冬の早池峰山麓

冬の早池峰山麓を川原坊コースのコウベコウリまで歩いてきました。
大迫町岳集落から早池峰山の小田越登山口を通り川井村の江繋に抜ける県道２５号線は岳集落一番奥の峰南荘前まで除雪されています。冬季間は峰南荘から１００ｍほど先にあるゲートが閉まり通行止めになっています。峰南荘前には広い駐車場が有りますが除雪されているのは一部だけで５～７台分ぐらいのスペースだけでした。駐車場のトイレは冬季間利用できません、峰南荘は冬季休業中です。岳集落手前の駐車場は除雪されていませんので利用できません、トイレの状況は確認できませんでした。積雪は駐車場で４０～５０ｃｍぐらいです。

９：０５分　　峰南荘前駐車場出発
　峰南荘前から川原坊登山口まで約５．５ｋｍ県道を歩く事になる。ゲートを迂回して県道を進むとちょうどスノーモービルが走ったかのようなトレースがついていた。どうやら山スキーとスノーシューで踏み固められたトレースらしい。カンジキは持ったが行けるところまでつぼ足で歩く事にする。薄っすらと積もった新雪の上には先行者のものらしい靴跡が一人分ついている。駐車場には異なった県外ナンバーの車が２台止まっていたので山中には２パーティーが入っているようだ。
　頭上には青空が広がっているが早池峰山の山頂は雲の中に隠れている、天候はゆっくり下り坂の予報、山頂は顔を出すだろうか？

１０：３８分　　うすゆき山荘着
　山荘前で下山してくる単独行の男性とすれ違う、山頂を目指すパーティーの踏み跡を辿ってコウベゴウリまで行って来たという。予想通り２パーティーが山頂を目指して登っているようだ。しっかりした踏み跡がついていて歩き易そうなのでコウベゴウリまで行ってみよう。ここからはワカンを付けて進む。

１１：１４分　　川原坊登山口着
　頭上には青空が広がり快晴の天気になった。しかし山頂方面は次々と雲が流れ込んできてスッキリしない、山頂は風が強そうだ。川原坊登山口は１ｍを越える積雪にすっぽりと覆われている。登山口のトイレは冬季間鍵が掛けられていて利用できないのだが、この冬から冬季用の簡易トイレが設置されたと言う。そのトイレは県道脇の川原坊公衆トイレの男性トイレの外に据え付けられていた。しかしトイレは１ｍほどの雪の中に埋もれていて雪かきをしなければ利用できない状態になっている。スコップが据え付けられていると良いのだが・・・

　川原坊コースは最初コメガモリ沢の左岸沿いに登って行くのだが、踏み跡は左岸の奥の方に進んでいる。少し回り道をしているようだが踏み跡を辿って登って行く。すると山スキーで滑り降りてくる人がいた、うすゆき山荘から早朝出発した２人の方だった。７合目辺りまで登ってみたが、凍りついていてアイゼンが効かず危険なので登頂を諦めて下山してきたと言っている。岩場が凍り付いているらしい。確かにコウベゴウリから上の岩場は雪の貼付が少ないようにも見える。露出した岩が凍って滑るということか？それにしてもアイゼンが効かないとは・・・
　それでも先行のパーティーは登って行ったようだ、充分な装備と経験の違いなのだろう。
コメガモリ沢の一番上の砂防ダムを過ぎて進んで行き、ちょうど左岸と川床が平坦になった地点でコメガモリ沢の右岸に渡る。そしてコウベゴウリから流れ下ってくる沢を登る。沢は雪に覆われてすり鉢状の雪渓になっている。次第に勾配がきつくなる、立ち止まって山頂方向を見上げると真っ白いモンスターと化した岩場の隙間に黒い点が見えた。動いている、殆ど山頂直下の雪の中に先行パーティーの人影を見つけた。あそこまで登ればもう殆ど山頂、登頂に成功だろう。しかし数分後には山頂付近はまた雲の中に隠れてしまった。

１２：２５分　　コウベゴウリ着
　コウベゴウリの標識は殆ど雪に埋まっていた。コース脇に張るロープを支える鉄のピンが沢を離れ左岸の尾根に向かって続いている。ここから先の川原坊コースは岩肌が露出した尾根をしばらく登り、山頂直下の急峻な岩場辺りから深い雪に覆われているように見える。雲の切れ間から覗いた真っ白い岩稜と、青よりも深い空の色のコントラストが素晴らしい。コウベゴウリから山頂まで標高差５５０ｍ余り、しかしこの先は周到な準備と装備がなければ進めない領域なのだろう。