<お仕置き>



ゾロは腹が立っていた。
ずっと自分に言いよっていたサンジが、いつのまにかルフィを好きになっていたことも。
そして、そんなサンジをルフィが困った顔をしながらも、振りほどこうとしないのも。
「気にすんなよ。別にお前からルフィを奪う気はないからな。」
そう、あっけらかんとゾロに言いきるサンジに絶句しながらも無性に腹が立ってしかたがなかった。
そんな自分達の様子をうかがいながら、ナミがゾロに一言呟いた。
「まぁ、あんたの気持ちもわかるけど、原因の一つはあんたのせいでもあるから、しょうがないわよね。」
あんたがサンジくんを最初に誘ったのが悪いんだし・・・・・・。
暗にそうゾロを責める。
そうだ、最初にルフィの心を疑ったゾロがサンジを(未遂だったとは言え)誘ったのがはじまり。
そのせいで何をトチ狂ったかサンジがゾロに言いよりはじめ、それを止める為にルフィが夜の顔をサンジに曝した。
自分が捕われた時から分かっていた事。
あいつのもう一つの顔は天災のように俺達を支配する。
それを見た者がどうなるかも、身を持って知っていた。
だから、サンジの反応はいやというほどわかる。
自分ほど魅入られているわけではなくても、ルフィの側に居たいと切望するのはあの微笑みを見た者のたどる宿命のようなもの。
そして、もう一つの悲劇は例えルフィが自分を愛していたとしても(いや、愛されていると思うのだが《汗》) 一度、その腕の中に抱きしめた者を、どんなに困ろうとルフィは邪険に扱う事が出来ない。
わかっている。いや、わかっていた。
自分を守ろうとするルフィの激しいまでの愛情も、それによって、サンジを傷付けたと自分を責める優しさも。
だが、わかっていたって
「我慢できるわきゃないだろうがー。」
思わず吠えた一言に、ナミが馬っ鹿みたいと返してくる。
ギロリと睨む視線をものともせず、ナミははっきり、きっぱり言いきった。
「一番、ルフィを独占してる男が何言ってるのよ。我慢してるのがあんただけだとでも思ってるわけ?」
「う・・・・・・。」
言葉も無く項垂れるゾロを、少しは可哀想だと思ったのか、ナミはゴソゴソと何かを取り出しゾロの手に握らせた。
「ま、ね。サンジくんの事には私も責任がないわけじゃないし、あんな煮詰まってるようなルフィも見たくないから。」
渡された物を見て目を丸くする。これを、自分にどうしろというのか。
「今晩だけは、私がなんとかしてあげる。格納庫には誰も近づけさせないから・・・・・・。」
(思いっきり楽しむのね。)とニヤリと笑い、目で語られる。
ゾロは、一瞬顔を真っ赤にして手の中の物を見る。
ナミによって手渡された代物。それは、鎖のついた手錠だった。

