槍・穂高周回 2009年4月19日
メンバー よっちゃん
新穂高(0:00)--白出小屋(1:30)--槍平(3:50)--槍岳山荘(6:50/8:25)--天狗原(9:00)--横尾尾根(9:40)--涸沢出合(10:10)--穂高岳山荘(15:40/16:00)--白出小屋(17:35)--新穂高(18:50) |
飛騨沢の登りで夜明け | 笠ヶ岳に朝日があたる |
大槍 | 槍のてっぺんから槍岳山荘を見る |
てっぺんとわたし | これから向かう穂高連峰 |
槍沢と目指す天狗原&横尾尾根 | 天狗原から槍ヶ岳を振り返る |
真っ白の天狗原を黙々と登る | 横尾尾根の乗り越し |
思い起こせば2006年5月、深夜の白出沢出合で槍穂周回にチャレンジしてる操さんに出会ったのが始まり。 ワンデイで槍と穂高を一周・・・ 「そんなことが出来るんや」と驚き来年はチャレンジしたいと思いたって3年。 毎年計画するも天気に恵まれずやらなんやらでやっと今年念願が叶いました。 今年は天気も日程もバッチリだ、計画通りいってないのは体力作りくらいなもの。 山小屋も上高地もまだOPEN前で安易に逃げられないように背水の陣を張っていざチャレンジ。 前日の夕方に新穂高無料駐車場に到着。少し仮眠しようと思ったが眠れない。 夜の11時半にごそごそ準備をして新穂高バスターミナルに移動。 登山計画書を提出し0時ぴったりに歩き出した。空は満天の星。今日は1日晴れの予報だ。 昨年はこの林道歩きで足の爪を傷めたので今回はアプローチシューズで出発。 しかしものの30分も歩かないうちにミッドソールが崩壊。靴底が真っ二つに割れる。 以前の教訓がまったく生かされてない。みなさん靴の経年劣化にはくれぐれも注意しましょう。 靴底に負担がないようにだましだまし歩いて行く。 穂高平小屋の少し先から雪が続くようになった。兼用靴に履き替えてアプローチシューズはデポ。 しばらくはつぼ足で歩いていく。今日は月の出が遅く真っ暗。ヘッデンの明かりが頼りだ。 出発して1時間半で白出小屋に到着。ここからシール歩行とする。 白出沢は流れが出てるがなんとか雪が繋がってるようで帰りはここまで滑って降りれそうだ。 対岸の登山道は雪がとぎれとぎれになっていた。しばらくスキー板の着脱を繰り返し進む。 ブドウ谷付近で右俣谷に降りて河原沿いを進む。チビ谷のデブリを乗り越える時にシールが滑って転倒。あたたた 凍ったザラメ雪で腕がすり傷だらけになる。前回の槍ヶ岳往復の時もここでコケたのに以前の教訓が・・ 滝谷はところどころ水流が出ていた。右俣谷が完全に雪に埋まりだすとまもなく槍平に到着。 あたりは真っ暗なのでテントが張ってあるかはわからなかった。 徐々に傾斜が強くなるがシールで進んでいく。谷が大きく右に曲がるあたりで薄明るくなってきた。 前方に飛騨沢の全貌が見えてくる。振り返ると笠ヶ岳の稜線が見えている。 5時半くらいに笠ヶ岳に朝日があたる。絵にかいたような晴天だ。 一段と傾斜が強くなるころスキーを担ぎにしてアイゼン歩行に変えた。 今日は長い1日だ。あまり飛ばしすぎないようにセーブモードで登って行く。 それでもヒーヒー言いながらやっとのことで飛騨乗越に到着。 そのまま槍の肩まであがると大槍のお出迎え。ここまで6時間50分。まあ想定内か。 槍岳山荘はまだ除雪前のようで、冬期小屋の前で荷物を下ろし大槍のピストン。 槍ヶ岳(3180m)のてっぺんは相変わらずの絶景だ。360度の展望を楽しむ。 大槍の往復で1時間10分費やしてしまった。ちょっとモタモタし過ぎか?? ではでは今回一本目の滑降。これを滑るともう後戻りは難しい。とにかく進むのみ! 雪面はおとついの雪の影響か真っ白のすべすべ斜面。コントロールの効く気持ちの良い状態だ。 あっという間に殺生ヒュッテ付近まで滑り降りた。そこからは天狗原目指してトラバース気味に滑って行く。 岩壁の下を横切る時は上部からの一発を警戒しながら通過。 疎林のあたりでスキーからアイゼンにチェンジ。急斜面の作業なので荷物を流さないように慎重に。 振り返ると槍ヶ岳がすでに遠くに見える。スキーの機動力は素晴らしい。 つぼ足で急斜面をこなして天狗原にあがる。あたり一面真っ白な世界。もちろん天狗池も雪の下だ。 まさにこの景色を独り占め状態。しかし横尾尾根までの登り返しは気分的に疲れる。 標高差200mちょいの登りだが雪の白さが距離感をなくしてしまって広大な景色にのまれてしまう。 やっとのことで横尾尾根の乗越地点に到着。ここで9時40分。まだ許容範囲か。 尾根にあがると横尾本谷が眼下に見渡せる。さらに下方奥に登り返す涸沢が見えている。 |
