乳頭山2
2001、10月31日(水)
     11月 1日(木)
(烏帽子岳)
 2時を過ぎたばかりだというのに雲が広がってきて薄暗くなってきた。山の日暮れは早い、急ぎ足で下りていく。
14:47分  田代平山荘着
 山荘に着いた、地図には水場が記されている、探してみよう。山荘の裏に踏み跡がある、辿っていくと湿原の外れから道は急斜面を下って藪の中に入っていく、どうやら下の沢に水場が有る様だ。刈り払いはしていない、目印の赤い布も無いが急斜面にはロープが張って有る。雑木とササをかき分けて急な枯れ沢の中を下って行く。6分程で小さな沢に着いた、コケがびっしり付いた岩の間を沢水がチョロチョロと流れている。ここの水は湧き水ではないが煮沸すれば大丈夫だろう。今日は持参した水が充分なので見るだけにする。帰りの登りは両手をフリーにしていないと辛そうだ。登りは8分で山荘に着いた。
山荘裏手の水場
田代平山荘二階梯子で上る
 山荘の前に有る沼の周囲を散策してみた、枯草色に縁取られた直径10mほどの沼、その廻りを笹薮、そしてオオシラビソが囲んでいる。針葉樹の先端を小鳥が数羽じゃれあう様に鳴きながら飛んで行った。風も無く静かだ、薄い雲を引いた空から弱い陽射しが駒ケ岳から乳頭山に連なる西斜面を浮きたたせている。今晩は貸し切りで泊まる事になりそうだ。
15:30分 山荘の二階の掃除をする。
 一階の土間の真中にテーブルが置いてある、ストーブは無い。室内の周囲に幅1mほどの板の間が廻されているがゆっくり横になるには狭過ぎる。二階には梯子で登る。
入り口の外からも梯子を使って直接二階に入ることも出来る、豪雪地帯ならではの構造だろう。2階は真中が吹き抜けになっていて手すりに毛布5枚とござが3枚掛けられていた。フトンが有るかも、と期待してきたが無かった。作りはしっかりしていてまだ新しい、窓からの隙間風の心配も無いようだ。雰囲気から察すると泊りの利用は少ないように見える。掃除をしてお湯を沸かしたりしているうちに5時には暗くなってしまった。ランタンを用意してカイロも4個貼ってシュラフにもぐり込む、6時前に横になる。
23:30分  満月の夜。
 今晩は殆ど満月だ。風も無く天気も良い、二階の窓からは遠く灰色の曲崎山が見える。外に出てみた。正面に駒ケ岳、東に乳頭山が立っていて山襞まで良く見える、すごく近く感じられる。空気が冷え込んで体も冷えてきた、明日の朝は寒そうだ。
6:30分  山荘の朝。
今朝は8℃、天気は良い。駒ケ岳、乳頭山、曲崎山、大白森、視界は良好だ。朝食と片付けをして出発する。
7:25分  山荘出発
 朝露がたっぷり降りている。ササの葉に合羽が触るたびにダラダラと水滴が落ちる。乳頭山の稜線から朝日が顔を出してきた、背中に陽射しを感じながら進んでいく。
7:28分  孫六温泉分岐着
孫六温泉まで2、0km、乳頭山まで2、0km、
 ここから左に入って孫六温泉に下って行くことにする。木道の正面に田沢湖が見える、湖の西半分が陽射しを受けて青みを増している。孫六温泉までは一本調子の下りだ、標高差420mを一気に下って行く。登山道は良く整備されていて真新しい木道や階段工が設置されている。紅葉もすっかり終ってしまい裸の広葉樹林の中を下って行く。次第に尾根の道になってきた、沢の水音が聞こえてきた。
8:05分  ベンチ着
乳頭山まで3、4km、孫六温泉まで0、6km
 瘠せ尾根の途中に真新しいベンチが据え付けてあった。腰掛けて一服、温泉まではもう直ぐだ。下って行くとかすかに硫黄臭がしてきた、左の林間に黒湯温泉の湯煙が見えてきた。まもなく孫六温泉に着いた。
山荘前の沼と駒ケ岳
木道の正面に田沢湖が見える
孫六温泉
先達川沿いの整備された歩道
8:23分  孫六温泉着
 孫六温泉裏手の登山口に着いた、登山口脇の涌き水を飲む、美味い。
ここから蟹場温泉までは先達川沿いの道を歩く、河川の砂防工事の関連で立派な道が出来ている。鶴の湯温泉までは新奥の細道、東北自然歩道を歩いて行く。(新奥の細道は乳頭温泉郷を一周する散策路になっていて全長13、5km)先を歩いていた熟年の夫婦に追いついた。九州から観光に来られて昨夜は孫六温泉に泊りこれから九州に帰られるという、東北の温泉と自然を満喫された様子だった。大釜温泉まで一緒に歩いた。
8:37分  大釜温泉着

蟹場温泉分岐まで1、6km、乳頭山まで5、4km、鶴の湯温泉まで2、5km、
 県道に出た。県道との交差点にバス停が有り近くには乳頭山に向う登山口も有る。左の角にこじんまりした温泉宿、ここが大釜温泉だった。県道を右に入って100mほど進むと蟹場温泉に着く、玄関前の駐車場まで行ってみたが新しい木造の建物で右手の奥に浴場が有るようだ。新奥の細道は蟹場温泉の手前から左に入って行く、薄暗い杉林の中の緩い登り坂だ。
登りきると左下がりの片斜面に出る、ここからは、左側の展望が開けてくる。杉林は終ってカラマツ林へ、そして雑木林へと移っていく、緩いアップダウンはあるが駒ケ岳から乳頭山、そして田沢湖までの景色を眺めながらの散歩道だ。広葉樹は殆ど葉を落としているがカラマツはまだ黄色い葉を残している。
大釜温泉登山口
ブナ森台付近から乳頭山
9:15分  ブナ森台着
 角を曲がると突然ブナの森になった。すっかり葉を落としてしまったが太い幹が並んでいる。落ち葉が一層厚みを増している。
9:31分  駒見峠着
 ベンチがあった。ここからも駒ケ岳が良く見える、そしてここから先は杉林の中を下って鶴の湯温泉の脇に流れ込む湯ノ沢の砂防ダムまで急坂を一気に下る。
9:40分  砂防ダム着
 湯ノ沢の砂防ダムに着いた。鶴の湯温泉まで0、3km、
9:46分  登山口着
 鶴の湯温泉に無事戻る。今回の山行は天気に恵まれて良かった。コースの乳頭鶴の湯分岐から蟹場分岐までは見所がなくて単なる連絡道路と言った感じだった。田代平湿原の夏は高山植物で一杯になり一番の見所だろう夏場に来てみたい所だ。
帰路には国民宿舎(駒草荘)に寄って入浴して帰る、田沢湖を眺めながら露天風呂に浸かって山行の汗を落とす。そして岩手県雫石から花巻に抜ける県道234号の紅葉が綺麗だった。
田代平山荘→3分→孫六温泉分岐→55分→孫六温泉→14分→大釜温泉→38分→
ブナ森台→31分→鶴の湯温泉登山口
田代平山荘→2:21分→鶴の湯温泉登山口
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えんど
所在地  岩手、秋田県境
標 高  1477.5m