和賀山塊北部に位置する白岩岳から、真昼山地南方の女神山まで、岩手、秋田の県境に沿って約33kmに及ぶ大縦走コースがある。この大縦走路、一度は歩き通してみたいと思っている。縦走コースのうち、薬師分岐から真昼岳の峰越登山口までの区間が、いまだ未踏になっている。
 薬師岳から峰越登山口までは約14km、健脚の人であれば甘露水口から一日で歩き通せるらしいが、非力なおじさんハイカーにとってはとても無理!かといって一泊装備での縦走も、幕営地点のことやら、最近めっきり弱ってきた足腰への負担が大きいことなどを考えるとなかなか思い切れない。そこで縦走路のエスケープルートを利用して、未踏区間を数回に分けて歩いてみようと思う。
 今回は風鞍(かざくら)からのエスケープルートを利用して黒森登山口から風鞍へ登り、縦走コースを北上して中ノ沢岳〜甲山分岐〜大甲山〜薬師分岐まで歩き甘露水口へ下る。その後、林道を歩いて黒森登山口へ戻る周回コースを歩いてみた。

 秋田県大仙市太田町の太田東小学校前のY字路から案内表示に従い真木渓谷へ向かう。真木林道を進んでゆくと、小路又(こじまた)の野営場の手前で「七瀬沢林道」が右に分かれる。「小路又分岐」と記された標柱も立っている。(林道分岐付近の駐車スペースは5〜6台) 
 七瀬沢林道に入ると、500m間隔で距離を記した標柱が立っている。左の路肩に2.0kmと書かれた標柱を見てから、100m弱進むと林道が左に分かれる。黒森登山口は左の林道の終点にある。ここまでも路肩の雑草が車を擦っていたが、この先の林道は更に雑草が伸びている。ここに車を置いて歩くことにする。(路肩に約3台駐車可)この場所に登山口の表示は全くない。
2007年7月24日(火)曇り〜晴れ
所在地  岩手県西和賀町、秋田県大仙市境界
標  高  風鞍1023m、中ノ沢岳1061m、
       大甲山1108m
風鞍〜大甲山周回コース
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えんど
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小路又分岐、右が七瀬沢林道↑
七瀬沢林道を約2.1km進むと左に林道が分かれる↑
甘露水口へ↑
黒森登山口はこちら↑
黒森登山口付近の登山道のようす↑
7:05分  林道分岐出発
 路肩の雑草は伸びているが、路面は荒れていない。乗用車でも腹をこする心配はなさそうに見える。林道は黒森山の北斜面を巻きながら登っているようだが、ガスで周囲の視界が無いので良くわからない。
7:25分  黒森登山口着
風鞍まで2.2km
 林道の終点に着いた。駐車スペースは車の転回スペースを残すとほとんど無いに等しい。ここから登山道が始まるのだが、登山口の表示は何もない。登山道は刈払いがしっかりされていて歩き易い。大縦走路の情報については「和賀岳・薬師岳・真昼山登山情報」のホームページを参考にさせて頂いたが、このコースは先月刈払い等の整備を行ったばかりだという。おかげで草木が体に触ることも無く快適に歩ける。
「和賀岳・薬師岳・真昼山登山情報」のホームページはこちら
7:35分  尾根に到着
黒森山から風鞍へ延びる尾根の上に出る。周囲は若いブナの森が広がっている。この先は緩急を繰り返しながら尾根道を登る。
7:50分  標高828mのピーク着(ドコモアンテナ3本)

