
[No.50]「取っ手付き花器」 価格 3000 円(送料別) '07. 8. 1 up
(H17 x D14 cm )
私は器のたぐいに取っ手のついたものにある種のこだわりがあります。
急須やコーヒーカップの取ってなどは、それ自体が機能していて取っ手が無いと用を足さない場面が想像されます。
しかしどうでしょう、花器の取っ手や鉢、ひいては甕などにいたってはその取っ手自体を手に取って持ち上げようとすることに危険性を伴うものがあります。
それはもう既に「取っ手」ではなく、暗黙の内に見るからに「水を一杯に満たした器の取っ手を持つとどうなるか判りますよネ。」
現代の社会において便利な家電製品や自家用車、パソコンやそのほか無数にある周辺機器に至るまですべて、!、!?、##?、「警告!」「注意!」
濡れたネコを電子レンジで「チン!」して乾かそうとした・・。こんな馬鹿な奴のお蔭で人類は膨大な紙面を割いて分厚い取り説を渡されるハメになったのです。
人をバカにした取扱説明書がはびこっているおかげで、本当に知りたい「取り扱い」のページにたどり着くまでに、何が知りたかったか忘れてしまう、ったく!。
人間の道具に対する知識がそれ程乖離(カイリ)していない陶芸の世界においては道具を壊すことにより、経験をつんで成人になって行きます。
そして何時しか、「取っ手」・・・はかない物、大切に取り扱わないとスグ壊れてしまう。そこに、哀れみの心が養われ「美人薄命・・」的な美しさが感じ取れるのです。
わたしの造る陶器には「取扱説明書」は付きません。お求めになられた後、取っ手が取れた場合には、大枚はたいて再度お求めになってください。
そして、お互いにワビ、サビの世界を知り究極の美がどこに存在するかをいっしょに探しに行きませんか。
次回の更新は9月1日です
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[No.49]「銘々皿」 価格 ●3000 円(送料別) '07. 7. 1 up
(径14〜17 cm 5個組)
まあ、素人と言うものは怖いもの知らずで困ったものです。
実験でデータを取り終わった器に値段をつけて売ってしまうんですから。
どんな実験か、ですって?そんなことまでバラしてしまうんですから全く、恥も外聞もあったものではありません。
唯一つまじめに制作したことは確かです。しかも手捻り、轆轤で作ればアッと言う間に出来ますが一つ一つ手造りです。
異質の粘土を比率を変えて混ぜました。同じ材質の下絵を施し、釉薬を掛け焼成しました。
なるほど・・、今後の制作にはこの比率で暫らく挑戦しよう・・・、と。
実験ですから当然、サンプルNo.がついています。良く見ないと判りませんがそのNo.は私のノートでは○対△と書いてあります。
私の近所のスーパー、イイダ百貨店に久しぶりに「鯨の刺身」が売っていました。これだって「調査捕鯨」調査し終わった遺体でしょ?美味しかったけど。
次回の更新は8月1日です
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[No.48]「モダン茶碗」 価格 ● '07. 6. 1 up
(H 7,5〜8 cm x D 8〜9 cm)
入梅前のひと時、一年で最も陽の光が強烈なこの季節、外に出てお茶でもいかがでしょう。
この時期のお茶碗は大胆な大柄模様、白黒のはっきりした器が風景に負けません。
木漏れ日の陰影と器の模様が一体化し、お茶碗が自然の中に溶け込んでいきます。
爽やかな風が庭を通り過ぎるとき、木陰が揺れて茶碗がしっかりと存在感を示します。
勿論、お茶に限ったことではありません。この少し大振りなお茶碗はビールを注いでいただいても結構です。
最近は高級志向のビールも出回っています。それをぜひ、 鼻先まで茶碗の渕に沈めて思う存分ホップの香りを楽しまれてください。
お日様が西に傾くまでのひと時、しばし庭にたたずんで時の過ぎるのを感じるもよし。
次回の更新は7月1日です
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[No.47]「褐色器6点」 価格 ●3000 円(送料別) '07. 4. 1 up
(H 4〜11 cm x D 6〜8 cm)