その夜、ナミがどういう手管を使ったのかは不明だが、男部屋にはゾロとルフィしか居なかった。
だが、ここでのんびりとしているわけもいかず、ゾロはルフィを格納庫へと誘うべく思案していた。
自慢じゃないが自分から誘うなんてことは唯の一度としてした事が無い。
(イヤ、あったかもしれないがあまり記憶に残っていない。)
それにいつもならルフィの方が、 先にゾロを連れ込もうと動いてくるのだ。
なのに今日に限ってルフィには、ゾロとそうなりたいという気がおきないのか、二人っきりの船室でも何もしてこない。
それどころかハンモックの揺れに身を任せるようにして、目を閉じ始めた。
(ぐずぐずしてる場合じゃねぇってのに・・・。)
内心の焦りを悟られないように、ゾロはルフィに声をかける。
「なっ・・・なぁ、ルフィ。」
「んー、何だぁ。ゾロ。」
少しだけうつらうつらとしながらも律義に返事を返し、うっすらとした瞳を向ける。
(ヤバイ。こいつの寝起きは半端じゃなく悪い。)
いったん寝入ったらなかなか目覚めないルフィを眠らせるわけにはいかねぇとゾロは本気で誘いをかける。
「あっ、あのなぁ。今からちょっと運動でもしねぇか?」
「あー、運動?・・・俺、今日眠い。」
ゾロの意図をまったく理解せず、ルフィはそのまま眠りに入ろうとゆっくりと目を閉じる。
(だーっ、鈍い。自分の時はすばやいくせに・・・。)
こうなりゃ、実力行使だとばかりに、ゾロはルフィの首に腕を絡ませ唇を塞ぐ。
「ん?・・・んんん?」
いきなりキスをしたゾロに面食らいながらも、しっかりと舌を絡ませ返してくる。
「んっ・・・はぁっ・・・・・・。なんだよ、ゾロいきなり・・・。」
ゾロものっけからの激しいキスに荒い息を吐きながら、
「だから、運動。」
と言ってやる。
目をきょんとしたルフィが、ししししっと笑い、
「なんだ。俺が欲しかったんだ。」
そう臆面も無く言ってくれる。
その言葉に真っ赤になりながらコクリと肯き、 ゾロは誘うようにルフィの手を取り格納庫へと連れ出した。

格納庫へついてから、まず一番に鍵をかける。
いくらナミが保証したとは言え、やっぱり不安は残るからだ。
そして、珍しい事もあるもんだなーと単純に喜んでいるルフィへと近づいてゆく。
ルフィは大砲を背凭れ替わりにして座り込み、ゾロを抱きしめるべく腕を差し出した。
その腕にサッと手錠をかけ、鎖の部分を大砲の真反対の部分にある突起にひっかけた。
座ったまま腕だけを後ろへと引かれ、とっさに立ち上がる事もできないままルフィは拘束される。
呆然としたルフィにニッと笑って言ってやる。
「今日は、俺がお仕置きするんだ。」
「エー、なんでだぁー?」
ブーブー膨れるルフィに啄ばむようなキスをするとゆっくり上着のボタンをはずす。
「だって、お前。サンジの事抱いたじゃないか。」
ゾロの言葉にうっとつまり、だってあれはとか口の中でモゴモゴと呟いているルフィを横目で見る。
「理由がわかってても、許せねぇんだ。だから、今日はお仕置き。」
首筋から胸の突起にかけて唇を這わせチュッとキスをする。
いつも、自分がされているように体中に啄ばむようなキスを落とし、ルフィの快感を昂ぶらせていく。
目をつぶって快感に身をまかせていたルフィがニヤリと不敵に笑った。
「ゾロ、それだけか?」
その言葉にムッとしたゾロは、ルフィのズボンに手をかけ引きおろす。
そのまま、擡げ始めていたルフィのモノを掴むとゆっくりと扱き出す。
徐々に荒くなってゆくルフィの呼吸にしてやったりと思いながら、ルフィのモノに触れているうちに、別の感情が浮かんでくる。
(ルフィが、欲しい。)
ふるふると首を振って、今日は自分がお仕置きしてるんだと思い返し、ルフィのモノを口にする。
手よりももっと直接的な感触にルフィがビクリと体を震わす。
「んっ・・いいよ。気持ちいい。」
その声にゾロはますますヤバイと思いはじめる。
ルフィが欲しくて、下半身がフルリと震えてくるのがわかる。
内から沸き上がってくる疼きに、耐えるようにルフィのモノに舌を絡ませる。
だが、そんなゾロの状態を知り尽くしているかのように、ルフィが囁きかけてくる。
「なぁ、ゾロ。俺、このままだとイっちまうよ。それじゃあ、お仕置きにならねぇんじゃねえか。」
夢中でくわえていたモノをあわてて離し、ルフィを見上げる。