8:05分  急斜面の登りが始まる

8:20分  林間を抜けてピークの上に着く
 ガスに覆われていて周囲は全く見えないが、たぶん風鞍のすぐ西にある標高1000mのピークの上だと思う。晴れていれば正面に風鞍、後ろに黒森山が見える場所なのだろう。この先は一旦鞍部へ下り、風鞍へ登り返してゆく。
尾根上の登山道、ブナの森が続く→
風鞍山頂↑
風鞍から中ノ沢岳へ向かう登山道のようす↑
南風鞍へ↑
黒森登山口へ→
←中ノ沢岳へ
8:35分  風鞍着
黒森登山口から2.2km、南風鞍へ1.0km、中ノ沢岳へ2.0km
 ガスに覆われていて展望は全くなし。笹薮に覆われた広い山頂は刈払いされているが、ササの切り株だらけで腰掛ける場所は殆ど無い。ここで縦走コースと合流したわけだが、中ノ沢岳方面と南風鞍方面、そして黒森口方面の3つのコースの入口が、90度の角度の中に納まっている。天気がよければ問題はなさそうだが、今日みたいにガスに覆われている場合は、南風鞍方面と黒森口の入り口は紛らわしい。黒森口は刈払いされたばかりなので登山道がはっきりしているが、南風鞍方面は草が茂っていて不明瞭気味になっている。雨天などは特に注意が必要だと思う。
8:45分  風鞍出発
 中ノ沢岳へ向かって下ってゆく。登山道は明瞭なのだが、草が茂っていて足元がよく見えない。縦走コースは登山者が少ないとみえて、あまり踏み込まれていない。木の根っこや石が隠れているので慎重に進む。草を掻き分けて100mも下ると、ズボンと靴がすっかり濡れてしまった。
8:56分  最低鞍部着
 鞍部付近まで来るとガスが晴れ始めた。振り返るとなだらかな風鞍の山頂が見える。
登山道は小ピークを乗り越えながら尾根筋を進んでゆく。幹の細い広葉樹のトンネルの中の道、周囲は笹薮に覆われ、足元には実を付けたツバメオモト、マイズルソウも見える。
中ノ沢岳へ向かう登山道から風鞍を振り返る↑
風鞍↓
中ノ沢岳↓
樹林が途切れて中ノ沢岳が見える↓
9:46分  中ノ沢岳着
風鞍から2.4km、甲山分岐へ1.4km
 風鞍の標柱にはここまで2.0kmと表示されていたが、こちらの標柱には2.4kmになっている。この他にも距離表示が合わない標柱がある、どちらの距離が正解なのだろう? 中ノ沢岳の山頂標柱は、本当の山頂よりも80mほど風鞍寄りに立てられている。この答えは山頂に登ってみて判った。山頂は雑木が茂っていて展望が良くない。そのために山頂手前の見晴らしの良い尾根に標柱を立てたのだろう・・か?
 山頂の南側斜面からは風鞍、南風鞍、岩手県側の沢内方面、そして薄っすらと早池峰山も見えている。更に南方の真昼岳方面は雲の中で見えない。山頂を過ぎて北側斜面からは、甲山、大甲山まで、薬師岳、和賀岳は雲の中で見えない。
 中ノ沢岳を過ぎると登山道がいくぶん歩きやすくなる。足もとが踏み込まれている感じで、木の根っこに足をとられる場面が少なくなる。
風鞍↓
南風鞍↓
中ノ沢岳北斜面から甲山方面を眺める↓
中ノ沢岳山頂付近から風鞍方面を振り返る↑
甲山↓
大甲山↓
高下岳↓
↓甲山分岐
10:24分  分岐着
樹林の中を下り、甲山分岐へ上り返す途中に分岐があった。表示は無いが、右は甲山分岐へ登る縦走コース、左は甲山分岐を迂回して甘露水口(すずみ長根口)へ直接下るルートだと思う。右の道に入り甲山分岐へ向かう。
10:35分  甲山分岐着
中ノ沢岳から1.0km、大甲山へ1.3km、すずみ長根口へ1.2km、(甘露水口まで3.2km)
こちらの標柱の距離表示もおかしいが、一応記録しておく。分岐から眺める甲山には、山頂に標柱らしきものが見える。山頂下の斜面には、薄っすらと登山道らしい痕跡も見えるが、しかし甲山分岐から直接登るルートは見当たらなかった。
 甲山分岐から大甲山へ向かう登山道は、充分に踏み込まれている。薬師岳から大甲山、甲山分岐を通って甘露水口に下る周回コースは、登山者が多いのだろう。
この先の尾根道は花々を楽しみながら歩く。しかし、草が伸びて登山道を覆い隠している箇所が多い、急斜面は慎重に下る。
甲山分岐に到着↑
甲山分岐付近から甲山を眺める ↑