仙北街道・・その名前を知ったのは数年前のことだった。しかし岩手県奥州市の石渕ダム上流から秋田県東成瀬村まで、険しい山々を越える街道があったという話は、20数年前に聞いたことがある。猿岩隧道をくぐりしばらく進むと、林道の右手に平坦な原野が現れる。林道に沿って長さ約1km、幅は100m以上もある広大な平原、20数年前に「鹿の里」というちょっとしたレジャー施設があった場所だ。
20数年前、仕事でこの場所を通った時、「昔、ここから秋田へ通じる街道があってな・・こんな山奥の道を大名行列が通ったらしいぞ・・ここら辺には昔、村があったそうだ・・今でも夜になると赤ん坊の泣き声や、女の笑い声が風にのって聞こえてくるそうだ・・・」と、上司から冗談交じりに聞かされた事を思い出す。当時はこんな奥深い山の中を大名行列が通るような街道があったとは、まったく信じられなかった。
近年、岩手県、秋田県の地元有志の皆さんによって、荒れ果てた街道を踏査し、刈払い等の作業を続けて仙北街道を復活させることができたという。平安時代から1200年もの間利用され続けてきた古道、胆沢城から奥羽山脈を越えて秋田へ通じる最短の街道として重要な役割を担ってきた道、大変興味深い。そこで今回、大寒沢林道の終点から大胡桃山(おおぐるみやま)を経て小出川(おいでがわ)まで仙北街道を歩いてみた。
奥州市の国道397号を西へ、石渕ダム方面へ向かう。ひめかゆ温泉を過ぎると間もなく、胆沢ダムの工事現場が見えてくる。平成25年完成予定の胆沢ダム、完成すると国内最大級のロックヒルダムになるという。ダムの建設に伴い国道397号は胆沢川の左岸に新しく付替え工事中、工事車両に注意しながら進む。
焼石岳中沼登山口に向かう林道入口を過ぎて進むと、石淵ダムの管理事務所へ向かう道が左に分かれる・・というよりも国道397号が右にカーブするY字路がある。この交差点を左に入り、ダムの下流に架かる橋を渡ってダム堰堤の対岸へ渡る。
仙北街道〜大胡桃山
2007年8月1日(水) 晴れ
所在地 岩手県奥州市
標 高 934m
ダム湖を右に見ながら砂利道を走り、猿岩隧道をくぐる。ダム管理事務所入口のY字路から4.0km地点の林道交差点は右へ進む。次のY字路は左に進むと間もなく平坦な原野が現れる。この辺りは、新しい地図には記載されていないが、昭和58年発行の1:50000地図を見ると、東下嵐江(おろせ)の地名が載っている場所、現在発掘調査が行われている。
林道は雑木と雑草に覆われた原野を縦断してまっすぐ1kmほど続く。原野を過ぎて大寒沢に架かる橋を渡ると直ぐ、林道が分かれる。(ここまでダム管理事務所入口のY字路から約6.5km)右の大寒沢林道に入り約4.3km進むと林道終点に到着、ここが大胡桃山の登り口になる。
国道397号からダム管理事務所へ向かう道が分かれる ↑
(この交差点を左に入り、直ぐに左の橋を渡る)
↓猿岩
国道397号秋田へ→
平坦な原野を縦断して林道を進む ↑
10:05分 大寒沢林道終点出発
林道終点の広場には約7台駐車できそう。広場には「栗駒山・栃ヶ森山周辺森林生態系保護地域」を示す案内板が立っている。これから歩く仙北街道沿いの森は原始的な自然を厳格に保護しているらしい。植物採取は禁止だという、ということはタケノコ採りも禁止なのだろうか?
広場の周辺は刈払いされていたが、登山道もきれいに刈払いされている。しかも刈られたササや雑草がまだみずみずしい。ここ数日以内に登山道の刈払いが行われたと思われる。
歩き始めはブナ林の緩やかな道、まもなく急斜面を尾根に向かって登る。
10:21分 分岐着
アドレ坂へ0.5km、下嵐江(おろせ)へ6.0km、大胡桃山へ1.5km
尾根の上に到着、ここで仙北街道に合流する。右方向がアドレ坂、小胡桃山を通って岩手側の仙北街道入口である下嵐江へ。左方向が大胡桃山、小出川を通り秋田へ向かう仙北街道になる。分岐を左折してなだらかな尾根道を進む。
10:35分 分岐着(大胡桃山迂回路)
ここで街道が左右に分かれている。左は大胡桃山の山頂を迂回する道になるらしい。右の道に入り大胡桃山の山頂を目指して急斜面を登る。
原野を通り過ぎて間もなく大寒沢に架かる橋を渡る ↑
(橋の対岸で林道が別れる、右へ進む)
大寒沢林道終点 ↑
大寒沢林道→
仙北街道に合流する ↑
仙北街道を大胡桃山へ向かう ↑
←大寒沢林道へ
↑大胡桃山へ
↓下嵐江へ
10:40分 大胡桃山着
ツナギ沢まで1.7km
なだらかな山頂に到着。東側は雑木に遮られて展望はないが、北方に焼石岳、南方から西方には県境の山々が一望できる。
大胡桃山から西方の展望 ↑
↓栃ヶ森山
↓東山
大胡桃山から南西方向の展望 ↑
↓栃ヶ森山
↓桑原岳
大胡桃山から北方の焼石岳方面の展望 ↑
↓獅子ヶ鼻岳
↓天竺山
↓経塚山
焼石岳はこの辺り?↓
えんど