乳頭山1
 乳頭山の正式な山名は烏帽子岳と呼ぶようです。しかし乳頭山の山名の方がより親しみやすい感じがしますので、私のHPでは乳頭山として紹介したいと思います。山名の由来は、秋田県側から見ると山頂が天に向かってツンと尖っていて、いかにも乳頭の形を連想させるところから呼ばれるようになったようです。烏帽子岳の方は岩手県側から見ると中世の貴族がかぶっていた帽子に似ているところから名づけられたようです。
 乳頭山の登山口は岩手県側が雫石町の滝の上温泉口から、秋田県側からは、田沢湖町の黒湯温泉口、孫六温泉口から登るのが一般的だと思います。下山後は登山口の温泉に浸かって汗を流せるのでちょうど良いです。そしてもう一つの登山口が秋田駒ケ岳八合目登山口です。湯の森、笊森の尾根を歩いて乳頭山に向かいます、尾根からの展望も良く山頂までの標高差が少ないですが距離が少々長いのが欠点だと思います。いずれのコースも日帰りが可能です。
 今回は鶴の湯温泉口から大白森方面に向かい、小白森山手前の乳頭鶴の湯分岐から県境沿いに乳頭山に登る。そして田代平山荘に一泊して翌日蟹場温泉を経由して鶴の湯に戻るコースを歩いてみました。

6:52分  自宅出発
 天気は良いが薄雲が広がっていて天候の崩れを予感させるようで少し不安になる。明日も天気の崩れはなさそうなので合羽の上をもってこなかった。山の天気は変わりやすいもの、明日の朝雨降りだったら・・・と考えると不安になった。田沢湖町のコンビニで合羽を買う。
9:20分  鶴の湯温泉着
 鶴の湯温泉に着いた。温泉の駐車場には熟年の女性5〜6人がザックを背負って集まっていた、大白森に登るのだろうか?鶴の湯神社の鳥居をくぐって神社に参拝、山行の安全を祈願する。
2001、10月31日(水)
田代平湿原から見た乳頭山
(烏帽子岳)
9:34分  鶴の湯温泉出発
神社の鳥居をくぐり大白森に向う登山道を進んでいく。
9:37分  蟹場温泉に向かう分岐着
 ここから右の沢を渡って蟹場温泉に向う道が有る、明日は蟹場温泉を廻ってここに戻って来る予定だ。カラマツの葉が黄色に色着いて少し残っているが紅葉は殆ど終っている。
10:14分  金取坂の水場着
 急斜面の途中に涌き水が有る、ぽたぽたと染み出している。南西の方角が開けていて遠くの沢を流れる水の音がかすかに聞こえてくる。風も少し出て来た、汗ばんだ体に気持ちが良い。
10:26分  尾根に出る
 ここからは駒ケ岳から乳頭山までの稜線が見渡せる。相変わらず空は明るい灰色だが、駒ケ岳の山頂まではっきりと見える。行方不明者の捜索だろうか?周囲の山の上空をヘリコプターが何度も旋回している。
10:55分  乳頭鶴の湯分岐着
鶴の湯温泉から2,9km,乳頭山まで5、5km,大白森まで2、2km
 ここで八幡平縦走路と分れ秋田、岩手の県境を乳頭山へと向う登山道に入っていく。ここからは未踏のルートになる、分岐からは急登で始まる。数百m続いてから今度は急な下りになる。左手の林間を透かして大白森、曲崎山、裏岩手の山並が見える。岩手山も薄っすらと見えている。登山道は正面に見える乳頭山に向って進んでいく、刈り払いは十分で快適だ。ブナの落ち葉がいっぱいだが新しい実が落ちていない、今年は大変な不作のようだ。リスのような小動物が冬を越せるだろうか?