陶芸をしていて大変がっかりするものと凄いもの、同じ原料で焼き方により大きな差が出るものがあります。
それは、「鉄」です。扱いやすく、値段は安価、直接土に混ぜたり釉薬の彩色にしたりと使用法も千差万別です。
鉄ぐすりを酸化炎で焼くと黒、又は黒褐色になります。一般には天目と呼んでいます。
天目釉には沢山の呼び方があり、中でも油滴天目や柚子肌天目などは有名です。私の技量では虫眼鏡で丹念に探すと
偶々油滴を発見することがあります。「オウ!、あった!!」
そんなことで一喜一憂することが出来ます。更に鉄は黄、茶、赤など、くすり掛け、窯の形式、燃料、窯詰め、焚き方によって沢山の変化を見せてくれるのです。
驚くことに青まで出すことが出来ます。つまり、鉄青磁釉と言いますが、青磁を焼くとき微量の赤い酸化第二鉄(Fe2O3)を還元焼成(攻め焚き)すると
第一鉄(FeO)となって青みを帯びます。そのことで磁器をより白く感じさせたりもします。しかしこの攻め焚きをおこたると黄薄汚れた磁器になってしまいます。
そう想いながら焼き物をしていますが、極めなくてはならないことが山ほど有って人生、一回では足りません。
次回の更新は5月1日です
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[No.46]「古代呉須彩色花器」 価格 ● '07. 3. 1 up
(H 27 cm x D 14 cm)
2回目焼成の花器、そのしんがりです。彩色は「古代呉須」によるものです。
そもそも呉須の色彩は天然に産出される「酸化コバルト」主成分の鉱石です。
酸化コバルトは「高級油絵の具」のブルーとしてもその一翼を担っています。
さて、この「古代呉須」は所謂酸化コバルトのような鮮明な青色はしていません。
沢山の不純物がその鮮明さを軟らかく取り囲んでこのような発色に仕上げます。
私にはこの青、とても「優しい青」と感じます。「汚い青」「古い青」・・いろいろ見る人により感じ方は違います。
たとえは悪いですが少年の頃、我慢しきれずに飛び込んだ便所の陶磁器の彩色。小便しながらその標的に唐草模様をなぞって・・
放尿の安堵感と一体になった記憶の片隅にある私にとって安らぎの『青』です。
今度の定期更新はスキーシーズンでお休みします。次回の更新は4月1日です
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[No.45]「湯飲み二碗」 価格 ● 3000 円(送料別) '07. 2. 1 up
(H 6〜7 cm x D 8 cm)
久方ぶりに湯飲み茶碗です。こうして湯飲みを純粋に作っていると陶芸の原点に立つ思いがします。
けっして人を驚かせたり、へんに媚びたりせず素直になれることが一番大切なんです。
第一、茶碗の大きさが手にスッポリと収まるところが作るのにも、使う為にも具合がいいようです。
陶芸は粘土で成形するときに出来上がりの想定した大きさより2割がた大きく作る必要があります。
乾燥した段階で一割の縮小、焼き締まった時に更に一割の縮小があるからです。
轆轤の上で人間の片手でつかみ上げられる粘土の塊が伸ばし、広げられて出来る器、それが湯飲み茶碗の大きさです。
今度の定期更新はスキーシーズンでお休みします。次回の更新は3月1日です
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[No.44]「轆轤目5脚揃」 価格 ● '07. 1. 16up
(H 6〜7 cm x D 6〜7 cm)
新年あけましておめでとうございます
新年に窯出しした新作です。
今回の作品は無地、信楽の土をベースに合せ生地としてほのかな緋色をかもし出させました。
絵付けをしない代わりにそれぞれの器は大きめな轆轤目を残し見飽きない趣としました。
大きさはいずれも高さ、径ともに6cm〜7cm で、手の中にすっぽりサイズです。つまり茶碗にしては小さすぎ、ぐい飲みには
大きすぎるサイズです。
デハ、なぜ?と思われるかもしれません。
良いお酒を舌の上でころがしながら、手の中で器の轆轤目の感触を楽しむ・・。思いは白い雪山を駆け巡ります。
そんなときには差しつ差されつの鬱陶しさも気になります。ぐい呑みより少し大きめ、これ一杯で十分です。
