ミッドソールの劣化は誰にも起こります

我が靴の最終進化形

それは何の前ぶれもなく始まりました。
室堂を出発して30分程歩いたでしょうか・・・
雷鳥坂を少し登り始めた頃です。
靴に違和感を覚えてふと足元を覗いてみると。。

「なんじゃこりゃ〜!」
靴底がめくれてるじゃないですか!!
恐る恐るもう片方の足を見てみると・・・・
「うわ〜!!」 こっちもや〜ん!!
まだ行程は始まったばかり。引き返すなら今! 

ってことはまったく考えず。。

まあ、なんとかなるやろ(^O^) 
ってことでどんどん登っていきました。
雷鳥坂を登りきるころには両足のゴムの靴底は
完全にめくれてしまっていました。
ミッドソールの剥き出しになった靴は意外にフリクションがよく
快適に剱沢に下っていけます。。
キャンプ場を通り過ぎ剱沢雪渓に降り立つ頃には
ミッドソールは地面に削られ靴底の隙間から
靴下が見えてる状態でした。
そのまま雪渓を下っていくと
隙間から雪が入ってとても冷たい^−^;

長次郎谷の出合で先ほど剥がれたゴム底を重ねてガムテープで
ぐるぐる巻きにして応急処置しました。
その上から12本爪アイゼンを装着するととても快適に長次郎谷を
登って行くことができます♪

しかし、うまくいったのもここまででした。。
クレバスを避けるためにアイゼンを外してザレ道を登り始めると
とたんにガムテープがその効力を失いゴム底がずれ始めました。
靴底のずれた靴は歩きにくいったらありゃしない。。
それでもぎりぎり靴の状態を保ったまま熊ノ岩に到着しました。

翌日。三ノ窓へのアプローチ。
かっきーに補助ロープを恵んでもらい
再び靴底を重ねてぐるぐる巻きに。
池ノ谷乗越に向かって登り始めました。
途中で拾った残置スリングで補強しながら無事に乗越に到着♪

ここからは極悪の池ノ谷ガリーの下りです。
一歩踏み出すごとに崩れていく
ザレザレガレガレの道を下って行くのは
靴底にとってはとてもダメージが大きいようでした。
三ノ窓に着く頃には靴底が完全に横にずれて
靴とは言えないような物になっていました。
しかし、ここからクライミングシューズに
履き替えるので役目終了です^−^

クライミングを終えて池ノ谷乗越からのザレ道の下り。
靴と言えないような物に履き替える気持ちになれずに、
クライミングシューズで下って行くことにしました。
ご存知の方は理解できるでしょうがクライミングシューズで
急坂を下るのは地獄ですよねえ。
一歩下るごとにつま先に激痛が走ります。
長次郎谷に僕のうめき声が響きわたりました。
途中で痛みにどうしようもなくなりつま先に負担が少なさそう
と言う事で雪渓を下ることにしました。
しかもクライミングシューズと雪の相性は最悪ですよねえ。。
まさに氷の上を歩くようなものです。
長次郎谷上部は急斜面。
下には大きく開いたクレバスが待ち構えてます。
かっきーにロープで確保してもらい雪渓に踏み出します。
3歩目でスリップ。
転倒し雪の上を速度を上げながら滑っていきます。
「ああ〜 これが滑落か・・・」と思ってるうちに
衝撃とともにロープで止まりました。
あとはかっきーのロープにぶら下がりながら
無事に熊ノ岩に戻りました。

3日目。室堂まで戻らなくてはなりません。
靴のような物に無理やり補助ロープをぐるぐる巻き出発。
しかし、100mも進まないうちに
靴の機能を失い靴底は靴下だけです(T◇T)
ここで、あきらめました。お疲れ様!山靴よ。今までありがとう。
クライミングシューズで室堂まで戻ることを決意しました。
靴紐を限界まで緩めて、山靴用の厚い靴下を履いてみると
痛みは昨日ほどではありません。
問題の雪渓もかっきーの6本爪アイゼンを借りて無理やり
クライミングシューズに装着してみると問題なく歩けます♪
長次郎谷を下りきり、剱沢を登り返します。
登りはまだいいのです。でも20kg以上の荷物を背負ってるので
地面のゴツゴツが足裏に直接響いてきて痛いですが・・・
いよいよ雷鳥坂の長い下りにかかりました。
まるで拷問のようです。もう勘弁してください(>◇<)
しかし勘弁してくれませんでした。。

こんなに情けない山歩きになったのは、すべて自業自得です。
先代の山靴を持っていったつもりが、よく確認せず先々代の山靴を
持っていってしまいました・・・
そりゃ製造してから5年以上経過してますよねえ。。
っていうかそんな古い靴がなんで置いてあったのでしょうか。。

ミッドソールの劣化は誰の靴にも起こります・・・
年月の過ぎた靴は充分注意してください。
登山中に靴底が剥がれ出したらすぐにテープでぐるぐる巻くなど
応急処置して行動を中止し引き返すことを強くお勧めします。
以上体験談です