金明水直登コース2
2003年6月23日(月)曇り〜晴れ
所在地  岩手県胆沢町
      焼石岳
      
 昨年(2002年)金明水避難小屋が新築されたそうなので早速見に行ってきました。
現在国道397号は胆沢ダムの建設工事の為に一部が新しい道路に付けかえられていて尿前林道の入り口が尿前川を渡り少し胆沢町寄りの位置から進入するようになっています。しかし中沼登山口の標識がしっかり立っていますので迷う様な事は有りませんが、尿前林道では建設工事がおこなわれていますので工事車両に注意が必要です。
 9:37分中沼登山口到着、駐車場には20台程の車が止まっていた。今日は月曜日なので登山者は少ないが日曜日には80台以上の車で駐車場は一杯になるそうです。林道は1車線と狭く待避所も少ないので大変な混雑になるようです。出来れば平日がお勧めです。

 登山口の標識には「金明水直登コースは未整備のためガイド無しには立ち入らない事」と注意表示が立っています。この未整備の意味は、直登コースには2ヶ所の渡渉点が有りますがどちらも比較的大きな沢です。勿論橋は架かっていませんし安全に渡る為のロープ、そして沢の取りつきの急斜面にもロープや階段などの設備がありません。天竺沢では沢の中を登る事になりますので足を滑らせ転倒する危険もあります。登山道の木道や階段工、刈り払いもしていませんので歩きにくいと思います。そうゆう意味での注意表示ではないかと思います。従って自分自信の安全は自分で責任を持てる方のみ利用した方が良さそうです。
中沼登山口のトイレと案内標識
直登コースは中央の林道を進む
中沼登山口の駐車場
9:45分  中沼登山口出発
 金明水直登コースはトイレと登山口標識の間の林道を進んで行く。数百m先には小さい駐車場が有るはずだ、しかし路盤はしっかりしていて充分車が通行できそうだが少し進むと路肩から雑木が張り出している。これでは車が傷だらけになってしまう、徒歩5分程の距離なので中沼駐車場に車を止めて歩いた方が良いだろう。
9:51分  直登コース登山口着
 車が3台ぐらい置ける広場に着いた。林道はもう少し続いている様だが完全に廃道になっている、廃道になった林道沿いに登山道が始まる。焼石の山々は雲に被われていて見えないが広場から正面に青岩が見えている、鋭く立ちあがった1090mの山頂にはうっすらと雲が掛かり背後に有るはずの天竺山は完全に雲の中だ。金明水小屋の標高は約1170mだからあの岩山の更に80mほど上まで登って行くことになる。 
 登山道はだいぶ踏み込まれていて利用者も多そうだ、しかし近年刈り払いされていないと見えて雑草や雑木が茂り体に触る。更に細かい蜘蛛の巣が顔にまとわりついて不快な事この上ない。タオルで顔を擦りながら進んで行く。
尿前沢の渡渉点
上流側の様子
冷気の場の窪地に残る雪
10:10分  尿前沢渡渉点着
 河原に下りて岩に赤ペンキで書かれた目印に従い50mほど上流に進むと対岸に赤テープが見えた。適当な飛び石を選んで渡ったが右足に水が入ってしまった、最近雨は降っていないが雪解け水で水量が多く流れも速い。石には今の所苔が付いていないが、夏になると苔で石が滑りやすくなるので注意が必要だ。対岸に渡り急斜面をよじ登ると尾根の道になる。左に尿前沢の水音を聞きながら進むと見事なブナ林が広がっている。
10:40分  冷気の場着
 200年9月にこの場所を通った時ヒンヤリとした冷たい空気を感じて驚いたものだった。登山道が丁度小さな窪地の真中を通っているのだが今はここだけ雪が残っている。窪地からは枯れ沢が上に向って伸びている、地面には苔がびっしりと付いた岩がゴロゴロしていてシダが生い茂っている。もしかしたら枯れ沢の地下を水が流れているのかもしれない。地下水で冷やされた空気が岩の間から吹き出して窪地に溜まり、冷気として感じるのかもしれない。
冷気の場付近の登山道
(岩がゴロゴロした枯れ沢の中の道)
ズダヤクシュ
11:00分  ガレ場着
