冬の早池峰山1
2004年2月11日(水)晴れ
所在地:岩手県大迫町
標  高:1913.6m
 日本百名山の一つでもある早池峰山は中腹から上が急峻な岩場になっています。そのため夏山でも上部は足場が悪く慎重な登山が求められる山です。冬の登山は特に危険を伴うのでしっかりした装備と慎重な行動が必要です。しかし川原坊コースのコウベゴウリまでならば、コメガモリ沢の徒渉を除けばそれほど危険な箇所は無いと思います。冬のトレッキングコースとしてカンジキ、山スキー共に比較的容易に歩くことが出来るようです。
私は今回を含めてこのコースを歩くのは今冬3回目になります、今回の目標はコウベゴウリから先の岩場の様子と雪と氷の状況を確認するのが目的です。12本爪アイゼンは持ちましたがピッケルは準備しませんでした、ピッケルが必要な状況では引き返す計画です。
 
峰南荘駐車場からコウベゴウリまでの写真は               のページをご覧下さい。

7:20分  峰南荘前駐車場出発
 岩手県大迫町岳集落の奥にある峰南荘前駐車場に7時10分到着、駐車場には県内ナンバーの車が1台止まっていた。閉鎖ゲートから先の県道25号には今回もしっかりした踏み跡がついている。その上に単独行らしい先行者の新しいスキーのトレースがついている。
 今朝は快晴、鶏頭山から早池峰山に連なる尾根が朝日を浴びてくっきりと輪郭を浮き立たせている。天候は下り坂との予報が出ているが、何とか日中いっぱい持ってくれと願いつつ歩く。おおよそ2kmほど進むとトレースが雪に埋もれて消えている、ここまではつぼ足で歩いてきたがここでカンジキをつける。
9:10分  うすゆき山荘着
 スキーのトレースは山荘に立ち寄らず真っ直ぐ川原坊に向かっている、私も立ち余らず先を急ぐ。この辺りになるとカンジキの沈み込みは15〜20cmぐらい、深いというほどではないのだが先行者のトレースがスキーなのでカンジキが沈み込む。
9:45分  川原坊登山口着
 さっきまで雲ひとつ無い快晴だったのだが、山頂に雲が掛かり始めている。もう天候の崩れが始まったのだろうか?登山口からは一段と雪が深くなる。カンジキの沈み込みは膝下ぐらいになった。陽射しが強く風も無いので暑い、薄着になり水分を取りながらゆっくりと進む。夏道の赤テープが木の枝に付いているので目印にして進む。
10:55分  沢の二股着
コメガモリ沢の徒渉点を渡り右岸に沿って登る、沢の二股に着くと雪で覆われた左の沢に入る。コウベゴウリに続く雪渓を登る、次第に勾配がきつくなり雪も深くなる。コウベゴウリの上の尾根を眺めると雪渓に先行者のトレースが付いている。そしてその雪渓を歩いて下りてくる人が見えた。コウベゴウリの手前の斜面でその単独行男性とすれ違う。
今朝5時40分に峰南荘駐車場を出発、山頂まで登ってきたという。山頂手前の斜面が凍っているが、アイゼンだけでピッケルは使わずに登れたという。「滑落防止のためにピッケルがあると良いですね」とも言っている。予想よりも斜面の条件が良さそうだ、山頂に流れ込んでいた雲も今ではすっかり取れているし・・しかも快晴無風。こんなに条件の良い日がこの冬に何日あることだろうか?とにかく登れるところまで行って見ることにしよう。
コウベゴウリから尾根に上がった雪渓と山頂方向
御座走り
打石
御座走りからコースを振り返る。赤い線が川原坊コース
↓川原坊登山口
コウベゴウリ→
御座走りから打石を見上げる。 夏道のコース標識やロープが見えるので安心
打石↓
11:17分  コウベゴウリ着
 コウベゴウリに到着、ここから沢の左岸の尾根に上がる。そして尾根の上の雪渓を登って行く。雪が一段と深くなるが先行者のカンジキの踏み後があるので助かる。
12:07分  御座走り着
川原坊登山口から1.8km、山頂まで0.8km
 雪渓が終わりここからは岩場歩きが始まる。斜度もきつくなるのでカンジキを脱ぎ靴にアイゼンをつける。岩に手を掛けて慎重に登る。打石が見えてくると急斜面の雪渓が現れる、100m弱の長さの深雪の斜面だがサラサラ雪で足場が崩れやすい。足が流れ出すと斜面を数十m滑り落ちることになりそうで緊張する。
12:35分  打石着
 川原坊登山口から1.9km、山頂まで0.7km
打石と急斜面の雪渓
打石→
打石↓
12:46分  千丈ヶ岩着
川原坊登山口から2.2km、山頂まで0.4km
 千丈ヶ岩を過ぎると頭上に真っ白いモンスターが見えてくる。天候が崩れる兆しは全く見えない、雲は少しあるが山頂の遥か上空だ。風も殆ど吹いていない、山頂まで残り400mを残すばかりになった。しかし駐車場から5時間半雪の中を歩き通しなので足が痺れだしている。果たして山頂まで登れるだろうか?
モンスターの真下に着くとザラメ雪が硬く締まった感じの急斜面が現れた。距離は20〜30mぐらいだろうか?完全な氷にはなっていないので靴の先を斜面に打ち付けると5cmぐらいは食い込む。先行の男性はつま先のアイゼンを食い込ませて登っていったように見える。この斜面を登るには簡易アイゼンでは無理だと思う。
この場所がコース一番の難所になるようだ、今のところは完全に氷にはなっていないが3月になれば雪が解け出して凍りつきツルツルの斜面になるのかもしれない。そのうえ雪が降り、風が吹いたらと考えると恐ろしくなる。足を踏み外すと数十m滑落し岩にたたきつけられる事になる。
千丈ヶ岩
千丈ヶ岩を過ぎると岩が雪に覆われている
山頂下の急斜面を登りきった場所から西方を展望する
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