MILLENIUM SHOCK

 MILLENIUM SHOCK(第二幕)

 “The Imperial Garden Theatre”。ここはKoichiの兄が命を落とした劇場。ブロー
ドウェイへ進出した兄、その評価はさんざんなものだった。新聞にはいやというほど
悪評が並んだ。絶望した兄は自らが夢を懸けた劇場で自殺したのだ。
 ゴーストとなった兄は今でもこの劇場に漂っている。Koichiをニューヨークへ呼んだ
のも実はゴーストとなった兄だ。天国との約束でたったの一度だけ地上に戻ることを
許された兄は、様様な人物に姿を変えKoichiに救いの手を差し伸べようとする。
 ニューヨークに着いたKoichiはそこにAkiraの姿を見つけて驚く。皆から見放され、一
人ぽっちになっていたと思っていたKoichiは懸け付けて来てくれたAkiraに感謝する。
 だがAkiraは言う。「お前の為に来たんじゃない。TsubasaにKoichiを助けてやって
くれと言われたから来たんだ」と。
 更に、Koichiは二人の奇妙な共演者を紹介される。それは、“Boy Cute”と“Lady
Bird”。
 ゴーストとなった兄はコンダクターのように人々を操り、Koichiを初日のステージへと
導いていく。
 Koichiのブロードウェイ公演、それはAkiraやBoy Cute、Lady Bird、そして亡兄の
協力を得て大成功した。Koichiはブロードウェイでも華やかな脚光を浴びる存在となっ
た。記者もたくさん!
 共演者の一人一人に感謝の言葉をかけるKoichi。そこへ姿を現したのは、義姉と
リーダー。
 二人は“Boy Cute”と“Lady Bird”に変装して、影ながらKoichiの成功を支えようと
ブロードウェイに乗り込んでいたのだ。
 そんな時、ある事件が起きた。出版社からKoichiがショーで歌っている歌が著作権
を侵害しているとの抗議を受けたのだ。
 あの歌は確かに兄が作った歌、だがその証拠はない。この窮地を救ったのはまた
も亡兄だった。兄が残した資料を手に、出版社の抗議をはねつけてくれたのだ。
 成功を手にしたKoichi、だがその心は晴れない。東京の病院で心を閉ざしたまま一
人待っているTsubasaのことが気になるからだ。
 そこへAkiraがトランクを手にして現れた。「東京へ帰る。Tsubasaのそばにいてやり
たいんだ。一緒に帰らないか」。
 Koichiの心は揺れ動く。「もう少しで兄の夢を実現出来る、ここで投げ出してたら全
ては無になってしまう。大丈夫、Tsubasaは強い奴だ。きっと解ってくれる」。
 それぞれの心を理解しながらも、二人はやりきれない対立の中で東京とニューヨー
クに分かれることとなった。
 Tsubasaを救って欲しいと願うKoichiは、兄の墓を訪れた。そこで義姉とリーダーの
意外な告白を耳にする。二人はこの街で一緒に暮らすことにしたというのだ。「兄貴が
姉さんに幸せを運んできてくれたんだ」。
 最近、Koichiは兄が直ぐそばにいるような気配を感じている。「もしかしたらこの墓を
抜け出して、どこかで俺たちのことを見守っていてくれているんじゃないか?」。Koichi
は思い切って兄の墓をあばいた。そこに兄の遺体はなかった。
 その時、ゴーストとなった兄はTsubasaの病室にいた。Tsubasaは心の病に冒されて
いた。足の怪我はとっくに治っているのに、孤独感と疎外感がTsubasaの足を動かな
くしていたのだ。そんなTsubasaを救ったのも兄だ。ゴーストとなった兄はTsubasaの心
を解きほぐし、ニューヨークへ連れて来るのだ。
 “The Imperial Garden Theatre”、Koichiの兄が命を落としたこの劇場で一族は
感動の再会を果たした。
 Koichiとそのカンパニーのニューヨーク公演は成功裏の内に幕を閉じようとして
いる。
 兄の使命も終った。兄によってそれぞれがそれぞれの道を見つけることだが出来た
のだ。人々の前に姿を現した兄は一人一人に別れを告げ、天国へ昇天して行く。

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