留めるべき
である。そうすると月給が入ってくる。
世の中は不思議なもので、「好きな事をするとお金が無くなり、
嫌な事をすると入金される」システムに成っている様だ。
ニューウェーブ喫茶店は、あっという間に潰れたが、生活の為に
始めた「マルチまがいビジネス」をやってたら家が建ってた、という
具合だ。
カヲルも年をとる。そして我々もそうであった。
辿り着いた彼岸「Any W.O.O.W!」
作品をリリースする意義より、如何にスキャンダラスを作るか。
この事にカヲルは、粉骨して来た様に思う。
しかし、それも疲れ果て「ファンク」という概念さえ形骸化した。
そして、何の気負いも企画も無く「Any W.O.O.W!」を発表。
辿り着いた彼岸には何も無かった。何も無かったが、、、この曲の
美しさを何に例えれば良いのか。最小限に抑えられたバナナの
シンセ、切れ味鋭いチョッパーベース、極めつけは「肉声」のカヲルの
ヴォーカル(ヴォイスではない)。こんなに艶っぽく、味のある
ヴォーカリストだったのか、と認識させられる。
「E-POWER」のフェイド・インから始まったEP-4。
そして、この「Any W.O.O.W!」でフェイド・アウトに到った。
もう15年近く前のことである、、、。
最後まで「EP-4らしく」と考えていたであろう佐藤 薫の、1%で良い、
その「1%の誠実」に僕は賭けたかった。
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