川辺川利水訴訟控訴審判決確定にあたっての声明
さる5月16日、福岡高等裁判所で言い渡された川辺川利水訴訟の歴史的勝利判決は、昨日・5月30日をもって確定した。
この事実は、住民の手で、住民の意思に反した国営事業にストップをかけた、わが国の農民運動史上、いな国民運動史上きわめて大きな成果であると同時に、時代と空間を越え、農民が流域住民・国民との連帯を求めて闘ってきた歴史的成果である。
農水省は、判決直後、利水事業計画を中断し、工事契約を解除した。したがって今現在、人吉・球磨地方において、なんらの国営土地改良事業計画も存在してないことを内外に表明する。
原告と農民たちは今後とも「ダムの水はいらん」を合言葉に、この地域の利水事業問題に取り組んでいくものである。
川辺川ダムの建設目的の重要なひとつである「利水」が欠落したことで、必然的に川辺川ダム建設計画が見直しを迫られることは明らかである。
判決後の5月26日に開かれた熊本県収用委員会審理においても、当然ながら収用委員会は以上の認識を示した。誰の目から見ても、無理に無理を重ねて川辺川ダムの建設理由をつくり出してきた国は、判決の主旨を真摯に受け止め、流域住民の意見を基礎に、ダム計画の見直しに着手しなければならないことは明らかである。
新河川法の精神からしても、あるいは世界の趨勢からしても、河川管理の方法について、住民の意思に基づく管理を、行政が実現させていく手法を取らざるを得ないことは、すでに避けられない事態である。
我々は、すでに消滅した土地改良計画のみならず、判決が意図した「住民合意による公共事業」の実現のため、今後も全力を尽くすものであることを国民・県民の前で明らかにするものである。
2003年5月31日
川辺川利水訴訟原告団
川辺川利水訴訟弁護団