その顔を見た瞬間、ゾロは形成が逆転した事を知った。
見下ろす顔は夜の顔。ゾロを引きつけ離さない絶対者の瞳。
なのに、ルフィはそしらぬ顔でゾロを見下ろしたまま続きを促すように言葉を続ける。
「ゾロ、これはお仕置きだろう?・・・俺、お前に目の前でサレるのが一番くるんだけどな。」
「なっ・・・・・・。」
頬が熱い。ルフィは自分でしろというのか?
「お仕置きなら、それくらいしなきゃだめだろう?」
お仕置きの体を装って、すでに違う方へと事態が進んでいる気がする。
だけど、自分はもうルフィに逆らえない。

ルフィの見ている前でズボンに手をかけ、ゆっくりと下ろす。
そのまま座り込むと疼き出している場所へと手を延ばそうとする。
「ゾーロ、お仕置きなんだろ。俺に見えるようにしなきゃ意味ねぇよ。」
イヤイヤと頭を振ったが、ルフィの目が駄目だというようにゾロの体を縛りつける。
ゾロは、泣きそうになりながら場所を移動するとルフィの目の前にすべてを曝す。
震えながら膝を割り、右手の中指をくわえて唾液を絡ますと、そうっと奥へと手を差し入れた。
ツプリと入ってくる感触に思わず声が漏れる。
「ひゃん・・・・んっ・・・んんっ・・・。」
「気持ちいいんだ。ゾロ。」
ルフィの声に煽られてもっと深くへと指を進める。
「あっ・・・ああっ・・・んあっ・・・・・・。」
際限無く飲み込んで行く自分に羞恥の顔を浮かべながらゾロの体は快感に彩られてゆく。
ルフィに視線だけで貶められてゆくのを感じながら、一度許してしまった自分の体への欲望はもっともっとと貧欲になっていく。
「ゾロ、物足りないんなら3本でもいいんじゃねぇ?」
ルフィの声に促されるように指を3本に増やし、自分の快楽に溺れてゆく。
だけど、ふと合わせた視線の先のルフィの顔を見た途端、自分の指では満足できなくなってしまった。
ゾロは指を引き抜き、ルフィにいざりよるとキスを求めた。
舌の動きでゾロを絡め取りルフィは優しく囁いた。
「お仕置き、許してくれんのならゾロからしてくれるか?」
ずるい奴!!
そう思いはしたけれどゾロの方がもう限界に近かったから、勃ちあがったルフィを自分の最奥へ導くとゆっくり腰を落とした。
自分の指で散々慣らされた場所は、苦痛無くルフィを受け入れる。
だが、指とは圧倒的に違うルフィの熱と大きさにゾロの体はくうっと反り返る。
そんなゾロを見て慌ててルフィが腕を動かしシャラッと言う音が聞こえたと思った途端、ルフィの両腕がゾロの体を抱きとめた。
「お・・前・・・。その腕。」
しまったというようにペロッと舌を出し悪びれない顔で笑う。
「ごめんな。ゾロ。」
その言葉にいつでも外せたんだという事に気付く。
ならば、最初から拘束の意味なんてなかったんじゃないか!!!
ちくしょうと思いながらも、受け入れてしまった体はもう止まれない。
誤魔化すかのように激しくなるルフィの攻めに、ゾロの怒りは快感へと摩り替えられる。
「ひゃ・・・あっ・・んんっ・・・あぁん。」
真っ白になってゆく頭の片隅で、これじゃお仕置きじゃないんじゃないかと思いながら、久しぶりに独占するルフィを抱きしめ、 まっ、今までの分、頑張ってもらえばいっかと考えてた事はルフィにはナイショにしておこうと思う夜だった。



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戯言:すみません。もうやってるだけ・・・・・・。心理描写?なにそれ?って感じです。
それもゾロのほうが欲しがってるし、ルフィがなんだか余裕ありすぎ。
多分、ゾロのほうが欲しがってくれるのが、嬉しかったんだと思うんですけどね。
いつもの余裕の無いルフィさんは何処へおわしますのか?ということで、
お仕置きゾロバージョン?終了です。(戯言、長いって・・・)