 広い尾根から狭い尾根へ、登山道の両側は背丈以上のササの壁で視界が悪い。夏場だったら何も見えないだろう。
11:32分  三角点着
 1063、4mの三角点に着いた。狭い尾根の脇に三角点が有った、ここからは大白森が見える。
登山道の整備は行き届いているが、ゴミが至るところに捨てられている、缶ビール、ペットボトル、ビニール袋など、登山者のゴミとは思えないものばかりだ。八幡平の登山道の中でこれほどのゴミは珍しい。
12:00  蟹場温泉分岐着
乳頭、鶴の湯分岐から1、7km、大釜温泉まで1、6km、乳頭山まで3、8km、大白森まで3、9km
 ここから右に入り下って行くと40分で蟹場温泉に着くようだ。刈り払いはここまで、この先は最近刈り払いをしていないようだが荒れているほどではない。標高が上がってきたからだろう、次第にブナが細くなってきてオオシラビソが混じるようになってきた。
緩い登りの後急登になる。一歩1歩慎重に登って行く、左手に大白森、曲崎山が見えてきた、腰を下ろして一服する。夏は木々の葉が繁っていて展望は良くないのだろうが、今では落葉が進み林間からの展望が楽しめる。晩秋の山行の良い点だろうか。急登が終ると、背の低いオオシラビソとササ原に出た。登山道は水で洗われて岩がゴロゴロしている。
鶴の湯温泉の登山口、鳥居をくぐって行く
県境の登山道を進む、正面に乳頭山が見える
湿原から大白森を望む
湿原の池塘
13:00  田代平湿原の端、木道に着く
 青空が広がってきた、薄雲が取れて日差しが強くなってぽかぽかと暖かい。緩いアップダウンの続く尾根の上に断続的に湿原が広がっている。正面に乳頭山が見える、森の中から田代平山荘の屋根も見てきた。ここからは山荘まで木道が続いている、快適な散歩だ。湿原の縁取りはササとオオシラビソの低木だ、木道の脇には池塘も散在している、リンドウを始めとして花の残骸がすっかり葉を落として立っている。田代平湿原の中ほどを過ぎて振り返ると、山頂が湿原に覆われた大白森を始め八幡平縦走路の山々が見えている。この湿原が今回のコース中で一番の見所だろう。
13:29分  孫六温泉分岐着
孫六温泉まで2、0km、乳頭山まで2、0km、
 右に下りていくと孫六温泉に向う分岐に着いた。木道を進むとまもなく山荘に着く。
13:37分  田代平山荘着
  八瀬森山荘に比べると一回り小振りだが良く似た作りの建物だ、正面には小さな沼が有る。今晩は、ここに泊ることになるので、荷物を置いて乳頭山に向う。新しい木道が断続的に続いている。雲が多くなってきている、陽射しが弱くなって来た、風も冷たい。山頂への道を急ぐ。
田代平山荘正面
乳頭山山頂と岩手山
14:03分  黒湯温泉分岐着
乳頭山まで0、3km、黒湯温泉まで3、8km、
 右に下って行くと黒湯温泉に着く分岐に着いた。ここから山頂まで300m、砂礫の急な登りだ。振り返ると田沢湖も霞んで見えている、まもなく山頂に着いた。
14:11分  乳頭山(烏帽子岳)着 (標高1477,5m)
 風が強くて冷たい、駒ケ岳は雲の中だが岩手山、裏岩手連峰の山々は見えている、田沢湖も西日に照らされて光っている。山頂の岩に亀裂が入っている。98年の9月に起きた雫石地震で出来た地割れだ、乳頭山には地震の直後に登って以来2度目だがまだ亀裂が崩れていなかった。山頂の南側は真っ直ぐに数百m切り立った崖だからいつ崩れてもおかしくない状態だ。山頂の直ぐ下にベンチが据え付けられている、座ると岩手山から駒ケ岳までが見渡せる、笊森山、湯森山のなだらかな稜線が西日を浴びている。まだ2時を廻ったばかりなのに陽射しが弱々しい、体が冷えてきた。今晩の宿田代平山荘に向う。
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鶴の湯温泉口→8,4km→乳頭山、
鶴の湯温泉口→1:21分→乳頭、鶴の湯分岐→1:05分→蟹場温泉分岐→1:29分→
孫六温泉分岐→8分→田代平山荘→26分→黒湯温泉分岐→8分→乳頭山山頂
鶴の湯温泉口→4:37分→乳頭山
えんど
所在地  岩手、秋田県境
標 高  1477.5m