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[No.43]「張り合わせ花器−2」 価格 ● '06. 12. 16up
(H 27 cm x D 14 cm)
今年最後のご紹介になります。
花器・・・を作るとき、こんな花瓶にこんな花を生けたらどんなにかすばらしい絵が描ける意欲が湧くだろう・・。
つまり、今回の花器はそのものの装飾価値ではなく活ける花をいかに引き立たせるかを念頭に成形、彩色してみました。
窯を開けた瞬間、自己主張する他の花器や器の陰になりながら、その隅で控えめにしているお前を発見した。
お前は自分の衣装が、あまりにも周囲の雰囲気とかけ離れ地味なことを気にかけて、後ずさりする態度を見せていた。
しかし、それは少し自分を卑下しすぎてはいないだろうか。私はとっさに思ったネ。
「こいつに、大きなダリアの花を活けて絵を描いてみたい!。」それまでは誰にもこの花器は渡さない。
先日、近所の花木販売店でダリアの球根を買ってるおっさんを見かけた・・と風の便りに。
このコーナー、次の定期更新はお休みとさせていただきます。どうぞ、よいお年をお迎えください。
次回は1月16日の更新です。
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[No.42]「長花器−2」 価格 3000 円(送料別) '06. 12. 1up
(H 35 cm x D 12 cm)
今回は再度大き目の花器をご紹介します。
以前ご紹介した長花器の兄弟編、サイズも若干大きめとなっています。
釉薬の色調も呉須と言う天然の酸化コバルトの青を主体とした絵付けを施しました。
10月1日 up の作品と見比べていただくと、この2点は実のところペアで使うと、実に面白い雰囲気が楽しめると思いませんか?
古来、日本では彫刻、絵画、工芸品やもろもろにおいて相対する主題を相反する色調で構成することが好まれてきました。
「風神、雷神」、「赤鬼、青鬼」、「朝青龍、朝赤龍」、「牛乳石鹸ローズ調の香りの赤とジャスミン調の香りの青」、「F1、GP予選でも
赤い車のフェラーリVSルノーの青・・・タイヤでさえ赤いブリジストンか青いミシュランが勝つのか・・」「紅梅、白梅」枚挙に暇がありません。
ちなみに前回ご紹介の赤は酸化銅の還元炎での発色でした。
今回の酸化コバルトはかなり安定した青の呈色を示します。
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[No.41]「花器’土瓶’」 価格 ● '06. 11. 16up
(H 20 cm x D 20 cm)
今回も大き目の花器をご紹介します。
銘は「土瓶」。
「蔦」を紹介した後でしたので、実際の蔦を焼き物に使った作品があります。
こんどは「アレ」をご紹介しよう・・。何処にいたんだ〜?
してやられました。ナント妻の部屋に花瓶として余生を悠々として送っているではないですか。
今更「・・土瓶です」と紹介するわけにも行かず「花器」扱いとなりました。
すでに所有権を立派に主張していますので●とさせていただきます。
今までいくつかの作品をご紹介してきた中で、改めて創造と言うことについて考えさせられます。
勿論、陶芸に関してですが粘土をこね、形を作り、釉薬を施し焼成する。こうした一連の作業の中で常に、作者である私は一途に念じ思い巡らすわけであります。
大勢の仲間が集う時、この土瓶一杯で何人分もの器に茶を注ぐ事が出来たら「本当に愉快で楽しいだろうナ〜」
しかし、見た目に土瓶とは申せ、茶切りが悪く、注いだ茶の半分はだらしなくテーブルにびちゃびちゃと垂れる始末は頂けた物ではありません。
啼かないホトトギスは殺されるかも知れません。でも、鳴き声以外の楽しみ方が分かれば信長もオトナ扱いしてあげられる。
マッタク、よくぞ花瓶として生を授かったものだ。こう言う気転の効く作品をゲイジュツヒンと言うんだゼ!ホント!!
作家と、使用者それぞれの創造する力が道具と接しながら互いの人生を豊かにしてくれるんです。
ゲイジュツッて、ほんっとうに素晴らしいですね。
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