声 明
本日,午後2時,福岡高等裁判所は,国営川辺川土地改良事業変更計画に対する異議申し立て棄却決定取り消し請求控訴事件において,農家の請求を認める,逆転勝訴判決を言い渡した。
本件訴訟は,1994年に公告された事業変更計画に対する異議申し立てを退けた農水大臣の決定の取り消しを求める行政訴訟として,対象農家866名が熊本地裁に提訴し,その後,補助参加人も含めて対象農家の過半数に上る2000名を超える農家が裁判に立ち上がったものである。
本日の福岡高裁判決は,土地改良事業を実施するにあたって必要とされている対象農家の3分の2以上の同意がない,したがって,農家の異議申し立てを棄却した決定は取り消されるべきであると明快に判断した。
福岡高裁での審理を通じて,すでに死亡していた者の署名や同意書の改ざんが多数あること,同意を求められるべきはずの三条資格者で同意署名簿から漏れている者が多数いることなどが明らかになった。
その結果,土地改良法が必要としている三条資格者の3分の2以上の同意がないことを,福岡高裁は厳正に認定したものであり,私たちは,この判決を高く評価するとともに,福岡高裁に対して敬意を表するものである。
農水大臣は,本判決を厳粛に受け止め,本件土地改良事業を白紙撤回すべきである。
本日の福岡高裁判決に,憲法違反・判例違反などの上告理由がないことは誰の目にも明らかである。
私たちは,農水大臣に対して,直ちに上告を断念することを強く求める。
2003年5月16日
川辺川利水訴訟原告団
川辺川利水訴訟弁護団