これから滑る横尾本谷右俣と奥に見える涸沢 | 横尾本谷右俣に滑り込んで振り返る |
横尾本谷二股 | 涸沢の登りから横尾本谷を振り返る |
涸沢ヒュッテ手前から見た奥穂高岳 | これから向かう白出乗越 |
ザイテングラードから涸沢カールを振り返る | 除雪作業中の山荘スタッフに見送られる |
白出沢を滑る | 荷継沢出合付近より振り返る |
いよいよ横尾本谷右俣の滑降。涸沢出合まで標高差800mだ。 今回の計画を操さんとは逆の時計回りにしたのはこの横尾本谷を滑りたかったからだ。 足まわりを滑降モードに変えて滑降準備オッケー。すべすべの斜面に飛び込む。サイコー♪ どんなに辛い登りでもこの瞬間が帳消しにしてくれる。 しかしおとといの雪と雨の境界線を過ぎると薄汚れたグサグサの雪に変わった。 こうなるともう我慢の滑り。二股で横尾本谷左俣と合流するとデブリランドと化す。 グサグサのデブリを乗り越えながら涸沢出合に到着。実質20分弱で滑り下りた。 さあここから登りのメインイベント。穂高岳山荘のある白出乗越まで標高差1100mの登り返しだ。 時間は10時半。まあギリギリな感じ。板にシールを貼り付けて歩き出す。すでに気温はマックス状態。 グサグサ雪が重い。振り返るといま滑り降りてきた横尾本谷が見えている。 山小屋のある涸沢カールの底まではだらだらした登りが続く。このあたりで暑さと疲労でヘロヘロ状態になってきた。 涸沢がやや右に方角を変えると雪に埋もれた涸沢ヒュッテらしきものが見えてきた。 ちょうど作業中なのか除雪機で舞い上がる雪と何人かの人影が見えている。 その奥には穂高連峰が壁のように連なっている。今からあの稜線の高さまで上がらなければならない。 涸沢カールに入り込むと右手にこれも除雪作業中の涸沢小屋が見えた。 その横には昨年滑った北穂沢がなつかしい。正面にはこれから向かう白出乗越が見えている。 ここからやや傾斜が出るのでつぼ足に変えてみる。予想通りグサグサ雪に足がとられる。 しばらく頑張るがあきらめてシール歩行に戻す。この登りで予想以上に時間を食ってしまう。 10歩あるくごとに呼吸が乱れる。心配機能がもう限界。刻々と時間は過ぎていくがなかなか足が進まない。 この時点で残念ながら奥穂高岳ピストンはあきらめた。左手にこれまた昨年滑った奥穂の直登ルンゼがなつかしい。 なんと、この時期に涸沢の上部斜面で遊んでるボーダーとスキーヤーがいてはる。 上部はこの人たちのつぼ足トレースをありがたく使わせていただいた。ありがとうございます。 ほんとにやっとのことで白出乗越にたどり着いた。涸沢出合から5時間半かかったことになる。まさに体力不足を痛感。 こちらも山小屋の除雪作業まっさかりだ。作業してる横をすり抜けさせていただいて白出沢に入る。 最上部はガレが顔を見せいているので10mほど下ったところで滑降準備をする。 時間は16時。涸沢側は少し日が陰ってきたが白出沢はまだまだ太陽が元気だ。 除雪作業中の穂高岳山荘のスタッフさんに見送られて滑りだす。白出沢も気持ちいい斜面。 しかし足が疲れてるので休み休みの滑降になる。ここには昨日か今日かのシュプールがあった。 どんどん滑り下りて行くとこちらもデブリランドになる。荷継沢が右から入ると白出大滝の高巻道に入る。 登山道は雪に埋まってるので迷うが強引に下りて行く。 白出沢に戻ると先ほどのシュプールが白出大滝方面から続いている。まだ滝は雪が繋がっていたのかな。 そこから下はさらにデブリランドが続くが、この気温で雪が緩んでいるのでなんとかこなしていくことができる。 登山道が沢から離れるあたりでようやくデブリも落ち着き、あとは河原に残った雪をつたって滑り降りていく。 あっという間に白出小屋に到着。標高差1400mを1時間半で降りて来れた。 あとは林道を滑っていき雪の途切れる地点で往きにデポしておいた崩壊靴を回収する。靴というか単なる重石になったが・・・ 新穂高バスターミナルに着くころには薄暗くなってしまった。 下山届を提出し無料駐車場に戻ると僕の車しか残ってなかった。 すでにあたりは真っ暗。温泉に間に合うようにさっさと新穂高をあとにした。 結局行動時間は18時間50分に及んでしまった。楽しかったけど疲れました。課題は体力です。 しかしスキーの機動力は素晴らしいです。累積標高差約3370m。たまにはこういうのもありです。 個人的には3年間の思いをやっと叶えることができました。思い入れが強い分満足感も大きいです。 |