 青岩の南斜面から崩れ落ちた岩場が見えてきた、すると向こうから鈴を付けた中年の男性が一人歩いて来る。昨夜金明水避難小屋に泊まった方だった。花の咲き具合を尋ねると、「姥石平を廻ってきたが春の花は終ってしまい夏の花はまだ咲いていない、例年ならば今の時期花が途切れる事はないのだが..今年は珍しく花が切れてしまった」と言うことだった。姥石平のお花畑を期待していたが残念!
ガレ場手前の案内標識
(←尿前川〜蜂谷林道ー青岩乗越¬)
沢の中の登山道
(残雪の上を進む)
ガレ場を横切って進む
シラネアオイ
11:12分  青岩分岐着(青岩乗越)
 ガレ場を横切り青岩の西端を時計回りに巻きながら登っていくと青岩から西に伸びる尾根の鞍部に着いた。
右は青岩山頂への道?左が金明水方向、そして地図によってはここから真っ直ぐに進み天竺沢に下りて沢を遡上して金明水に向うように表示されている場合もある。青岩乗越と言うようにかつては天竺沢を遡上する道だったが今では尾根の上を進み天竺沢の上流で沢を渡る様にルートが出来ている。
 尾根は次第に瘠せて低木に被われた道になる、日差しが入るために雑草や雑木で道が被われている。踏み跡はしっかりしているので安心だが露の有る時ならずぶ濡れになってしまうだろう。足元を見るとコイワカガミが咲いている、そして満開のサラサドウダンが綺麗だ。
コイワカガミ
サラサドウダン
11:35分  天竺沢着
 右側に天竺沢の水音を聞きながら尾根を進む、振り返ると青岩の山頂が目の前に見えている。すぐそこにあるはずの天竺山は雲の中で見えない。道は尾根から右にトラバースして天竺沢へと下りていく、沢の取りつきが急斜面だったはずだが予想に反してすんなりと沢に降りる事ができた。一旦天竺沢の支流に下りて横切り、天竺沢の中を登って行く。河原の岩に赤ペンキで目印がついているが沢には残雪があり一部ルートを覆っていた、雪が完全に融けてしまえば迷うような事は無いと思う。2000年に歩いた時とは少しルートが変わっている様だ、天竺沢の下流側の取り付き個所が少し上流側へ移ったように感じる。以前に比べるとルートがはっきり見えるようになったので天竺沢で迷う心配は少なくなったと思う。天竺沢から抜けて急斜面を登りきると金明水から流れてくる沢沿いの道になる、潅木が次第に低くまばらになり刈り払いもされていて歩き安い。沢が細くなり間もなく金明水に着いた。
天竺沢
沢の中にルートがある
キヌガサソウ
11:56分  金明水到着
 金明水の涌き水は水量が多かった。夏になると樋からチョロチョロと流れ出るくらいまで少なくなるのだが雪解け水で水量が多いのだろう。備え付けのコップで飲んでみた、美味い!今年も銀名水と共に水質検査をしているそうだが大腸菌は検出されなかったそうなので安心して飲める。弱アルカリ性の美味しい水だ。
そしてお目当ての金明水避難小屋は高床式2階建ての立派な小屋?に変身していた。収用人数約30人、銀明水避難小屋よりも大きい。銀明水同様こちらも簡易水洗トイレ、だがこちらは屋根に降った雨水を溜めてトイレに使うので雨水が無くなると近くの沢からバケツで水を汲んできて流す事になると書いてある。ちょっとおそまつな感じもするが早速使ってみようと思ったら鍵が掛かっていて開かない、まだ冬季用のポッチャントイレしか使えなかった。バケツもまだ無いし...もう7月になるというのに、山の夏は短いのだから、今使わないで何時使うのだろう?(金明水避難小屋の写真は「金明水避難小屋」のページをご覧下さい)
 今日は天候が良くない、ガスが掛かっていて山は見えないし姥石平のお花畑も盛りが過ぎてしまっているそうだ。さて、これからどうしたものか。丁度小屋に居合せた地元の方とお話をしながら休憩していたが、13時頃になるとガスが晴れてきた。せっかくここまで来たのだから姥石平を廻って帰る事にしよう。
金明水の涌き水
金明水の避難小屋
金明水避難小屋
中沼登山口→25分→尿前沢渡渉点→1時間02分→青岩乗越→23分→天竺沢→21分→金明水

中沼登山口→2時間11分→金明水
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